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リアクション
第3章 ローズフランと懸賞金稼ぎ
「…………」
賞金稼ぎ達のすぐ後ろで騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は静かにひっそりと集中していた。
(マリアさん……聞こえますか……アイシャの騎士、騎沙良 詩穂です……今、あなたの心に直接語りかけています)
詩穂は”テレパシー”で何度もどこかにいるであろうマリアに呼びかける。
が、返事は無い、しかし、かすかにテレパシーが届いていることを祈りつつ何度も呼びかける。
その時だった、マリアを捜索させるために先を歩かせていた”シャンバラ国軍軍用犬”が大きく吠えた。
「見つけましたか!?」
軍用犬はそれに答えるように、走り出した。
「あ、おい! どこへ行く!?」
詩穂は一緒に行動していたテンプルナイツ達を置いて、軍用犬の後を追う。
奧へ進んで程なくしてからだろうか、突然軍用犬と詩穂は足を止めた。
足下には薬莢が落ちていた。新しい物であることからマリアの物であることが想像付く。
もしかしたら、マリアはまだそばにいるかもしれない……そう思った詩穂は再びテレパシーを試みたその時だった。
背後から冷たい風が吹き込んできた。
「下がって!!」
「!」
突然男の声がどこからか飛んでくる。
慌てて詩穂は後ろに下がると、目の前を次々と炎の弾、”クロスファイア”が飛ぶ。
「ルーッ!!」
見事クロスファイアはインプに命中した。
白い光を纏い、魔方陣を発動させようとしていた妖精、インプは遠くへと吹き飛んでいった。
ようやく、背後から吹き込んできた冷たい風は魔法発動の前兆だったと詩穂は理解する。
振り向くとそこには、メシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)が立っていた。
さらに、その後ろにはエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)と、見知らぬ女性が1人立っていた。
「危ないところをありがとうございます」
「なに、危ない人を助けるのは当たり前のことだよ」
詩穂のお礼にメシエは笑顔で答える。
「呑気な事を言ってる場合じゃありませんわっ!!」
この中でも一際慎重の低い女性が、二丁拳銃を構えて言った。
詩穂達も背後を振り返ると、そこには5体のインプが浮かんでいた。
「お嬢さん、無理はしないようにね」
「嫌ですわ」
エースの気遣いに、その女性、ローズフラン・ノートルダムはきっぱりと答えた。
先ほどから、ローズフランの反応は頑固たるものだった。
ローズフランに初めて出会った時は、1人で地下に入ろうとしていたためにエースは「可愛いお嬢さん、1人で地下に入るのは危険だよ」と薔薇の花を一輪渡したのだが、ローズフランから返った言葉は
「ナンパなら間に合ってますわ」と返ってくる始末だった。
そのためエース達は無理矢理付いてきているのだった。
「ほら、来ますわよ!!」
「大丈夫、わかってるよ」
ローズフランの声にエースは素早く”紅蓮の走り手”をインプに向けて放った。
インプの魔法詠唱よりも先に、紅蓮の走り手が炎となって巻き込む。
他のインプ達をローズフランは二丁拳銃を構えて放っていく。
インプ達はたちまち、倒され気絶していった。
「これで、先に進める……ん? その手に持っている物は?」
エースはふと、詩穂の手に持っている物が気になった。
「あ、これは――」
「いやーごくろうだった」
詩穂が答えかけたときに、年を取った声が響き渡った。
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