リアクション
○ ○ ○ 「それではまず、皆様のお世話をする班用の休憩所を作りましょう」 一行は蒼空学園の本郷翔(ほんごう・かける)の提案で、まずは調査に向かった人々や、依頼主達の世話を買って出た人々用の休憩所の設置から始めることにした。 ミルミ・ルリマーレンや高原瀬蓮(たかはら・せれん)達は、まだ豪華な馬車の中にいる。 このあたりは携帯電話は使えないのだが、ミルミのパートナーにして、白百合団団長の桜谷鈴子(さくらたに・すずこ)とは繋がる為、現地に着いた旨の報告をしているようだ。 「テント、このあたりでよろしいでしょうか」 馬車からテントを運んできた機晶姫ジェーン・ドゥ(じぇーん・どぅ)が、パートナーのファタ・オルガナ(ふぁた・おるがな)に訊ねる。 「そうじゃのう、もう少し水辺に近い方が便利かものう」 ファタはそう答えて、川に近い場所にテントを下ろさせ、設置の作業を始めることにする。 「手伝います」 と、イルミンスールの沢渡真言(さわたり・まこと)が近付き、共にテントを組み立てていく。 「人数多いので大変ですけれど、頑張りましょうね」 翔は水を汲んで、テント近くまで運んでくる。 「こちらでは、簡単な作業が行えると便利そうですよね」 イルミンスールのナナ・ノルデン(なな・のるでん)は、床に敷物を敷いてく。 「お、重かった……」 ナナのパートナーのズィーベン・ズューデン(ずぃーべん・ずゅーでん)が、担いでいたポリタンクをテントの中に置いた。 ポリタンクの中には、消毒用のエタノールが入っている。 「水出し用の紅茶、用意してきました」 蒼空学園の牛皮消アルコリア(いけま・あるこりあ)は、なんだか凄く楽しそうにテーブルの上に紅茶のパックを置いた。 「ぐぬ……なぜボクまで……」 その隣ではパートナーの シーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)が、落ち着かない様子で辺りを見回していた。 別荘付近には害虫が繁殖しているという……。シーマは極力近付きたくなかった。1人で行けばいいものをと思いながらも、アルコリアを放っておけず、仕方なくついてきたのだ。 「それじゃ、皆さん用のテントの設置しよっ!」 可愛らしい輝く笑顔を見せたのは、百合園女学院の七瀬歩(ななせ・あゆむ)だ。 「お嬢様方をいつまでも窮屈な馬車に入れておけませんしね。急ぎましょう」 真言は設置したばかりの世話係用のテントの中に、自分の荷物を下ろした後、歩と共に、皆のテントの設置を始める。 「あのねー、ユーリはねー、マコトの邪魔にならないようにお茶とお菓子を食べてるよー!」 真言のパートナーで魔女のユーリエンテ・レヴィ(ゆーりえんて・れう゛ぃ)は、真言の荷物の中からお菓子を取り出して抱えると、真言の傍で嬉しそうな笑みを見せた。 真言は外見は美しい女性だが、執事であるため執事服を纏い、その上に汚れないようにユーリの男物制服のローブを身につけている。 代わりに男の子のユーリーが女の子の格好をしていた。 「そして皆とおしゃべりして元気が出るように、話し相手になるんだよ」 嬉しそうに言うユーリーに、真言は優しい微笑みを見せる。歩も一緒になって微笑んだ。 「どれ、わしも手伝おうか。大きなテントになりそうじゃのう」 ファタが2人の傍に近付いて共に微笑み合い、テントの端の紐を結んでいく作業を手伝う。 「テーブルどうしますか」 ジェーンが馬車の中からテーブルを運んでくる。 「一緒に中にいれよ」 歩はパタパタと歩みより、ジェーンと一緒にテーブルを入れて、茶菓子を並べていくことにする。 |
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