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リアクション
○第七試合 螢惑−エンペリオス・リオ
「待たせたな! 未来のイコプラ界の帝王、ヴァル・ゴライオンだ!」
そのセリフに大鋸はムッとした。だが、頑張って顔に出さないようにし、額に血管を浮かせるだけで何とかすませた。
「この帝王の道を、止められるものなら止めて見せよ。行け黄金の獅子帝王、“エンペリオス・リオ”!」
エンペリオス・リオは【シパーヒー】をベースとした黄金色のイコプラだ。前線指揮官タイプとして改良されており、味方の士気を上げ、敵の攻撃を集中させるための派手な外見となっている。一方、派手な外見にのみ目を取られがちだが、追加装甲による耐久性向上は目を見張るものがある。
対する湯島 茜(ゆしま・あかね)のイコプラは“螢惑”。三本足であるということ以外に、取り立てて目立つところはない。
茜は考え込んでいた。
(あたしもこれまでいろいろね、卑怯な奴とも闘ってきたんだよね。勝ち残っては来たけどさ、「卑怯者め!」って思いつつね、ほらやっぱり対策とか必要じゃない? べつに使うつもりとかないんだけどね、公式戦じゃ使えないし……)
「ファイッ!」
「だから、しょうがないよね」
「俺のロードに立ち塞がるな!」
開始早々、嵐の儀式でエンペリオス・リオが吹き飛ばされる。体勢を整えるより速く、
「封印呪式の解除を認証するぞ! マーシャン・インフェルノ・テンペスト!!」
叫んだのは茜のパートナー、明けの明星 ルシファー(あけのみょうじょう・るしふぁー)だ。
せっかくのおいしいセリフを取られた茜が睨むと、ルシファーは、かりんをナンパしていた。
「オレだよ、オレオレ。あのチョー有名悪魔のさあ」
あの野郎と思ったが、今は集中せねばならない。
エンペリオス・リオは続けざまの攻撃から立ち直り、デュエリングピストルを撃った。そしてそれが防がれるのは百も承知で、螢惑のフレイムスロワー(火炎放射器)を防御しつつ間合いを詰め、レイピアを突きつけた。
「……素晴らしいファイトだった」
フッとヴァルは笑った。螢惑は動けなくなっていた。だが、二対一で、エンペリオス・リオは敗北した。
○螢惑−エンペリオス・リオ×
○第八試合 クェイル−六天魔王
ラウンドガールのセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)が八試合目を知らせるボードを持って、会場内を回った。
いつもと同じ水着姿なので然程抵抗はなかったが、同じくラウンドガールとしてバイトするはずだったセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)が、スタッフの「キミも参加してみない?」の一言で、選手に転向してしまった。一人となると、妙に気恥ずかしかった。
しかし、セレンがどのような試合を見せるのかは楽しみで、仕事が終わると観客席の最前列に陣取った。
ちょうど隣に座ったのが、桜葉 忍(さくらば・しのぶ)だった。双方、パートナーが対戦相手と知り、よろしくと挨拶をすると、忍は優しげな微笑を浮かべた。
「イコプラバトルの事は知っていたけど、こんなに参加者がいるぐらい人気があるとは思わなかったな」
「あら、これはただのショップ大会よ。もっと大きい規模の大会もあるはずよ」
「そうなんだ。詳しいのかい?」
「受け売りよ」と、セレアナは苦笑した。「イコンは操縦するけど」
織田 信長(おだ・のぶなが)が現れた。その傍らに、イコンホースに跨った“六天魔王”の姿がある。
「使うのは馬か、その魔王か?」
と、大鋸。
「無論、六天魔王よ!」
対するセレンのイコプラは、“クェイル”。特筆すべき点はない。
「私の六天魔王の強さを見せてやるのじゃ!」
試合開始と同時に、六天魔王の嵐の儀式により、クェイルが吹っ飛ばされた。飛ばされたクェイルはそのままの体勢のまま、アサルトライフルを撃ったが避けられてしまう。
六天魔王は、その隙に距離を縮め、空裂刀を二度振るったが、今度はクェイルがそれを避けた。二体はじりじりと間合いを取りながら、最後の一撃を見計らっている。
「信長ー! 負けるなー! 頑張れー!」
「おうさ!」
「セレンー! そこよー! 一気にいけー!」
「イコンって苦手なのよね……」
セレンは呟き、しかし六天魔王が再び空裂刀を構えたのを見逃さなかった。
クェイルのバズーカが六天魔王の肩を打った。
ポイント同点につき、両者二回戦進出となった。
クェイル−六天魔王 引き分け
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