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リアクション
第10章 お披露目、試運転、そんでもって模擬戦
いくら合体したとはいえ、所詮はものを適当にくっつけただけ。装備も何もあったものではない。
いくら接合したとはいえ、簡単な溶接であり、簡単な結合を施しただけ。しかも、一部はドリルで穴を開けてしまっている。
いくら巨大になったとはいえ、それは単独で動くものではなく、各イコンがそれぞれに操作しなければならない。
いや、むしろ、その程度の合体、あるいは無茶な巨大化を行ったのだ。普通に考えてこのような馬鹿げたイコンがまともに動くはずがないのだ。
そう、普通なら。
「やれる……! 完成させた俺たちならやれる……!」
「息を合わすって……? そんなもの、最初からぴったりだよ……!」
「私たちは合体したんです……!」
「我らの合体の前に、障害など無し……!」
「あたいらはやったんだ……! だからこの後もできる……!」
「曲芸飛行なんて目じゃない……! オレたちは1つになって動くんだ……!」
「俺様たちの前に、不可能なんてあるわけがねえ……!」
「壊れるかも? 動かないかも? そんなのどうだっていいもん……!」
「仮に壊れるとしたら、それこそ本望……!」
それぞれのイコン――そこに追加して、要の離偉漸屠の中には美羽とベアトリーチェが操縦者として同乗していた。要とアレックスは無理矢理中に入った状態である――に乗り込んだパイロットたちの魂が震える。自分たちにならできるという想いが高まる。
この時の彼らは、天御柱学院の学生のみが使うことを許された最大の秘儀「覚醒」が使えるかもしれないほどにテンションが高かった! もちろん、実際に使えるわけではないが。
「それじゃみんな! 試運転、いくよ!」
「おう!」
要の号令と共に、【ドージェ様代理聖像1号】は無理矢理動き出した。
その場から移動するためには、足部分である出虎斗羅2台がエンジンを起動させ、そのタイヤを転がさなければならない。だが所詮トラック2台。他のイコンや装備が乗った状態では、たとえパワーブースターが搭載されていようともまともに動きはしない。
そこで登場するのが「仏斗羽素」である。出虎斗羅だろうが恐竜だろうがぶっ飛ばすと評判の飛行用ブースターが2台分もあれば、多少重くてもぶっ飛んでくれる。久と菊は同時に出虎斗羅をぶっ飛ばし、その体全体を滑らせるように動かした。
「おお! 動いた!」
「信じらんねえ! あれが本気で動きやがるとは!」
ギャラリーからそのような言葉が漏れる。
「ところで、他のイコンの動作は大丈夫なの? こっちは問題無いっぽいけど」
要から全員に通信が送られる。
「ゲブーだ。ドリルが刺さってるせいか、さすがにエンジンが動かねえな」
「知恵子だよ。あたいも同じさ。これだと撃ったりするのは無理そうだね」
「だが心配はいらないぜ! 動けない分は根性でどうにかしてやるぜ! がはははは!」
さすがに両手として取り付けられたイコンそれ自体は動かないらしい。そうなると両手に接続された武器は、ギガキングドリルが両腕を動かすことで使用するしかない。
「九十九です。こっちは動かすことには問題無いようです」
「うん、了解!」
それぞれの状態を確認したその時、近くで待機していたイコンが動き出した。
それは、要たちの魔改造イコンと戦おうとする面々のものだった。