リアクション
29. 一日目 発着場 午後四時五分
電車が出発する直前に、探していた人たちをやっと見つけた。
「お兄さんたち、探偵さんですね」
「きみはたしか、維新ちゃんだね。私は、本郷涼介だ」
「俺は、葛葉翔。探偵ではないけど、今回はそんな感じの役回りだな」
「助けてください」
青いマントに白スカーフの涼介くんも、水色のカラーグラスが似合う葛葉くんも、カッコイイし、まともな人そうなので、僕は頼ることに決めた。質実剛健の安定株です。
さっき、小屋でみた出来事をまず話してから、
「京子ちゃんは、マッシュを連れてこの列車に乗ってる。彼を止めないと、皆殺しにされちゃうよ」
「きみの話はわかった。でも」
涼介くんは、手の平の六面体ダイスを宙に浮かし、落ちてきたダイスを握りこむと、ゆっくり手を開く。
「六のゾロ目か。クリティカルヒット。こいつは、信じてもよさそうだ。ダイスは時に真実を語る。証拠はないが、私は信用するぜ」
僕は、映像を消去してしまったんで、たしかに証拠はない。
「マッシュ・ザ・ベトリファイアーが、前回の事件でも、危険な存在だったっていう話は知ってる。わかった。俺も、彼の存在を頭に入れて車内で動くよ」
涼介くんと葛葉くんが、見た目通りの、いい探偵さんでよかった。
僕は、関係ない人まで巻き込んだ皆殺し劇場は、ごめんだ。
「京子がマッシュの力を借りての犯罪を計画しているなら、かえって阻止しやすいな」
「うん。彼を抑えればいいんだからさ。俺はクタートに連絡して対策を練るよ。俺と涼介さんとマイトさん、ケイラさん、マラッタさんが五人で戦術を立てて動けば、マッシュをとめられるだろ」
「お兄さんたち、本当にお願いします。それと、南鮪って人も京子ちゃんを助けるみたいなんで、その人のマークも頼みます」
「わかったよ。情報、ありがとう」
「では、行ってくるぜ」
ベルが鳴った。
僕は、手を振って出発を見送った。