空京

校長室

重層世界のフェアリーテイル

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重層世界のフェアリーテイル
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リアクション


イコン防衛戦2

「くそっ! 不意打ちとは卑怯だ!」
 レーガン・ブレイズ(れーがん・ぶれいず)は呻く。クェイルに攻撃が被弾した。後方からの攻撃に対応出来なかった。
「脚部被弾! このままじゃ倒れます!」
 シンディ・エアハート(しんでぃ・えあはーと)が警告する。脚部が折れて、上体が地面に沈んだ。クェイルを破壊されてしまった。
「衝撃でハッチが開かないな……」
 このまま斜めの視界で救援を待つしか無いかとレーガンは思った。
 矢先、外壁が殴られる音がする。
「な、なんですの!?」
 シンディが疑問を口にした瞬間。側壁に光が入った。八ッ橋 優子(やつはし・ゆうこ)が覗いていた。
「よう。生きているじゃんよ」
 《ドラゴンアーツ》で剥がしたが外壁を投げ捨てる。
「おまえは――」とレーガンが聞くので、「むすめカンパニーのアルバイトだよ」と答えて、中から二人を引っ張り出す。
「動いちゃダメ、血が出ちゃう。いい子だから動かないで」
 外に出ると、港町 カシウナ(みなとまち・かしうな)が二人の手当にあたった。片手にもった『パラミタ版 家庭の医学』が不安感を誘う。
 三人を知り目に、優子はタバコを吸う。
「あー無駄に働いた。――、ん? カシウナ。あれも助けないといけねーか?」
 と季節外れのサンタクロースが壊れたイコンに追いかけられているのを見つけてメンドクサソーに言った。
「またですか――!?」
 何かデジャブを感じる光景のように、クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)は追いかけられていた。【サンタのトナカイ】を駆って、必死に逃げる。
「ひーぃ! これじゃ都市に付く前にお陀仏なのだ!」
 マナ・ウィンスレット(まな・うぃんすれっと)が後ろを見て涙目になった。
 せっかく、新境地の良い子たちにプレゼントを配る準備をしようとゲートをくぐったのに、コレではいつかの二の舞だった。
 その上空。戦闘は更に激化していく。防戦するだけでは埒があかない。
 バイヴ・カハがビームシールドを展開して攻撃を受け止める。
「要は、全壊しなければいんだな。ヴェルリア、迎撃モードに切り替えろ」
 もう威嚇なんて悠長なことはやっていられないと柊 真司(ひいらぎ・しんじ)は思う。
「わかった」と短く答えて、ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)はタッチパネルを操作してモード変更。攻撃系統へのサポートシステムを起動させる。
 バイヴ・カハがサイコブレードで四肢切断を狙う。敵機右腕部を切り落とす。
「かおるん、向こうから来るよ!」
 攻撃予兆の熱源反応をリディア・カンター(りでぃあ・かんたー)大羽 薫(おおば・かおる)に伝える。
「襲ってくるなら返り討ちだ! 行くぜリミットブレイカー!」
 脇からビームが抜けていく。躱した。敵機へ接近しビーム砲を持つ腕をビームサーベルでぶった切る。
「荒っぽいけど、攻撃するしか無いよね」
 と北月 智緒(きげつ・ちお)が言う。通信に応じないなら話し合うこともできない。
「荒っぽいけど、動きを止めて話を聞いてもらおう」
 桐生 理知(きりゅう・りち)は威嚇攻撃を止め、敵機をロックオンする。狙いは敵のフライユニット。新式アサルトライフルで一つ撃ちぬく。
 推進力を失った敵機が地上へとゆっくり落ちる。
「考えても仕方がない。取り敢えず殴れば動きは止まるだろう!」
 安直な考えもなく、天空寺 鬼羅(てんくうじ・きら)アモンで突っ込む。
「って鬼羅ちゃん! よーわからんのに殴ったらアカンやろ!」
 暴走するパートナーを止めようとリョーシカ・マト(りょーしか・まと)がするが無駄なようだ。猪突猛進、敵寸前でフェイントを入れて回転力をパンチ上乗せ、頭部を破壊した。
