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リアクション
『エントリーナンバー5、ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)!!』
名前を呼ばれたノーンは、満面の笑顔を浮かべてステージの中央へと駆け寄った。観客の拍手と歓声がノーンを迎える。
『今日はどんなステージにしたいのかしら?』
理沙が訊ねると、ノーンは「うーん?」と首を捻る。
「とにかく元気に楽しく歌って踊りたいな! 観客のみんなも楽しくなれたら嬉しい!」
明るくはしゃぐように言うノーンの姿に、観客席は既に盛り上がっている。
「それじゃ、いくよー!」
ノーンがそう言うと共に、周囲にミニサイズの精霊たちが現れた。
精霊たちとノーンが顔を見合わせると、曲が流れ始めた。
今夜は愉快なカーニバルナイト!
歌って踊ろう 陽気にLet’s Go!!
手と手とりあい Let’s be Happy!!!
ノーンと精霊たちの息のあったノリの良いダンスに、観客は団扇や幕を振って応援する。
そのノーンたちのパフォーマンスが観客たちを元気付け、熱狂した観客たちの声援がノーンたちを励ます。
「コンセプトよりも、今という時間を楽しませる点に重きを置いたアピール……ですか」
審査員の目も光る。ダンスのクオリティも高く、何より観客たちを惹き込むことに成功している。
曲が終わると、大きな拍手が沸き起こった。
「良かったよー!!」
「ありがとうーっ!!!」
ノーンは、会場の空気を一つにまとめたまま、満面の笑みでパフォーマンスを終えたのだった。
♪ ♪ ♪
『エントリーナンバー6、
雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)!!』
自身の名が呼ばれた雅羅は、銃を手に颯爽とステージに姿を現した。
「かっこいー!!!」
観客席から飛ぶ声に、雅羅は少し照れたように手を振り返す。
『アピールする点は、銃でのパフォーマンス! 皆様、こちらをご覧下さい!!』
理沙の手には、いくつもの風船があった。観客席の合間に、風船を手にしたスタッフが立っている。
『風船を上空に飛ばし、銃で正確に打ち割ります! それでは、意気込みをどうぞ!!』
「そうね……もちろん成功させる自信はあるし、その上でできるだけのアピールはするつもりよ」
『自信が感じられるコメント、ありがとうございます。それでは早速、アピールスタートですわ!!』
高らかに告げるエンジュの声とともに、会場のスタッフが風船を飛ばした。フワフワと浮き上がってくる風船を観客が見つめる。
連続する、小気味よい破裂音。宙に浮いていた風船が次々と割れると、観客席は湧いた。
『素晴らしいアピールでした……って、これは一体?!』
理沙の視線の先で、雅羅の体が床へと沈み込んで行く。
「な、何が起こったの?! なんでなの!?」
雅羅が立っていた場所は丁度ステージの中央だ。舞台の下の奈落へと床が下降し始めてしまったのだ。
これも災厄体質の為せる技なのだろうか。だが、観客には強いインパクトを残したようだった。
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