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リアクション
第2章 ソアノート
これが、さっき発症したばかりのリカインや朔も含めた最新版『ソアノート』だ。
◆晃月 蒼
自分の胸に他人を埋めて、ぱふぱふする。
◆秋葉 つかさ(あきば・つかさ)
顔を両手で覆いながら 「いやああ〜ん」と言いながらモジモジする。
◆明智 珠輝
脳みその使われていない99%を使えるようになり、奇声を上げながら脳内計算をする。
◆浅葱 翡翠(あさぎ・ひすい)
めっちゃ渋い声で「夜明けの珈琲、どんな味?」と呟く。
◆アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)
アリア様モードになる。「我を愛せよ」と連呼しながらワインを他人を垂らしたり。
◆有沢 祐也(ありさわ・ゆうや)
他人にごまをすり、「ご立派なお方で……」と肩をもむ。
◆弥涼 総司(いすず・そうじ)
両手をもみもみしながら、「貧乳だいすきっ! 貧乳だいすきっ!」と言う。実際に他人の胸を揉んだりもする。
◆ヴァーナー・ヴォネガット
他人の頭を丸かじりする。
◆ヴィナ・アーダベルト
針と糸を持って、「ほいっ。ほいっ」と言いながら何かを縫っていく。傷の止血も可能。
◆ウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)
舞台俳優になって、「生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ」と言う。
◆エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)
ウミガメになる。すいすい泳げるが、発症が終わると溺れてしまう。
◆エメ・シェンノート
「衣服の乱れは心の乱れ!」と言いながら、他人の衣服の乱れを直す。
◆エル・ウィンド
他人の尻にカンチョーをする。掛け声は 「キンピカ!」
◆ガートルード・ハーレック
ものすごく良い発声で「ぼっとんちんちん!」と叫びながら、行進する。
◆影野 陽太(かげの・ようた)
狭い隙間に、楽しそうに入る。
◆風森 巽
両手を交互に、前後に動かしながら、「ツァンダー体操」を始める。
◆神代 正義(かみしろ・まさよし)
他人に向かって、トメさんへの愛の告白を叫ぶ。
◆烏山 夏樹(からすやま・なつき)
他人にかぶりついて、血を吸う。
◆カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)
「そーれ!」と言いながら、楽しそうに物を投げる。人すらも投げる。
◆神無月 勇(かんなづき・いさみ)
「ほら、もっと泣きなよ」と言いながら他人を踏んづける。ドS。走っている人でも踏んづける。
◆鬼崎朔
「くらえ! 天誅!」と言いながらジャーマンスープレックスをする。
◆如月 佑也
他人の髪型を「こっちがいい!」と言いながら、ツインテールにする。
◆樹月 刀真(きづき・とうま)
ダダダッと走り、「のぞき部のばーか!」と言いながらドロップキックする。(対象はのぞき部限定?)
◆桐生 ひな
他人に柔道の一本背負いをかけようとする。
◆桐生 円(きりゅう・まどか)
「これボクのーっ!」と連呼しながら他人の腕を引っ張る。
◆久世 沙幸(くぜ・さゆき)
「おねーさま!」と言いながら、他人にすりすりする。
◆国頭 武尊(くにがみ・たける)
バレリーナとなって「白鳥の湖」を華麗に踊る。
◆クラーク 波音(くらーく・はのん)
壁に頭を繰り返し打ち付ける。
◆黒脛巾 にゃん丸
ふんふん言いながら自分のチャックを開けたり閉めたりする。
◆クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)
「堕ちろ。堕ちろ」と連呼しながら藁人形を打ち付けて、誰かを呪う。
◆コトノハ・リナファ(ことのは・りなふぁ)
ヤンデレ化する。笑いながらツインスラッシュをしたり。
◆佐倉 留美(さくら・るみ)
女子のパンツを下ろしまくる。
◆佐野 亮司(さの・りょうじ)
バイクのハンドルを握った格好で、「ぶおおおーん」と言いながら走り出す。
◆志位 大地(しい・だいち)
天を見上げて「すね毛えええーー!」と叫びながらダッシュする。
◆わんこしいな
猫になる。(にゃんこしいな)
◆四方天 唯乃
「おねえちゃんっ!」と言いながら他人にジャンピング抱っこでしがみつく。
◆島村 幸(しまむら・さち)
仰向けで両手両足をついたエクソシスト状態で、100メートル7秒くらいで走る。
◆城定 英希(じょうじょう・えいき)