「これでモニターは使えないはずだぜ! もう動けねーだろ!」
「い、以外に考えていたんやな……」
 だが、それでも相手は正確にアモンを狙って攻撃を仕掛けてきた。
「なんや、まだうごくんか!」
「上等じゃねえか! さあもっと拳で語り合おうぜ!」
「ぎゃー! 鬼羅ちゃん深追いはあかんて――!!」
 深追いしようとする、アモンの後方から、大型ビームキャノンが飛ぶ。ネレイドの援護射撃だった。
「外れた……」
「よく狙うんだ。正確に、武装を破壊して無力化するのだよ」
 松川 咲(まつかわ・さき)はサポートの和泉 猛(いずみ・たける)に応えるべく、次の標的に照準を合わせた。
 猛は思う。どうも相手イコンは特殊な構造をしているらしい。頭部を破壊されてもまだ戦えるのは可笑しい。残骸を回収して詳しく調べるひつようがあるだろう。
「いつまでこの威嚇射撃を行えばいいんだ?」
 鬼頭 翔(きとう・かける)が喚く。威嚇とはいえ、弾薬を消費する。
 ジリ貧になりつつある状態。本格的に迎撃しないとと思う。
「基地方向からイコン接近ですわ。敵の増援!?」
 ティグリスが新たなイコン反応をキャッチする。Unknown。カミーユ・ゴールド(かみーゆ・ごーるど)が知らせる。翔はその方向を確認した。
「なんだあのイコンは……」
 赤い鳥が、閃光となって飛来してくる。
 すれ違いざまに、発砲。壊れたイコンが一基爆炎を上げて、霧散した。
 どうやらあの赤い鳥型イコンは、敵ではないらしい。それが基地から来たということは――、
 全機イコンに無線のコール音が響く。オープンチャンネルでの呼びかけだった。
『全機に告げる。こちら、ミネルヴァ防衛軍中将、マシュー・アーノルドだ。諸君らが交戦しているのは『我々の』敵だ。我軍に協力されたし』
「敵? どうゆうことどすぇ?」
 情報連携担当の綾小路 風花(あやのこうじ・ふうか)が尋ねる。
『ヤツら“ドールズ”は、都市侵攻を狙って出現する。我々はそれに対抗するために組織された軍だ。“外世界からの来訪者よ”共戦を求む』
 逆に共戦を拒めば、この世界の軍と敵対することになる。
「了解したぜ、要はアレを撃ち落としても構わないってことだろう?」
 御剣 紫音(みつるぎ・しおん)建御雷にサイコブレードを抜かせた。ドールズと呼ばれるイコンを撫で切りにすることで、共戦意思を伝える。
『協力感謝する。諸君らの来訪を我軍は歓迎する!』
 マシューの機体が変形する。外世界からの来訪者と共に、戦闘を開始した。
『全機に通達どすぇ。交戦中の期待を敵と認識し、アーノルド中将に協力するどす』
 通達を風花が回す。全機の機体把握情報が上書きされる。Unknownは一基を残してEnemyへ。
「了解! ペルラ、アイツらを追っ払うよ」
「了解致しましたわ。アーノルド中将の期待を援護、牽制射撃を行いますわ」
 ミルト・グリューブルム(みると・ぐりゅーぶるむ)ペルラ・クローネ(ぺるら・くろーね)が掛けあう。ゼーレで援護射撃をし、中将の機体の援護をする。
 ドールズが一基、基地へと抜ける。どうやら基地に直接攻撃を仕掛けるらしい。
「放っておけないか……」
 コンクリート モモ(こんくりーと・もも)コームラントカスタムの向きを変えて、大型ビームキャノンをぶっぱなした。推進力を失ったドールズが落ちて行く。しかし、まだ完全に沈黙したわけではない。
「降りてきた奴は俺らに任せろ」
「基地の守備は任せて下さい」
 地上で三船 敬一(みふね・けいいち)白河 淋(しらかわ・りん)がパワードスーツ{ICN0003215#ラピッドレスキュー}で待ち構える。体神像ロケットランチャーでドールズを落ちてくる前に霧散させた。
『我が軍に変わり、基地を死守してくれたこと感謝する』とマシューからお礼の言葉が入る。
『助けてあげたんだら、ご飯チョーダイ!』
 がめつくハロー ギルティ(はろー・ぎるてぃ)が餌を要求する。
 防戦一方から攻め手に変わり、戦況はこちら側が優位に展開する。もとより、ドールズは来訪者の戦力を考慮していなかったので戦力不足になったのだろう。機体数が減り不利と見るや、ドールズは黒い靄の作った空間の裂け目に入り撤退した。
 
 防衛戦に勝利した。がその後には敵機の残骸も何も残っていなかった。