校長室
終焉の絆
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到来、金色のイコン 4 開かれた道を駆ける、二機のイコン。 ユノーナ・ザヴィエートとゴスホーク。 『気をつけていきましょう。まだ何か、隠しているように感じますから』 『了解した。……とは言っても斬り込むことに変わりはない』 富永 佐那(とみなが・さな)と柊 真司(ひいらぎ・しんじ)が通信をかわす。それと同時に攻撃も開始。 「ブレードビット、展開します」 ユノーナ・ザヴィエートのメインパイロット、ソフィア・ヴァトゥーツィナ(そふぃあ・う゛ぁとぅーつぃな)がブレードビットを展開し、グラヒトリへと向わせる。 「ユノーナ・ザヴィエート、ビットを射出しました」 「よし、俺たちもだ」 ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)の言葉を聞いた真司。 今度はゴスホークがレーザービットを展開させ、グラヒトリへ。 無数のピットがエレクトロンボルトが操るグラヒトリを囲む。 「うるさい蝿め」 またもセラフィム機を操り、自分の盾として使用するエレクトロンボルト。 しかしビットはあくまでも牽制用。切り札などではない。 更に、戦いを見ていた佐那があることに気付く。 「……さっきから破損しているイコンばかり操っている……? もしかして、それだけしか操れないのかしら?」 「そう、かもしれませんね。でなければ私たちも操られているはずですし」 エレクトロンボルトが操る、いや。操れるのは破損したイコンのみ。それも軽傷のイコンでは操れないと推測する佐那。 「……そろそろ気付くころか。まあいい、何れはバレるもの」 と、エレクトロンボルトの元へ、グランツ教本部の様子を伝える報告が入った。 「――ここまでか」 操っていたセラフィム機たちが次々と地面へと落ちていく。 「……決める!」 それを好機と見た真司が覚醒状態へ移行。それと同時にヴェルリアが数分間エネルギーを消費0にするため、真なる神となれを発動。 スキルの恩恵を受けたゴスホークがエナジバーストでグラヒトリへ猛進。 「ッ、ちぃ!!」 避けるのは間に合わない、そう直感したエレクトロンボルトはエレクトロンブレードを構えてその攻撃を受ける。 雷と雷がぶつかり合う。その周辺の大気が焼かれているように幻視する。 と、ゴスホークがそのエナジバーストを停止し、その手に剣を持つ。 「これで、終わりだ!」 神の域に達した必殺の剣技、ファイナルイコンソードがグラヒトリを確実に捕らえた。 「がああ、ああああああっ!」 グラヒトリ内にいるエレクトロンボルトが苦痛の声を叫ぶ。 だが、グラヒトリは黙しない。 「手応えはあったぞ……!」 「反撃、来ます!」 グラヒトリのエレクトロンブレードがゴスホークへ斬りかかる。 先ほどの戦闘を見ていた真司は受けるのはまずいと考え、一度後退する。 すると、ゴスホークとすれ違いざまにユノーナ・ザヴィエートがグラヒトリ目掛けて全速前進。 「喰らいなさい!」 ゴスホークと同じくファイナルイコンソードを発動するが、その攻撃を受けたのは操られたセラフィム機。 『はぁ……はぁ……この、青二才どもが!』 『それは、そっちです。本当の切り札は、最後の最後までとっておくものなのです』 そう言うソフィア。ファイナルイコンソード使用直後、すぐさまブレードビットを一つだけ射出し後方から奇襲を仕掛ける。 ガスッ! 刺さる。ブレードビットは確かに、グラヒトリへと。 なのに、どういうことか。 『だから、青二才だというのだ……!』 グラヒトリは動きだす。エレクトロンボルトはまだ生きている。 エレクトロンブレードでユノーナ・ザヴィエートを斬りつける、それと同時に雷撃を喰らわせて部分的に機能不全に陥らせる。 「きゃああ!」 ユノーナ・ザヴィエートが墜落する。だがグラヒトリの攻撃は止まらない。 『……消えろ!!』 グラヒトリの腹部が開口、そこから現れたのは大きな発射口。 「まずいっ!」 真司が肌で感じる。このままでは、ソフィアたちが危険だということを。 「う、動きません!」 「出力機器がまったく動かない。このままじゃユノーナ・ザヴィエートごと……脱出しますよ!」 『二人……も! そ…を動く…! …が…何とかする!』 真司から通信が入るが、通信機器にも障害が起きているようで正確には聞き取れない。 だが真司の何とかする、という言葉を聞き佐那は決断をする。 「……信じましょう。頼みます」 『しつこい蝿がぁ!! 私にはまた課せられた使命があるのだ!』 グラヒトリの発射口にエネルギーが集約されていく。イコンを動かす必要最低限のエネルギーだけを残して、集約されていくエネルギー。 それは目に見える形で現れる。 バチバチ、バチバチバチ―――――――! 『消えてなくなれ……この世からぁ!!』 そして発射される、エレクトロン砲。 膨大なエネルギーの塊がユノーナ・ザヴィエートを滅さんとする。 空気も、葉も、着弾地点にある地面すらも、その通り道にあるものは全て焼け焦げていかんばかりの、熱量の塊。 その前に、ゴスホークが立つ。 「G.C.S展開、ありったけだ! 後のことは考えるな!」 「了解!」 ゴスホークに備わるグラビティコントロールシステムを起動、最高出力で展開後、周囲の空間をありったけ歪ませる真司。 そこへ、エレクトロン砲が衝突する。だが最高出力で展開されたG.C.Sの前に軌道を逸らされ、地面へと着弾する。 すると、聞いたこともない様な超轟音をかき鳴らしながら、バカげたエネルギーが地面を焼き焦がし消して、焦土を生む。 その余波はゴスホークとユノーナ・ザヴィエートを襲い、各機関をショートさせていく。 「なんて、エネルギー量の奔流だ……!」 「くそ、しぶとい連中だ……だが今はいい」 エレクトロンボルトは撤退を開始。他の敵イコンもしばらく戦い続けていたが、程なくして撤退。 後に残ったのは味方イコンの破片と、エレクトロン砲による抉れた焦土、そしていたるところに漂う、闘争の残り香だけだった。