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少年探偵の失敗

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少年探偵の失敗

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46. 二日目 エーテル館 午後四時十一分

 レン・オズワルト、クレア・シュミット、桐生円とオリヴィア・レベンクロンは、阿久路井門の死体移動の謎を解明するために、昨日、死体を発見した部屋を再び、調査していた。

V:レン・オズワルトだ。試行錯誤で約一日かかってしまったが、昨日、この部屋であった出来事の解答が、俺の中でできつつある。
 最終確認として、話を整理してクレアと円たちに、いくつか質問させてもらおう。

「お互いに、朝からいままでお疲れさまだな。
 そろそろ、まとめようぜ。
 時系列順に、検討しよう。
 1.昨日、朝、かわい家に到着した俺たち全員に、一族の者たちと一緒に大ホールで、阿久はあいさつをした。
 2.その後、俺がこの部屋を訪ねると、中から男の声がして、入室を待てと言われた。
 3.俺が待っている間に、クライブとルナがきた。
 4.中から再び男の声がして、その声に不穏を感じた俺は、部屋に突入した。そこには、死体があった。
 5.クレア、美央、ジョセフ、伊月、ラシェル、ノゥン、くると、あまねが来た。
 6.クレアが、死体の死亡時間を俺たちの全員の到着以前と診断した。
 7.美央がベットした隠し通路を発見した。
 8.俺たちが大ホールへついた後、話をきいた円とオリヴィアがここにきた。
 9.円たちがきた時、死体はなかった。
 10.阿久の死体は、事故現場で発見された。事故のせいか死体はほぼ全焼状態だった。
 これらの事象の中で問題点は、
 一・俺が聞いた二人の声の主は誰か?
 二・声の主は、どこへ消えたのか?
 三・死体は、誰のも
「悪い。まだらっこしいんで、ボクが端折るよ。しかも、めんどいんで、マスター、説明やって」
 円は強引に話を切り、パートナーのオリヴィアに話を振った。
「オリヴィアはぁー、今回はみのるさんの遺言がおかしいと思って、それを調査にきたんですけど、同じ考えの人が他にもいるしぃー、円とこんなトラブルに巻き込まれちゃったんで、この問題を推理してみしました」
「レンにも、あなたにも、あらためて言っておくが、昨日、私が検視した相手は、間違いなく死亡していた。それは、断言できる」
 クレアが念を押した。
「そこらへんは、オリヴィアにお任せぇ〜です。それは、死んでて困りません。シュミットの検死が正しい以上、阿久はオリヴィアたちの乗ったバスがつく前に死んでましたぁ。
 全員にあいさつしたのは、ニセの阿久で、リン太郎の仲間ですぅ。オズワルトが聞いた声は、リン太郎とニセ阿久の声で、彼らは、阿久の死体をどうするか相談してましたぁ」
「推理の披露ってなんか、カッコいいから、マスター、やっぱり、こっからは、ボクにやらせて。
 声の主の二人は、隠し通路から逃げた可能性が高いんで、やっぱりこの屋敷にくわしいリン太郎の線は濃厚だね。
 残るは、死体の消えた謎だけど、リン太郎の仲間は、死霊術師もしくは、それに類する能力の持ち主で、死体になった阿久は、そいつの術でゾンビにでもなって、自分でここから移動し、今朝、列車を脱線させ、事故に巻き込まれて焼失した。
 レンさんを待たせていた間に、死霊術師が、ここで阿久をゾンビにしてたんじゃないの。生ける死体になった阿久は、クレアさんの検視では、死体と判断されるし、その後、起きてどこかに消えてもおかしくない。話によると、少年探偵の敵って、そういうのが得意な連中なんでしょ」
 円の話にレンは頷く。
「俺の結論もそんなところだ。くるとの推理に、パラミタならではの技術を加えた、修正バージョンだな」
「私は、疑問があるのだが」
「なに。クレアさん」
「阿久の死体は、損傷がひどくて、本人確認が精一杯だ。ゾンビだったのかはわからない。
 それから、シャーロット・モリァーティは、おそらく死霊術師ではない。彼女はみんなと、到着時の阿久のあいさつも聞いていたはずだ。つまり、阿久の身代わりもできなかった。そうなると、彼女は、リン太郎の仲間ではないのか。
 私は、昨日からの彼女の言動をみて、てっきり、彼女がリン太郎の仲間だと思っていたが」
「ボクもそう思うよ」
 自信ありげに円は同意した。
「リン太郎、死霊術師、それにボクらを惑わす役のシャーロットの三人が仲間なんだよ。能力的に、死霊術師が黒幕くさいな」
「それは、まだ口にだせないレベルの推論だな。とりあえず、この部屋の謎は、解明した。次は、問題の死霊術師を探すとするか」
 レンを先頭に、四人は部屋をでる。