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リアクション
『エントリーナンバー3……ペルセポネ・エレウシス(ぺるせぽね・えれうしす)!!』
理沙に名を呼ばれ、おずおずとペルセポネはステージ上に立った。ペルセポネはドクター・ハデス(どくたー・はです)に勝手にコンテストに申し込まれ、出場することになったのだ。
「ペルセポネです。よ、よろしくお願いします」
頬を真っ赤に染めて立つペルセポネ。……が、その素顔は全身を覆うパワードスーツに覆われて、赤くなっているかどうか観客には分からない。
『今日の衣装のコンセプトは、何かあるかしら?』
「あ、その……格闘大会と聞いていたので、戦闘用のパワードスーツを着てますが、ご容赦下さい……」
『あら、そうなの?』
ハデスは異種格闘大会に申し込むつもりで、間違えてアイドルコンテストにペルセポネを参加させてしまったのだ。
「む……顔も身体も見せずに、その恥じらいの態度で観客を取り込むとは、なかなかやりますな」
審査員は独自の視点でペルセポネを評価しているらしい。尤も、ペルセポネ本人は何をどうしたら良いやらと悩んでいたのだが。
その頃、舞台袖では元凶たるハデスが、高笑いをしながらペルセポネを見守っていた。
「さあ、ペルセポネよ! 我らオリュンポスの代表として、オリュンポスこそが最強であることを示してくるのだ!
この際、アイドルでも良い。最強アイドルの座を掴み取り、我がオリュンポスの名を広めてくるのだ!!」
ハデスとは対照的に、特にアピール方法を想定してきたわけでもないペルセポネは、焦りと諦めの入り混じった感情に突き動かされていた。
(このままで、審査になるのか……)
と、ペルセポネが項垂れた時。ハデスが何やら不敵な笑みを浮かべ、手元の装置を捜査した。
『……緊急パージ信号を受信しました。アーマーの緊急パージを実行します』
あっ、と思う間も無く、ペルセポネのパワードスーツが突然パージされる。
「……えっ?」
ステージの中央で、全裸を晒されたペルセポネが呆然と立ち尽くしていた。
♪ ♪ ♪
『皆様お待たせ致しました。コンテスト再開です!』
開始早々のトラブルに一時中断されたコンテストは、間もなく再開された。
『続いてはエントリーナンバー4番。クールなお姉さんアイドルとして注目を浴びている、
メルヴィア・聆珈(めるう゛ぃあ・れいか)!!』
歓声に誘われるように、ライオンを従えたメルヴィアがステージ上に現れた。
「かっこいー!!」
「すげー!!」
鞭を手にして颯爽と歩くメルヴィアに、観客席から賞賛の声が飛ぶ。
『元サーカス団の猛獣使いとしての腕前で、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのでしょう』
ふっと照明が落とされ、スポットライトがメルヴィアを照らす。
と、舞台袖から物々しい檻が運ばれてきた。その檻の中には、二頭のライオンがいる。
檻の扉が開け放たれると、ライオンがメルヴィア目掛けて飛びかかった。次の瞬間、鋭く鳴る鞭の音。
「おおおおおおおお!!!」
メルヴィアは上手くライオンをいなし、手懐けてみせたのだ。……が。
「あ」
じゃれついたライオンが、ふとした弾みにメルヴィアの髪を結わいているリボンをほどいてしまった。
その後、どうなったか。そこは皆様のご想像にお任せしよう。
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