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リアクション
第二章 恐怖の豪腕! デヘペロ弟s 1
一方その頃。
「『来るには来たが中の状況がわからない。港の見取り図や何かを送ってもらえないだろうか』……と」
ここまで来ている証拠にと撮ったデヘペロの写真を貼付しつつ、如月 佑也(きさらぎ・ゆうや)は最初のメールにそう返信した。
実際、中の構造がわからないのでは防衛するも何もあったものではないので、これは極めて妥当な要求である。
やはり似たような要求が多かったのか、すぐに最初のアドレスから返信が返ってきた。
「……何だこれは」
送られてきたのは、短いアドレスと「港内部の地図と侵入者の現在位置、リアルタイム更新中(パケット代はご負担ください)」というふざけた注釈。
こんな事態なんだからパケ代くらいそっちで払え、と言いたくもなるが、そこはポータラカ人のすること、大目に見ていただくより他にない。
そして何より、一番の問題はそこではなく、港の内部構造の方だったのである。
「…………!?」
おそらく同じメールを受け取っているであろう一同。
そのある者は目を丸くし、またある者は天を仰ぎ、そしてまたある者はあまりの事態に頭を抱える。
そんな中で、白砂 司(しらすな・つかさ)は一度ため息をついた後、辺りをきょろきょろと見回してこう言った。
「いるんだろう、ゲルバッキー。出てきたらどうだ?」
すると、その声に応えるように、すぐ側に光り輝く犬が出現する。
「ふむ、要望があったから内部管制システムの一部をミラーリングして公開してみたが、何か問題でもあったか」
「問題がありすぎる。何でこんなに横道が多くて入り組んでるんだ」
皆の意見を代表して佑也がそう問いつめると、ゲルバッキーはドヤ顔でこう答えた。
「こうして複雑な内部構造にしておくことによってこちらが地の利を得られるようにし、敵を各個撃破しやすくなるようにだな」
なるほど、確かに横の移動を容易にし、戦力を自在に動かせる形にしておけば、その時その時に応じて最適の配置に変更することができる……のだが。
これは、あくまで「味方側が奥にいる」ことを想定した防衛システムであって、今回のように「味方主力が外から来る増援部隊」という事態には全く合っていないと言わざるを得ない。
「で、現状は?」
「そんな悠長なことは言っていられん。とにかく分散してでも全て食い止めてくれ」
全く悪びれた様子のないゲルバッキーに、司と佑也は顔を見合わせてため息をついた。
「完全に裏目に出てるじゃないか……」
ともあれ、まずは内部に突入しないことにはどうしようもないのだが、港入り口付近で巨大デヘペロが暴れているのでは突入するのも難しい。
「どうにかしてやつを入り口から引き離す。隙を見て突入してくれ」
そう言いだしたのはコア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)。
「行くぞ! ドラゴランダー! キングドラグーン!」
その叫び声とともに、何の前触れもなく大地を割って現れる龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)と、これまたどこからともなく飛来した龍帝機キングドラグーン。
その三機が、まばゆい光とともに合体し――。
「黄龍合体! グレート・ドラゴハーティオン!」
イコンにも匹敵するサイズの、グレート・ドラゴハーティオンへと「心化」した。
「希望の光に導かれ、勇気と共にここに見参!!」
以上、ここまでバンクフィルム。いわゆる登場時のお約束であるので、「そのパワーで横道掘って突入経路作ったらいいんじゃ」などの無粋なツッコミは入れてはならない。
なんにしても、これだけ派手な登場をすればいやでも目立つ。
「ペロロゥ!?」
デヘペロがハーティオンに驚いている間に、後ろから柊 真司(ひいらぎ・しんじ)のゼノガイストと、トマス・ファーニナル(とます・ふぁーになる)のアイゼンティーゲルが連携して遠距離攻撃をしかけ、デヘペロの注意をそらす。
さらにサルーキも先ほど温存していたコロージョン・グレネードを投げつけると、完全に頭に血が上ったデヘペロは港への攻撃を中断し、彼らの追撃に走った。
「さあ、今のうちに!」
ハーティオンに促され、内部戦闘組及び子犬のお世話担当の面々が続々と港内部へと突入していく。
それを見届けて、ハーティオンも巨大デヘペロの方へと向き直った。
登場シーンだけで注意を引いてしまったため、「自称反陽子爆弾」を投げ損なったのは……まあ、今となっては些細なことである。
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