First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
「――どうやら全員行ったみたいだな」
一角獣の聖槍で敵を薙ぎ倒したウォーレン・シュトロンは、仲間たちが消えていった方向を見てつぶやく。
それを聞いたルファン・グルーガが口元に笑みを浮かべた。
「そうじゃの……後はここに残ったものを片付けて、先に向かわせぬことじゃ」
「心配することはねぇ」
と、ギャドル・アベロンが舌なめずりをする。
「相手はザコばっかりでいささか物足りねぇが、俺様がひとりで片付けてやるよ」
「あまりやりすぎるでないぞ、ギャドル」
「ヘッ、まあ努力はしてやるよ」
「よっしゃ! それじゃあ派手にやりますかぁ!」
ウォーレンがそういうと、3人は阿吽の呼吸で動き出し、敵へと向かっていく。
「カチュア、いくよ!」
「ええ、お願いします。リリィーシア」
リーン・リリィーシアが空飛ぶ魔法を唱え、カチェア・ニムロッドに力を与える。
魔法の力を受けたカチュアは宙に舞い上がり、さらにバーストダッシュで加速。敵の頭上を飛び回り、相手を引きつける。
「シビレちゃいなさい!」
と、その隙にリリィーシアが稲妻の札を空へと放り投げた。
札に込められた魔力が雷を生み、敵に襲い掛かる。
「――ええいッ!」
さらに、空中へと舞い上がっていたカチュアが手にしたウルフアヴァターラ・ソードを振り回し、ソニックブレードを乱発して追い討ちをかけた。
襲いくる稲妻とソニックブレードの嵐に、敵は次々と吹き飛び、痺れ、昏倒していく。
だがその難を逃れた数人が、ヨロヨロと立ち上がる。
「ご苦労さん」
と、緋山政敏がそんな敵の前に現れた。
敵は顔をひきつらせ、政敏は笑顔を浮かべている。
――どかっ! ばきっ!
「一丁あがりっと」
政敏がそういうと、敵は白目を剥いてその場に倒れ込んだ。
一方、別の場所で多数の敵を相手にひとり大立ち回りを演じていたティー・ティー。
彼女は極みの剣技を遺憾なく発揮し、見事に敵と渡り合っていた。
「もう少し頑張ってくれ、みんな」
ティーや他の仲間が敵を引き付けている間、薄暗闇の中で敵の指揮官を探していた源鉄心はつぶやいた。
「鉄心……!」
と、その後ろに付き従っていたイコナ・ユア・クックブックが戦闘の怖さに耐え切れなくなったのかぎゅっと鉄心にしがみつく。
彼女は小さい体を震わせて、さらに小さくなっていた。
それを見た鉄心は口元に優しい笑みを浮かべると、イコナの頭をなでる。
「大丈夫だ。もうすぐ終わらせるから、イコナはしばらくここに隠れてなさい」
「はい、わかりました」
イコナはそういうとベルフラマントを頭からかぶり、薄暗闇の中でその気配を消す。
それを見た鉄心は再び厳しい顔つきに戻ると、敵を探して動き出す。
「あっ、鉄心」
「んっ、どうしたイコナ?」
「暗いと危ないですから、この子を使ってください」
イコナはそういうと光精の指輪を使って光の妖精を呼び出した。
だが、その不思議な光に気づいた敵の一団が鉄心たちに向かって発砲する。
「あうっ、鉄心ごめんなさい!」
「いや、よくやったぞ。イコナ」
地面に伏して銃撃をかわした鉄心はそういった。
そして先ほどの銃撃で敵の位置を掴んだ彼は、体を起こすと床を蹴った。
兵は神速を尊ぶ――名軍師郭嘉が乱世の奸雄曹操に送ったその言葉が、鉄心の中に浮かび上がる。
そして、その言葉の意味を十分理解している彼は、目にも止まらぬ動きで敵の元へと向かっていく。
鉄心のあまりにも素早いその動きに、敵は声をあげることもできない。
そして何発かの銃声音が響き、敵の一団はその場に跪いた。
鉄心は、足を撃ち抜かれて苦悶の声をあげる敵の指揮官らしき男の額に魔導銃の銃口を突きつける。
「無駄な抵抗をやめろ、続けた所で勝てはしないぞ」
すると敵は激痛と悔しさに顔を歪めながら、両手をあげて服従を示した。
「俺様に勝とうなんざ1000年はえぇんだよ!」
ギャドル・アベロンが吼える。
そして次々と襲い来るヴァリアントモンスターの顔面に、鬼神の如き荒々しさで拳を叩きこんでいく。
そしてドラゴンアーツを身につけている彼の一撃は、モンスターたちの体を完全に粉砕する。
「あららっ、だいぶ張り切ってるねぇ」
敵を倒しながら、ギャドルの様子をうかがっていたウォーレン・シュトロンがつぶやいた。
「ああなると、ちと面倒じゃの」
ルファン・グルーガもギャドルの様子を見て、そうつぶやく。
ふたりは顔を見合わせると、ギャドルがあまり過激になりすぎないように抑えるために彼の側へと向かった。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last