空京

校長室

終焉の絆 第二回

リアクション公開中!

終焉の絆 第二回
終焉の絆 第二回 終焉の絆 第二回 終焉の絆 第二回

リアクション


【1】情報統率
 アルティメットクイーンの逃走劇。
 それは一般市民すら巻き込みながら進行していく。
 災厄の渦に巻き込まれる人々を助けるべく、
 契約者たちは自分がなすべき事に向って走り出していた。

「ヒャッハァ〜! これがスーパーなコンピューターだなっ!」
 空京のコンピュータ制御室の最も厳重に封鎖されている箇所。
 そこにはスーパーコンピューターと南 鮪(みなみ・まぐろ)織田 信長(おだ・のぶなが)の姿が。
 アルティメットクイーンの逃走経路、エルキナたちの予想戦闘能力値、
 出現しているモンスターの規模、非難させるべき市民の数及び安全な避難ルートの確保。
 それをより明確に、直接的に契約者たちは伝えることは、
 この逃走劇の幕を引くことをスムーズにしてくれる。
 そのための演算能力、情報処理能力が求められているのは言うまでもない。
 だからこそ、スーパーコンピューターが必要。
 鮪はそう確信し、空京警察にかけあい一時的に取り扱いの許可を得ていた。
「それでは諸君、推して参ろうぞ。同じ行いも動く時機一つで結果は変わると知れ」
 信長の言葉に警察官たちも動き出す。
 集めた情報は全てスパコンへ転送するよう、と皆に知らせ回る為に。

『ヒャッハァ〜右府様とこの南鮪の言う事聞いときゃ上手く行く、心配すんな。
 てなわけで最初のアドバイスだ!
 ゴブリン連中はデカブツモンスターと違って意外と話が通じるから、
 適当な物を素直にくれてやって協力要求した方が多分早いぜ。ダメならぶん殴れ!』

 テストも兼ねてアドバイスを押し売りよろしく伝える鮪。
 また、鮪に同行していた沙 鈴(しゃ・りん)綺羅 瑠璃(きら・るー)もバタバタと準備に取り掛かっていた。
 部下三十人も総動員して、これから来るであろう膨大な情報、
 これを全力で捌かなければならない。
 整理されていない情報を契約者に手渡していては無駄が生じ、意味がないからだ。
 今、この状況下で必要とされているデータは存在する。
 あらゆるデータを受け入れつつ、その中から必要とされるデータの選別及び取りまとめ。
 これを行うには三十人でも足りないくらいだ。
「至急、現在の空京の様子をまとめて。このデータを必要としている人がいるのですわ」
 鈴が空京の現在の状況を最優先でまとめるように通達。
 伝達を聞いた部下達は、自分達の脳をフルスロットルで回転させて情報を選別していく。
「あと五分程度」
「三分でお願いしますわ」
 瑠璃は終了する予測時間を言い、鈴は更にそれを縮める。
 当然だ。洗い出すべき情報は、現在進行形で山積みになろうとしているのだから。

『遅くなりました。現在の空京の状況データです』
 鈴から連絡とデータを受け取った水原 ゆかり(みずはら・ゆかり)は目を瞑った。
 大よそ三秒後、カッと目を見開いたゆかりは部下達へ封鎖する箇所を伝え始める。
「以上の箇所に移動して下さい。
 皆さんは重要な点であり、線で結ばれます。
 それが封鎖線です。アルティメットクイーンを網から逃がしてはいけません」
 迅速な指示に、走り出す部下達。
「鈴さん、情報ありがとうございます」
『逐一更新していきます。何か情報があればこちらにお願いしますわ』
「わかりました」
 通信を一旦切ったゆかりの横でマリエッタ・シュヴァール(まりえった・しゅばーる)は周囲を警戒。
 空間把握能力を活用して、混乱に紛れて逃走する者がいないか注意深く観察していた。
 だが、空京は広い。
 それにこの混乱では、そう簡単に見つかることもない。
「……いないわね。そう簡単に見つけるなんて難しいか」
「切り替えていきましょう。私達の本来の作戦目的は失念しないように」
「了解よ。必ず、捕まえるんだから」
 今もどこかを彷徨う究極女王を逃がしはしない。
 二人の目はその真実だけを主眼に置き、次なる任務へと馳せ参じる。