リアクション
露天風呂が男女別だったことに、レイカは少しほっとした。 ○ ○ ○ 深夜。 ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)は、恋人の桜井 静香(さくらい・しずか)と共に、露天風呂を訪れていた。 日中は音楽祭を楽しみ、出店を見て回って。 日が暮れてからは、宿で休憩をとって、夕食を戴き。 そして、パートナーの テレサ・エーメンス(てれさ・えーめんす)と、メリッサ・マルシアーノ(めりっさ・まるしあーの)が眠りに落ち、露天風呂に誰も居なくなった頃に、ロザリンドは静香を誘ったのだ。 湯浴み着があるのなら、女湯に入った方が自然な静香だが、湯浴み着を着たままでは体を洗う事が難しい。 そのため、静香は男湯、ロザリンドは女湯へと入った。 洗い場で体を洗ってから、湯船に入り。 ロザリンドは空を見上げた。 ここから見えるのは、パラミタの夜空。 星々の配置は、地球の夜空とは違っていた。 「綺麗ですね。街中では、こんなにはっきりと見えませんから」 「ホント、星ってこんなに多いんだね……」 男湯の方から、静香の声が響いてくる。 景色のことや、肌や髪の手入れのこと。 女の子同士のような、他愛もない話をして。 それから、百合園女学院のことも、ロザリンドは少し聞いてみる。 静香は、百合園をどうしたいのかと。 静香の考えは、以前と変わりはないようだった。 みんな仲良く。 仲良く出来るよう、努力したいと思っていること。 静香の考えは、子供のように単純だ。 だけれど、それを実行し続けることは、叶えることも非常に難しいことだと、ロザリンドは分かっている。 「校長もロイヤルガードですが、もし女王様や代王様達だけでなく、一般の人や、そして私も危険な時は、誰を真っ先に助けたいですか?」 ふと、ロザリンドは静香にそう尋ねてみた。 この中から誰かを選ぶのであれば、責任ある者として全体の優先順位が分かっているということだったり、力のない人を護ろうとする心を持っていることがわかったり、そして……一個人として嬉しくもあるのだけれど。 「僕は、大切な人を守りたい……ロザリンドさんのことが大切で、そして百合園女学院の生徒も、女王様も、代王様も、一般の人たちもみんな大切なんだ」 静香は、たどたどしく、でも迷いのない声で答えていく。 「だから、出来ないって言われるかもしれないけど、みんな助けたいと思う」 「それは全てをどうにかしたいという、甘くて貪欲で難しく厳しい選択ですね」 ――でも、あなたは、その道を選ばれるのですね。 そんなロザリンドの言葉に、静香は少し間を開けた後、「うん」と答えた。 「手が足りない部分を、補う事ができたらと思います。そのためには、少しでも強く賢くなりませんと」 「ロザリンドさんは、今でも強くて賢いけれどね。手が届かない人になりそうだよ」 ロザリンドはくすっと笑みを浮かべた。 「で、ロザリンドさんの答えは? 誰を真っ先に助けたい?」 「……いえ、今の話は冗談です。女王との天秤とか不敬罪にも程がありますから」 ロザリンドは軽い口調で、こう続ける。 「あ、校長のお背中流しにそちらに行きましょうか?」 ぴちゃんと音がした。 静香が湯船で動いた音だ。 姿は見えないが、静香はロザリンドのすぐ近くにいる――。 「ず、随分と積極的になったね。ほ、本気?」 「これも冗談です」 ロザリンドはそう言って微笑んだ。 多分静香も、赤くなって微笑んでいるだろう。 (湯浴み着お借りして、一緒に貸切で露天風呂に入るのも良かったと思いますけれど……) 姿が見えない方が、素直に言えることもあるなとロザリンドは思った。 長い間、温泉と会話を楽しんだ後は、ロザリンドのパートナー達を起こさないよう、静かに部屋に戻って。 並んで一緒に眠りについた。 担当マスターより▼担当マスター 川岸満里亜 ▼マスターコメント
こちらのシナリオは、川岸満里亜と、冷泉みのりの2人で担当させていただきました。 |
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