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リアクション
『エントリーナンバー13。846プロの魔女っ子アイドル、あすにゃん。今日は革命的魔法少女レッドスター☆えりりんとともに、ユニットとしてパフォーマンスを行います!』
真紅のミニスカ魔法少女コスチュームに変身したアスカ・ランチェスター(あすか・らんちぇすたー)と藤林 エリス(ふじばやし・えりす)が登場した。
「846プロの魔女っ子アイドル・あすにゃんだよ! 私の歌でみんなに素敵な夢の魔法をかけてあげるね☆」
アスカの声に被さるように「あすにゃーーーん!!!」と観客席から叫び声が上がる。
一方のエリスは、パフォーマンスに参加するつもりはなく、アスカの応援をするつもりでいた。だが、マルクス著 『共産党宣言』(まるくすちょ・きょうさんとうせんげん)はエリスも参加した方が盛り上がるだろうと考え、ユニットでエントリーしたのだ。
『今回のステージのテーマは何かしら?』
そのため、今こうして理沙の質問を受けるに至っている。
「みんなに夢と希望を与えることよ」
『今回のコンテストの目標をピンポイントで突いてきましたね!』
『今、どんな気持ちでこのステージに立っていますか?』
「まずは、この舞台に立てて嬉しいよ☆ みんなで楽しもうね♪」
観客席からは「えりりーーーん!!!」「あすにゃーーーん!!!」と、二人の名を叫ぶ声が続いている。
「ユニット参戦、か……」
審査員の目も光る。その手元には、『共産党宣言』が配っておいたチラシがある。そこには二人のプロフィールや歌詞や衣装の背景解説が書かれていた。
「……」
アスカは、ひとつ大きく息を吸った。予め『共産党宣言』が手配して観客に配っておいた虹色サイリウムが、客席で大きく揺れている。その様子を見ているうちに、より一層アスカとエリスの気持ちが高まっていく。
「それじゃあ、いくよ! 新曲“dreamer’s selection”」
頃合いを見て、『共産党宣言』が魔法のタクトを用いてバックバンドを指揮すると、演奏が始まった。
客席から紙吹雪が投げられると、エリスが風術で風を起こし、紙吹雪を会場の宙に舞わせる。
と同時に、歌詞に合わせて七色に変化する光がステージを照らし、彩りを加えた。驚きと感激の声が観客席から上がる。
「みんな、盛り上がっていこー♪」
アスカが明るく言うと、エリスがバックダンサーとして踊り始めた。会場から、大きく手拍子が聞こえてくる。
エリスのダンスの腕は一流だ、観客もその楽しげなダンスに心を動かされて行く。アスカは、そんな様子に満足したように笑顔を浮かべて、マイクを握りしめた。
いつも 闘ってきた 自分の心と
見たくない真実 受け入れたくない現実
夢見る心は いつも辛くて
でも 負けたくない 諦めたくない
いつだって 自分自身を 信じてる
でも 自分しか信じられないのは
寂しいよね
迫る 選択の時
試されるのは 私のココロ
いつだって あなたの笑顔が 私の道標
希望 信じていたいの 勇気をください
壊された 夢だって
いつか あの空に 羽ばたけるよ
アスカの歌を、エリスのサブコーラスが引き立てる。明るく、楽しい雰囲気が、会場を包み込んでいく。
演奏もラストにさしかかった。『共産党宣言』が召還した、ももいろわたげうさぎとミニ雪だるまがステージに現れる。観客たちはその可愛らしさに一層心を奪われる。
「みんな、ありがとう!」
演奏が鳴り止んだ時、会場は熱狂の渦に飲まれていた。
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