空京

校長室

終焉の絆 第二回

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終焉の絆 第二回
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【1】エルキナ 3

「だから言っただろうが、無意味だって」
 白津 竜造(しらつ・りゅうぞう)がいつも来ている白き服を棚引かせて、
 エルキナに殺意をぶち当てる。常人ならそれだけで気絶するほどの殺意だ。
「……もう、こっちからネタバラしちゃだめじゃないか」
 クイーンの声ではない声が聞こえる。
 同時に女騎士たちはクイーンの姿を見失った。
 見えるのは渦巻き視界を阻害する紙片の幕。
 女騎士達は自分達が誰と敵対すべきかを忘れた。
「はい、お終いと」
 魔障覆滅が複数の女騎士を瞬殺する。
 これが合図となった。
「おうおういいねぇ! やっぱりお前等は最高だぜぇ!」
 アルティメットクイーンに変装していた松岡 徹雄(まつおか・てつお)の流麗な動きを褒めつつ、業魔はエルキナへと突貫。
 すぐさま女騎士がフォローに入ろうとするが、鏨とがそれをよしとせず、阻む。
「業魔、貴様に手助けは要らぬのかもしれんが、
 次に遭う時に負傷が残っていても困るのでな。
 周りの有象無象は、此方に任せてもらおうか」
「おう、任せた!」
 そう業魔に言い残し鏨と爽麻が左右に散る。
 女騎士からの攻撃を鈍でいなし、その武器を絡めとっては地面へと叩き落とす鏨。
 鏨の逆側は爽麻が受け持ち、居合いに長けた刀でもって、武器を弾き飛ばしていく。
 先ほどから戦果を上げられない女騎士の一人が焦ったのか、
 無謀とも思える体制で鏨に凶刃を差し向ける。
 鏨は防御に移るが、それよりも早く爽麻の居合いが空を裂き、女騎士を切り裂いた。
「……触れさせない」
「ありがいた、がそれでやられてしまっては意味はない」
 隙ができた爽麻の後方から忍び寄っていた女騎士は、
 鏨によって戦闘不能に陥る。よきコンビネーションだった。

 これでエルキナまでの道は開かれた。
「全部終わったら、手合せをお願いしたい」
 不意にスウェルが業魔との再戦の約束を口にすると、業魔は嬉しそう笑った。
「ハッハ! また強くなったか? いいぜいいぜやろうぜやろうぜ!」
 業魔の豪快さに懐かしさを覚えつつ、戦場に視線を戻す。
「さあ小人さーん! やっちゃってくださーい!」
 アンドロマリウスが所持していた小人の小鞄から、わらわらと小人が飛び出してくると、
 女騎士に取り付いてとにかく邪魔をし始めた。
 これが存外効くもので、女騎士は嫌がったり笑ったりしている。
 ……くすぐったりしているのだろうか。
「それじゃ二人でいっちゃってくださいよー!」
「うんっ」
「おう!」
 業魔とスウェルが飛び出す。
 標的はエルキナ。
『本当に愚かな種族ですね』
「生命ってのは生まれて死ぬまで最強に憧れるもんなのよ!!」
『……貴方はそれの最高峰のようね』
 業魔がエルキナを頭上から、両拳を合わせて振り下ろす。
 その攻撃を紙一重でかわすエルキナ。
 が、二人の動きを予測していたスウェルが今度は横手から斬りつける。
 これにも一切動じず、エルキナはスウェルの攻撃を受け止めた。
「おいおい、攻撃が一回で終わるとでも思ってんのかよ!!」
『……愚者の分際でちょこまかとっ』
 再度エルキナの頭上を業魔が押さえ、二度目の振り下ろしを敢行する。
 エルキナは突き飛ばそうとするが、既にスウェルは後退。
 気を取られたエルキナは回避が間に合わず、業魔の一撃をモロに耐えることになる。