空京

校長室

選択の絆 第二回

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選択の絆 第二回

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エギル・ソールズを追え 1

イルミンスール魔法学校校長の
エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)と、
イルミンスール魔法学校の生徒を中心とした、
エギル・ソールズ掃討部隊を掩護するため、
エギルの手下を引きつけている者たちがいた。

「エギルとかいう奴がエリザベートを狙ってる……?
まったくもって興味ないね。
とはいえ、この泥人形達は何だってこうも鬱陶しいかねぇ。
憂さ晴らしのためにも退いてもらおうか」
ノア・レイユェイ(のあ・れいゆぇい)は、
パートナーの伊礼 權兵衛(いらい・ひょうのえ)とともに、
ゴーレムに対峙していた。
「ふぉっふぉっふぉ、
随分とまぁ……大勢でおいでなすったもんじゃのぅ」
權兵衛は、好々爺然とした笑みを浮かべたが、
眼光は鋭くゴーレムを見据えた。
「……まぁあれぐらいなら大した事でもない。
どれ、我もちぃとばかし力を貸すかのう」

ノアと權兵衛は、徳利に入れていた、
ギャザリングヘクスのスープをあおり、魔力を増幅させる。

「燃え尽きるがいいさ!」
紅の魔眼で、さらに魔力を強化した、
ノアが、広範囲にファイアストームを放つ。
「ふぉっふぉっふぉ、
重ねて喰らうがいいわい」
權兵衛が、その上、さらにファイアストームを放って、
重ね掛けのような具合にする。
魔法攻撃が有効なゴーレムたちが、
紅蓮の炎の中、燃えていく。

「私たちも行きますよ、のぞみ!」
「うん、さくっと倒して皆でお茶会だよ!」
沢渡 真言(さわたり・まこと)は、
幼馴染みで親友であり、執事と主人の関係でもある、
三笠 のぞみ(みかさ・のぞみ)とともに、やはりゴーレムを引きつける。

真言のパートナーの
沢渡 隆寛(さわたり・りゅうかん)が、
ゴーレムたちの注意を引きつける。
「マスターには近づけさせません!」
シュトラールで光線を放ち、魔法攻撃が有効なゴーレムを牽制する。
さらに、騎士らしく、防御を固め、
攻撃を防ぐことができるようにする。

「そちらには行かせませんよ!」
のぞみのパートナーの
ロビン・ジジュ(ろびん・じじゅ)が、
天を裂く傍観者の弾幕援護で、牽制を行う。

ゴーレムたちは、たたらをふみ、
その機動を妨害されて、
御しやすいように誘導される。

こうして、
それぞれのパートナー二人の補助のおかげで、
真言とのぞみが攻撃をするチャンスが整えられていく。

(女王にアルティメットクイーンか、ネフェルティティ様か……。
正直に申しますと私は、今出ている選択肢が『最善』とは思いません)
真言には、今回の、女王の戴冠式に対しては、
複雑な想いがあった。
(ですから、契約者皆さんの別の切り口……可能性にかけたい)
そこで、エリザベートや他の契約者の仲間たちを先に進ませ、
その可能性にかけたいと思っていたのだ。
そのためには、まずは、エギルとの戦いである。

のぞみもまた、女王の力をアルティメットクイーンに譲渡させたくはないと思っている。
だからこそ、自分たちにできることがしたいと考えていた。

ナラカの蜘蛛糸を元にした武器、憂うフィルフィオーナで、
パートナーたちに誘導されたゴーレムをがんじがらめにして制止した真言は、
のぞみと並び、叫ぶ。

「「白き煌めき!!」」

二人の手から、無数の白銀の刃が放たれる。
真言とのぞみ、お互いがお互いを信頼しあう気持ちが、
魔力として形をなし、
目の前の敵を打ち払わんとした。

白銀の刃は、ゴーレムたちに突き刺さり、
その動きを止めていく。

「やったあ!
この調子でがんばろうね!」
「ええ、二人で力を合わせれば、ゴーレムたち程度に負けたりはしません」
のぞみと真言は、一瞬、微笑みを交わすと、
再び、通路の奥から現れたゴーレムに向かって身構えたのだった。