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リアクション
イコン・ザ・フィナーレバトル! 1
「今年は平穏に終わって、フリューネと一緒にいられるかと思ったのにね……」
「まあ、これが空賊団としての最後の戦いもですし、いいじゃないですか」
リネン・ロスヴァイセ(りねん・ろすヴぁいせ)にミュート・エルゥ(みゅーと・えるぅ)が、
古代戦艦ルミナスヴァルキリーの後継機を目指して作られた新鋭艦であり、
空の守護者の名を関する黒き戦艦、ガーディアンヴァルキリーを操縦しながら会話をする。
「さ、それじゃ始めましょうか〜」
「もう準備OKなの?」
リネンの問いかけにミュートは「もちのろんですー」と答えて言葉を続ける。
「戦況の把握はばっちりですし、空母艦載機部隊の準備もばっちりですよ。
なにせ今回は凄腕の整備士さんがいてくれてますから、そうですよねー?」
□■□
『そうですよねー?』
「凄腕かどうかはわからないけど、整備はお姉さんに任せなさいっ」
ガーディアンヴァルキリーに同乗していた荒井 雅香(あらい・もとか)がそう答える。
創造主との最終決戦の際、イコンの最終整備を手がけたイコン整備士だ。
彼女の隣には頼れるパートナーイワン・ドラグノーフ(いわん・どらぐのーふ)の姿もある。
今回も他のイコン整備士と連携して、イコンの整備を手早く、そして念密に行っていた。
「相手の“号泣共鳴”もバカにはできないからね」
「がはははは! 泣き喚くだけでイコンが操れるなんて、おもしれぇやからだよだな!」
豪快に笑うイワン。片手に持ったスパナと、豪快に口を開けて笑う彼の姿はいつも通り。
いつも通りなのはイワンだけではない、雅香もだ。
穏やかな微笑でイコンを見つめて、いつもと変わらぬ様子で整備を進める。
「全部終わったと思ったのに、全く……。
この世界は休む暇も無くて面白いわね」
「がはははは、おもしれえじゃねぇか!
お前ら、思う存分ぶちかましたれ!」
「そうね。整備も修理も全部お姉さんたちに任せて、いってらっしゃい!
ミュートちゃんも頑張ってね、“空の守護者”艦長なんだから」
□■□
『“空の守護者”艦長なんだから』
「あら、激励されちゃったわね、我らが艦長」
「んーなんだかむずかゆいですけど、悪くないですねぇー。では頑張りましょうかぁ」
ミュートが少しだけ照れ笑いをする。リネンもその姿に思わず釣られて笑った。
「さて……先ほども言った通り、準備は万端です。
さあ、司令官。皆があなたの指示を心待ちにしていますよ」
ミュートがリネンに振り向く。いやそれだけじゃない。
ガーディアンヴァルキリーの乗組員が全員、リネンを見ていた。
「ちょ、ちょっと恥ずかしいけど……でも、悪くないわね」
少しだけ顔を斜め上にあげて、目を瞑り、深呼吸をする。
それは、たった一つの指示を出すための前準備。ありったけを込める前準備。
「……空の守護者、ガーディアンヴァルキリーは未だ健在なり!
私たちがいる限りテロリストの好きにはさせない!
だから――思い切りぶちかましてあげなさい!」
「っと、言うわけで空母艦載機部隊、先制攻撃ですぅ」
リネンとミュートの声に全乗員が奮い立つ。同時に発進する空母艦載機部隊。
大量に発進したイコンが一斉射撃を開始し、敵のゴーストイコン・クライを攻撃する。
それを皮切りに、味方イコン・敵イコンも行動を開始した。