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リアクション
*
最奥の大聖堂へと続く長い道を第2フロアを抜けた契約者たちが走っていた。
道は一本道だが、まだ先は見えてこない。
「ウォルター教授は何をしようとしているのでしょうか?」
と、道を行くシィシャ・グリムへイル(しぃしゃ・ぐりむへいる)が言った。
彼女の隣を走るグラルダ・アマティー(ぐらるだ・あまてぃー)は、それに答える。
「自身の仮説を立証する……とか」
「教授のことをご存知なのですか?」
「よくは知らない。でも、本なら読んだことがあるわ」
シィシャに視線を向けることなく、グラルダはそう答える。
ウォルターが世に出した論文のいくつかに目を通していた彼女は、教授に関する知識を簡潔に補足した。
その話を聞いたシィシャはつぶやく
「教授がパラミタに関して熱心に研究をしていたのは、パラミタの脅威を地球人にわからすため……」
「パラミタ出現以降に彼が書いたものを注意深く読み込めば、そう読み取れるなくもないわ」
「でも、そうだとしたら――どうして教授は、今回のように事を荒立てるようなマネをしでかしたの?」
シィシャは首をかしげる。
救援を求める通信が教授の過失だとしても、調査隊を全滅させたとあれば事態の発覚は時間の問題だ。
そしてそんなことになれば、身辺を詳しく調べられ、WFとの関与も明るみになるだろう。
だが、大人しくしていればそれを隠し、研究を続けられたはずだ。
「形振り構っていられない状況か、“その必要が無くなった”か」
と、グラルダがつぶやく。
「“必要が無くなった”とは?」
「WFと手を結んだ教授は、自論を証明する方法を手に入れた。あるいはその手段を見つけた」
「地球人にパラミタの脅威をわからせる具体的なその方法や手段とは?」
「分かんない……だからこそ教授の腹を知る必要がある」
グラルダはそういうと、目を細めた。
「――みんな、見ろ!」
と、走っている契約者たちの中から声があがった。
見れば、道の先に光が見える。
「もうすぐ、千年王に会えますわ」
黒い布で目隠しをしている中願寺 綾瀬(ちゅうがんじ・あやせ)は、口元にだけ笑みを浮かべてそうつぶやく。
彼女は霊廟内に入る前に壊滅した調査団などにサイコメトリを行い、現場で何が起きたのか情報を手に入れていた。
だが綾瀬は、その情報を自分自身の好奇心を満たすためだけに使用していた。
そしてそんな彼女が、情報を元にして辿りついた考えのひとつが、”千年王の復活”であった。
と、彼女がその身に纏っている漆黒の ドレス(しっこくの・どれす)が、ふと声をあげる。
「ねえ、綾瀬。空京大学は鏖殺寺院とつながりのある組織に所属している教授をどうして今回の調査に同行させたのね? そんな危険な人間に頼らないといけないなんて、空京大学はそんなに人材不足なのかしら?」
「ドレス、教授とWFの関係は最初からわかっていたわけではありませんわ。調査隊の壊滅を受けて、再度詳しく調査した結果わかったことですからね。だから、今回のようなことになった……まあ、そのことについてはあまり興味はありませんけどね」
「じゃあ、あなたの興味は千年王ということかしら?」
「あら、さすがドレスですわね」
綾瀬はふふふっ、と笑みを漏らす。
彼女を今動かしているのは、千年王のことを知りたいという好奇心だった
それを満たすために、彼女は走る。
最奥のフロアはもう目の前に迫っていた。
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