布を取り出し、きゅっきゅっと自転車磨きを始める。対象は自転車に限らない。
◆白菊 珂慧(しらぎく・かけい)
カラフルな油性ペンで、他人の顔という顔に落書きしていく。
◆瀬島 壮太
「オレの光条兵器! オレの光条兵器!」と連呼しながら、ワインボトルを股間から突き出す。
◆鈴木 周(すずき・しゅう)
スカートを履き、「きゃあ、えっち!」と言いながら尻を突き出す。
◆セオボルト・フィッツジェラルド(せおぼると・ふぃっつじぇらるど)
芋けんぴを振り回しながら、他人に妄言を言う。
◆セシリア・ファフレータ(せしりあ・ふぁふれーた)
両手を広げて、「We can fly !!!」と言いながら、どこかへダイヴする。
◆閃崎 静麻(せんざき・しずま)
「おかあさーーーーーーーーーーん」と泣き崩れる。
◆ソア・ウェンボリス
他人の耳たぶをはふはふっと甘噛みする。
◆小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)
鼻を何かに押しつけて、くんかくんかとニオイを嗅ぐ。
◆武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)
キザな顔をして他人に「俺に惚れるなよ」と言う。
◆鷹村 真一郎(たかむら・しんいちろう)
自分の服をビリビリに破りながら、「世界一ッ!」と言う。
◆橘 恭司(たちばな・きょうじ)
いろんな物をとにかく隠し、「マネーーーーーロンダリングーーーーーーー!!」と叫ぶ。
◆栂羽 りを(つがはね・りお)
ワインのボトルを股間にあてて、男子の立ちションのように、「おしっこちーー」とする。
◆椿 薫(つばき・かおる)
上半身裸になって、「にんにんにん!」と言いながら乾布摩擦する。
◆遠野 歌菜(とおの・かな)
次々とテーブルを“ちゃぶ台返し”する。
◆東條 カガチ(とうじょう・かがち)
他人ににすりすりして、「おにいちゃーん」と言う。
◆トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)
「誰が産んでくれって頼んだよ!」と幻の母に怒鳴る。
◆ナガン ウェルロッド
執事のようなポーズで、顔もキリッとさせて 「お怪我はございませんか」と言い出す。
◆七枷 陣(ななかせ・じん)
「ダム! ダム! ダム!」と叫びながら、他人をぶん殴る。
◆七瀬 歩(ななせ・あゆむ)
「粗茶ですが。粗茶ですが」と連呼しながら、急須のお茶をかけて回る。
◆林田 樹(はやしだ・いつき)
「酔い抜くぞー!」と連呼しながら銃を乱射する。
◆緋桜 ケイ(ひおう・けい)
カラスになって、リアルに飛ぶ。
◆姫宮 和希(ひめみや・かずき)
乙女化して、くねくねしながら「いやーん」と言う。
◆ファタ・オルガナ(ふぁた・おるがな)
他人に甘えていっぱいキッスする。
◆フィル・アルジェント(ふぃる・あるじぇんと)
ヤンデレ化して、銃を発砲する。
◆プレナ・アップルトン(ぷれな・あっぷるとん)
カエルになって、ぴょんぴょん跳び回る。
◆本郷 翔(ほんごう・かける)
「どけこら!」と連呼しながら、なんでもかんでも突き飛ばして、ひたすら前進する。
◆ミレイユ・グリシャム(みれいゆ・ぐりしゃむ)
ストローを他人に刺して、血を吸う。
◆メイベル・ポーター
「飛びます! 飛びます!」と言いながらどこかに飛ぶ。
◆望月 あかり(もちづき・あかり)
「おいしゅうございます」と言いながら、何かをフォークとナイフで上品に食べる。
◆譲葉 大和(ゆずりは・やまと)
お払い棒をバサバサ振って、霊能力者になる。発症中は他人の守護霊が見える。
◆ラーフィン・エリッド
裁判長モードになる。カンカンカンと木槌を鳴らして、有罪判決を下す。
◆ラルク・クローディス
全裸になって、「うおおおおおお!」と叫びながら走り出す。
◆ランツェレット・ハンマーシュミット(らんつぇれっと・はんまーしゅみっと)
火を噴く怪獣になる。(火術を使用している模様)
◆リカイン・フェルマータ
「地獄行きだッ!」と叫びながら、死神のような大鎌を振り回す。実際に斬ってしまう。
◆リュース・ティアーレ
「ワンツッワンツッ!」とリズミカルに足をあげてエアロビダンスをする。
◆ルイ・フリード
女子のスカートを「スマイルめくり!」と言いながら、めくる。
◆ルカルカ・ルー(るかるか・るー)
猫になる。(にゃんこるかるか)
◆レキ・フォートアウフ
「遊ぼうよ。遊ぼうよ」と連呼しながら他人の手を引っ張る。
みんなが板書された『ソアノート』を見て対策を練っていると、まだ発症していない余裕だろうか、皆川 陽(みなかわ・よう)が関係ないことを尋ねてまわっていた。
