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少年探偵の失敗

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少年探偵の失敗

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27. 一日目 発着場 午後三時五十六分

 電車の側まで月実ちゃんたちと一緒に行って、僕はホーム中に響くように叫んだ。
「この姉ちゃんたちは、テロリストだよ。電車を爆破するつもりだよー。誰かあ。レストレイド警部ぅ。助けてえ」
「あわ。維新。裏切ったか」
「ここは、おとなしく捕まっておいた方がいいわね」
 月実ちゃんは、たじろいでるけど、リズリットちゃんは、落ちついている、いや、あきらめてるのか。
 あっという間に、使用人さんや探偵くんたちが集まってきて、月実ちゃんとリズリットちゃんは、連れて行かれてしまった。
「維新。おぼえてろよー」
 熱湯、ごちそうさまでした。
「やあ、さっきの君か。捜査に協力してくれて、ありがとう。彼女たちに利用されそうになっていて、それで、俺が怖くなって逃げたんだね」
 レストレイドさんが、犬を連れて近づいてきた。あなた、ニセ者なんですね。とか言いたいけど、やけどが痛いので少し口を慎もう。
「しかし俺は、月実さんたちがしようとしていたことは、手段は別として、犯罪阻止、防止のための行動だと思う」
 おぬし、なかなか鋭い。
「館や船に乗る捜査陣とも連絡を取り合っているんだが、まだまだ予断は許さない状況だ。君もなにかわかったら、いつでも連絡してくれ、俺の携帯は」
 レストレイド警部は番号を教えてくれた。さっそく、電話して、撮影セットも稽古場も大変ですよ、ってタレ込んであげようか。
 僕の携帯が鳴った。
 メールが届いている。発信者は、ロウ・ブラックハウンド。その人、誰?
 内容は、「マイトは、刑事ではないが、捜査にかける情熱は本物だ、よろしく頼む」だった。
「ワウ、ワウ」
「ひょっとして、このメール。ワンちゃんが、送ってきたの」
「ワウン」
 精悍なワンちゃんだけど、まさか、メールもできるとは、どんな調教をされてるんだ。
「相棒のロウは、ヤードでも警察犬として活躍した優秀な猟犬型機晶姫だ。言葉は話せなないが、メールや筆談はできる。それでは、君もくれぐれも気をつけてくれ。またな」
「ワウン」
 レストレイド警部と犬が行ってしまった。
 これから、どうするかな。
 あたりを見回すと、はるかむこうに京子ちゃんが、紫のパーカーの男の子、マッシュを連れて、歩いてくるのがみえた。