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ヒラニプラ南部戦記(最終回)

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ヒラニプラ南部戦記(最終回)

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7-05 王子の到着

 オークスバレー。
 王子が到着した。
 香取隊から、早速表敬訪問の者が出され王子を出迎えた。
 王子は、この地と教導団の未来にとってかけがえのない御方。必ず守り抜く。――そう彼女の眼差しが語る。
 水原 ゆかり(みずはら・ゆかり)であった。
「王子、南部諸国からの長い旅を経てよくおいでになられました。
 オークスバレーで指揮を執る香取隊から水原ゆかりが代表しお迎えにあがりました。遠路はるばる駆けつけてくださったことに、心からの感謝を捧げるとともに……」
「エッ」
「……はい? 何か」
「キュ」
「キュ……??」
 知的で温和そうで整った顔立ちの水原に、王子は……「キュン」。
「?
 ……ええ、オークスバレーと」水原は続ける。「南部王国双方の共通の敵であるパラ実国頭派を撃破し、もってヒラニプラ南部全域に平和と安定を……」
「ぼぼ僕」
 王子は頬を紅くそめ内容はあまり耳に入っていなかった。
「王子。まいりましょう」「オークスバレーを解放せねば。いよいよ最後の戦いです」
 劉協とハンスが王子をかかえていった。
 作戦中で手が離せなかった香取も、すぐに王子のもとに挨拶に向かう。
 ここにこうして、南部王家の軍と教導団の軍が合流した。
「香取さんもいいなぁ」
「お、王子? ……」劉協がいさめる。
「どっちがいいかなぁ(どっちも……ふ、ふたりと……(うはうは)」失恋の痛手に、南臣の属性が伝染ってしまったようだ。
 
「さあ。此の一戦、オークスバレーと南部そしてシャンバラ教導団の興廃が決す! 必ずや勝利を!」
 香取が指揮を振るう。
 水原は、王子の傍で護衛を引き受けることに。
 こうして、香取隊と王子の隊は、敵総大将の立て篭もる南西分校を目指し進軍を開始した。