「女の子用のスクール水着、しりませんかっ? このあたりに落ちたはずなんだけど……えっとえっと。ていうかメガネがないよー」
額にメガネをかけたまま、メガネとスク水を探し回っていた。
そのとき、すぐそばで恭司の声が聞こえる。
「マネーーーーロンダリングーーーーッ!!」
「はっ。まさか。橘さん、どっかに隠したの?」
症状から覚めた恭司にわかるわけがない。
「なんのことだ? メガネなら額にあるぜ」
「え……」
と、そのとき陽の瞳孔がトツゼン、ガバッと開いて何もない宙に向かって話しかける。
「あ。はじめまして。スクール水着がお似合いだね! ……そっか! なるほど。……うん。……うん。キミは“スク水の精”なんだね。お名前は? ……プルプル? なんてステキな名前なんだろう! ボクは陽。皆川陽だよ。……あれれ。プルプル。どこに行くの? ……時間? そっか。じゃあまた後でネ! さようなら、プルプル〜!!」
そこで症状が覚めた。
みんな、唖然として陽の顔をのぞき込んでいる。
「どうしたの、みんな? ボク……何かおかしい?」
戸惑いが広がる中、勇だけはニヤリと意味深な笑みをこぼして呟いていた。
「皆川陽。もっとおかしくなってみませんか……ふふっ」
そして、『ソアノート』に新たな症状がつけ加えられた。
◆皆川陽
スクール水着の精(名前はプルプル)と会話する。
結局スク水がどこにいっちゃったのかわからない陽は、救命艇の引き戻しを狙う。
『ソアノート』を板書していたエメ、そしてバレリーナ武尊とともに甲板に向かった。
「ロープ係やるよ!」
バラのつるの耐久性を知った陽は薔薇学生の制服からバラのつるを回収していった。手のひらを傷だらけにしながら。
操舵室の奪還には、真一郎、周、陽太、刀真、アリアが向かう……
が、周はなかなか行こうとしない。
真一郎が心配して声をかける。
「どうしたんですか?」
「ああ。真一郎……俺よお、いまいちモチベーションがあがんねえんだよ」
「そんなこと言ってる場合じゃ――」
「わかってるよ。じゃあ……」
と、トツゼン、アリアの前にひれ伏して、妙なリズムで祈りの言葉を唱え出す。
「アーリーアーリーセーレーセーレースッティーサーマー」
アリアは発症してないので、周の意味不明行為に戸惑うばかり。
「や、やめてくださいっ。私っ、神様なんかじゃありませんよ」
「アーリーアーリーセーレーセーレースッティーサーマー。エーローエーロースーノーカーミー」
アリア教の熱烈信者である周はひれ伏しながら、アリアのドレスの中に潜って、パンツをのぞく。
「アリア様! あなたのお力をわけあたえたまえー!」
「きゃあ! なにを……やめてーっ」
アリアの足がすくんで身動きが取れないのをいいことに、周はさらに暴挙に出る。
なんという酷い信者だろうか、図々しくもアリア様のおみ足をさわさわさわさわさわ……。
「ちょっと、あなた……いきなり何をっ!」
「おおおおお、いろんなもんがたぎってきたぜええええええ!!!!!!」
さらにそのおみ足に口づけをして、感激のあまり触りまくる。
「おおおお! このスベスベした……頬。さらさらの髪って……うわっ!!!!」
周が口づけしたりさわさわしたりしてたのは、陽太だった。
「うふふふふ……」
奇行症を発症して、アリアの右足と左足の隙間に入っていたのだ。
「うふふじゃねえよ!」
わなわなとアリアから離れる周に、刀真のドロップキックが飛んできた。
「のぞき部のばーか!」
「うごべっ!」
周はぶっ飛んだ。
刀真は、こっそりドレスから出てきた陽太にも……
「のぞき部のばーか!」
「ぶぎばんっ!」
陽太もぶっ飛んだ。
教導団の真一郎は、このしょうもない仲間たちを見て不安を感じていた。
「こ、こいつら…………世界一ッ!」
真一郎も発症していた。
しかも、めっちゃカメラ目線だ。
「世界一ッ!」
撮影していたメイベルは苦笑するしかなかった。
「ははは……そのとおりですぅ」
メイベルはしょうもない奇行を撮りながら、この船で起こるすべてを撮影しようと決意していた。
そして、ある意味ではメイベルと同じ記録係とも言えるのが、珂慧だ。
彼は、ぼんやりと自らが描いたスケッチブックをめくっていて、ふとその手が止まった。
明け方、ンカポカがヘリコプターで去っていく瞬間の絵だ。
――ヘリコプターに向かってカラスが一羽、翼をはためかせて向かっている。
「おっかしいなあ。なんでこんな海の真ん中にカラスがいたんだろう。僕も頭がどうにかしちゃったのかな……」
珂慧の頭は正常だ。
むしろ、心の目で物事を捉えることのできる真のアーティストとしての才能が開花していた。
そう。このカラスは、発症中のケイ。
ヘリに向かって飛んでいったのだ!
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