空京

校長室

重層世界のフェアリーテイル

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重層世界のフェアリーテイル
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リアクション


基地潜入

――、時間が少し戻る。

「閑散として動きがないわ……」
 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は遠巻きに基地の様子を観察して思った。
 未だ応答のない、この世界の基地。そこを偵察する部隊も組まれた。
 あの基地がなんのためにあるのか。謎の飛行物体との関係は。基地に向かった生徒の安否は。など、基地に関する情報が不足しているため、それらを調べる必要がった。勿論、不明瞭な軍事基地を調べるのだ。慎重に進めなければならない。
「外に誰も居ないのは異常かも――。それだけ私らを警戒しているのか、何にしても中の様子がわからないことには始まらないわ」
 セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)はカメラ越しにそう思い写真を取る。外からでは情報が入ってこない。電子的な方法で中を確認しようにも、そういった事への対策はが外壁にされているだろう。
「やっぱり内部に潜入して、診ないとね……」
「それ本気? セレン、いくら何でも無謀で無理だと」
「ええ、勿論よ。 だってすでに何人かは中へと入っているはずよ。あたしたちも行くわよ」
 セレンフィリティは基地へと入るべく、接近を試みる。
 セレアナは、隠れるスキルがないのにどうやって。と思いつつも結局付き合うことになった。

 ――基地内部
「意外と静かだ……」
 高崎 悠司(たかさき・ゆうじ)は《隠れ身》の中、基地を調べてそう思った。この軍は有事の時かも知れないのに、騒ぐことなく統率が取れているように思える。
 セキュリティーの厳しそうなところには入れそうにないものの、それでもずいぶんと面白いトコだと思う。
「おっきな基地だね、やっぱりロボットみたいなのを作ってるのかな?」
 レティシア・トワイニング(れてぃしあ・とわいにんぐ)が小声で言う。
「かもな。地下に階層を伸ばしているタイプの基地みたいだし、下の方に大きな格納庫があるかもな」
 外には滑走路もある。この基地から何かを飛ばしているのは明らかだ。しかしそれが、前に確認された謎の飛行物体となると、結構ヤバいかもしれない。兎に角情報を聞き出さないとだ。
 ちょど、人が歩いている。女性二人だ。ここの研究者か何かだろうか。悠司は後をつけて、直接話を聞くことにした。
「すみませーん、ちと道に迷ったんですけど、ここってどこなんですかね?」
 フレンドリーに話しかける悠司。しかし、話しかけた二人が急に臨戦態勢を取る。マズったかなと思ったが――。
「――、悠司さんですか……。脅かさないで下さい」
 態勢を崩して八薙 かりん(やなぎ・かりん)は胸をなでおろした。
「て、なんだよ。驚いたのはこっちだよぜ。なにしてるんだよここで?」
「基地内部のマッピングだよ。セキュリティーの高いところ以外を回って情報端末かイコン格納庫を探してたんだけど……」
 と葦原 めい(あしわら・めい)が口篭る。【銃型HC】での情報端末へのアクセスがどうにもできなかったのだ。大きな情報を未だ得られていない。
「でも、格納庫へ行くことはできそうだもん」
「それほんと? じゃあそこでおっきな情報入りそうだよね?」
 レティシアが興奮気味に言う。確かに、格納庫を調べればここの軍事力が分かるかも知れない。危険を承知で向かうことにする。
 一同は、格納庫に通じるエレベーターへと向かった。予想通り、エレベーターは地下深くに続いているらしくBのついたボタンが多い。一番下のフロアのボタンを押してエレベーターに入った。
――、とおもったらいつの間にか彼らは格納庫の中にいた。
「あれ? 私らエレベーターに入ったよね?」
「これ、エレベーターじゃないよ。転送装置をエレベーターがわりに遣っているんだよ!」
 混乱するかりんに、めいが教える。要は彼らは上の階から格納庫へ《テレポート》したのだ。量子テレポーテーションを利用した転送装置だとは知りもしないで使ったのだった。
「ね、あの赤いの何だろう?」
 レティシアが格納庫に佇む一基を指さした。
 突如、格納庫が騒がしくなる。
――スクラブルランプが回り始めた。

「へへ、なんか面白いものないっかな〜。ついでに美女いないかな〜」
 軍事基地に潜入したというのに、トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)はお気楽だった。
「もう! 教導団じゃないんだから普通軍にそうそう女性が居るわけないじゃん!」
 そんなトライブをジョウ・パプリチェンコ(じょう・ぱぷりちぇんこ)が叱る。対戦車ライフルで頭をぶっ飛ばしてやろうかと考える。他の部隊に迷惑がかかるようなら、お仕置きだ。
 ともかく警戒だ。トライブがセキュリティーの高低を無視して進むものだから、ジョウは少し苛立っていた。
 ふと、人の気配に気づく。流石にそれで隠れないトライブではなかった。
 身を隠したトライブたちが見たのは、基地に交渉に向かって、拘束されたかと思われた。クレーメックと麗子の姿だった。
――スクランブルがなる。