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リアクション
イコン・ザ・フィナーレバトル! 5
攻撃を続けていく二人だがそれに気づいたゴーストイコンが見てみぬ振りをするわけはなく、ラグナロクへ多数向かってくる。
「ダリルさんには指一本触れさせないよ! だから、そこをどいてっ!」
屠龍が乗り手桜花 舞(おうか・まい)が、腕組を解除してゴーストイコンの迎撃態勢に入る。
号泣共鳴は確かに無数のゴーストイコンを操るが、操られたイコンの精度はそこまでではないように思える。
「撃ち抜くわっ!」
ビームアサルトライフルでの連射がゴーストイコンへと降り注ぐ。
だがそれ以上の数がラグナロクに、屠龍に迫ってきている。
「舞、そのまま下がって攻撃。引き撃ちよ」
「わかった!」
赤城 静(あかぎ・しずか)の声に何故か、などと確認することもせずに舞は後退しながらカートリッジが空になるまで攻撃を続ける。
引き撃ちの途中、ふと静は気付く。敵に向かって放たれる弾数が先ほどよりも多くなっていることに。
弾の射出位置を目で追っていくと、左手にプラヴァーの姿があることに気付いた。
「大丈夫? 援護する!」
御柱 旭(みはしら・あさひ)がアルベルト・エーレ(あるべると・えーれ)と協力して、舞と一緒にアサルトライフルの弾をバラまいていく。
倍になった弾数、密度を増した弾幕に被弾するゴーストイコンが増えていく。
けれど相手は有人機ではない。そこに恐怖はない。
腕、足などのパーツを欠損させながらもお構いなしに旭の方へと突き進んできた。
「くそ、特攻野郎とは厄介だな!」
「でも何とかしないとっ!」
だが運悪くそこでビームアサルトライフルのカートリッジが切れる。
舞は他のゴーストイコンの対応に追われ、そこまでフォローが回らない。
ゴーストイコンが、旭のすぐそばまで来た時、旭は一瞬死を予感する。
だが――。
ガキィン!!
「あ、あなたは」
「先にこのゴーストイコンを倒してください! 旭さんならできます!」
ゴーストイコンの強引なタックルを受け止めたのは、漆黒のボディを持つイコン。
そのイコン搭乗者に背を押されて、旭がアサルトライフルについていた銃剣でゴーストイコンを突き刺した。
突き攻撃を何度か繰り返して、ようやくゴーストイコンは沈黙した。
「は、はぁーはぁー……何とかなった」
「お見事でしたよ旭さん」
「いえ。これもザカコさんがいてくれたからですよ」
旭を助けてくれたのはアルマイン・スカウターを駆るザカコ・ワルプルギス(ざかこ・わるぷるぎす)だった。
「ザカコさん! 助けてくれてありがとう!」
「……! 舞さん、余所見はいけません!」
「!?」
ザカコにお礼を言った舞だったが、後方の気配にぞっとする。というか、耳が痛いのだ。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!
この世お゛お゛を゛、か゛え゛た゛い゛ぃ゛」
「ったく! うるせぇな! 普通にしゃべれねぇのかよお前は!」
「あなたには分からないでしょうけどね!」
強盗 ヘル(ごうとう・へる)の願い?が叶ったのか、マンドレイクが初めて聞き取りやすい言葉を発した瞬間だった。
マンドレイクから近づいてきたのはザカコにとってありがたいことだった。
そちらのほうが説得がしやすいからだ。
「何故、こんな無茶な方法で世界を変えようとするんですか?!」
「それがあ゛、おれの゛使命だからあ゛あ゛!
なのに全部おわっでえ゛、悲しいな゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
ザコカの声に、ちゃんと反応するマンドレイク。
「悲しさを言い訳にしないで、自分の意思で前を向いて歩きだしてみやがれ!
お前の前には幾らでも新しい道があるじゃねえか!」
「こんな方法を使わなくても、世界なんて幾らでも自分の意思で変えられます!」
世界を変える、というたった一つのことに囚われ続けるマンドレイクを解放させようとするザカコとヘル。
二人の言葉は確かにマンドレイクの心を揺さぶっている。
それでも届ききらない。
「じゃあおれは……どうすればい゛い゛?」
「それは……」
マンドレイクの言葉に、ザカコは即答できない。
「わからなあ゛い゛い゛い゛い゛!
だから、おれはやっぱりい゛ぃ゛、世界を変えるしかあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「くそっ、そういうのは自分で見つけるもんだろうが!」
ヘルが叫ぶけれど最早マンドレイクは聞く耳を持たない。
もう一度説得するには、ある程度ダメージを負わせなければならないようだ。