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リアクション
*
ゴシック様式の教会を思わせる作りの荘厳な霊廟内。
天井や横幅、奥行きなどは外から見たよりもずっと広く、アーチを描く廊が側面にいくつもつらなり、中央には奥に向かってまっすぐと続く長い廊下が伸びている。
その中央の廊下を進む契約者たちは、まるで神の元へと続く長い道を歩いているかのように感じていた。
「この厳かなる雰囲気は――妾の棺が眠るウェストミンスターや父王の眠るセントジョージ礼拝堂と似ておる。間違いない、此処は王なる竜が眠りし霊廟だ」
壁に描かれた壁画や装飾の類を目にしたグロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)は、思わずそうつぶやく。
と、空が急に雲に覆われ、辺りが暗闇に包まれた。
「えっ!?」
ライザの契約者であるローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)は、周囲の異変に足を止めた。
他の契約者たちもそんなローザマリアと同じように一斉に足を止め、周囲を警戒する。
と、空に激しい稲妻が走り、霊廟内に再び咆哮が響いた。
「どうやら急いだ方がいいみたいですね」
御凪 真人(みなぎ・まこと)は、眉をひそめてそうつぶやいた。
他の契約者たちも同じように感じており、顔を見合わせてうなづきあう。
そんな中、超感覚を発動させ、大きな白い犬耳と尻尾を生やして周囲を警戒していたリアトリス・ブルーウォーターが何かに気づいて声をあげた。
「みんな、気をつけて!」
リアトリスの声がフロア内に谺する。
すると、高い天井に張りついていた不気味なモンスターたちが契約者たちへと襲い掛かってきた。
「グギィッギィッ!!」
「くっ、このキメラは……!」
稲妻に照らし出されたそのモンスターたちの姿を見た源 鉄心(みなもと・てっしん)は、以前イルミンスールの怪物と戦った時に見たヴァリアントモンスターのことを思い出す。
「気をつけろ、まだ隠れている奴らがいるぞ!」
と、HC弐式で周囲に人が隠れているかどうかチェックしていた緋山政敏がそう叫んだ。
その声を聞いた鏖殺寺院の信徒が、隠れていた場所から飛び出して銃を乱射する。
「ふむっ、やはり敵が潜んでおったか」
ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)は冷静にそうつぶやくと、目を細めて攻撃態勢をとった。
そして仲間たちに向かっていう。
「ここはわしにまかせるのじゃ。そなたらは先にいけ」
そんなルファンの言葉に仲間たちは一瞬動きを止めた。
「わしは大丈夫じゃ。それよりも心配しなくてはいけないのは、囚われている者の方じゃろう」
「……そうね」
エンヘドゥを助けるためにやってきたリネン・エルフト(りねん・えるふと)がつぶやく。
そしてルファンに視線を向けるといった。
「わかった。ここはまかせたわよ」
「ああ、まかせるのじゃ」
ふたりはそう言い合うと、それぞれの向かうべき場所に向かって駆け出していく。
「他のみなさんも早く先に進んでください!」
タービュランスを使って敵の注意を引きながら、カチェア・ニムロッドが叫んだ。
その声に、戸惑っていた他の仲間たちも覚悟を決めて進みだす。
だがそれを見た敵が、彼らの進行を止めようと背後から襲い掛かった。
「――邪魔はさせません!」
と、飛んできたルーンの槍がそんな敵を突き刺した。
そして任務を果たしたルーンの槍は、穂先を光らせるとひとりでに主であるティー・ティー(てぃー・てぃー)の元へと戻っていく。
彼女は戻ってきたルーンの槍をその手の中にしっかりおさめると、その尖端を敵に向けた。
「貴方たちの相手は私ひとりで十分です。ひとりずつでは時間のムダですから、まとめてかかってきてください!」
彼女のプロボークに乗った敵の集団は、矛先を彼女に変えて襲い掛かる。
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