|
|
リアクション
地球の戦い 1
パラミタ大陸と時を同じくし、地球でも戦いが繰り広げられようとしていた。
「おらおらぁ號弩璃暴流破様のお通りだよ!」
「そこのけそこのけ、ってやつだ」
地球に舞い降りた號弩璃暴流破。
その搭乗者である御弾 知恵子(みたま・ちえこ)とフォルテュナ・エクス(ふぉるてゅな・えくす)が咆える。
最早型落ち寸前の貧弱なイコン機。
それでもなお、搭載している武装を全弾撃ちつくすまで乱射する。
「“生まれてみりゃいいことあるって! 色々あったけどオレも幸せだからな!”
そんじゃ、フルスロットルで行くぜ!」
フォルテュナの声に知恵子も同意して、更に弾幕を厚くする。
その弾幕の厚さは不用意に突っ込んでくる怪物たちの体へ次々と突き刺さる。
自分たちでは抗うことができない地球人たちは、號弩璃暴流破を見上げてその強さに唖然とする。
「アタイは『おハジキのチエ』!ただの女と思ったら火傷するよ!!
“セーラー服を着て暴れれば絶望なんて吹っ飛ぶよ!
新しい世界ができたら、アタイが伝えに行ってやる! いいな!”」
弾を撃ちつくした後、今度は近距離での戦いへと果敢に挑む。
怪物の咆哮に、倍の音量で咆哮し返して怪物を蹴散らしていく。
これが、パラ実イコンの伝説ができた瞬間だった。
日本に集まったのは知恵子たちだけではない。
「愛と正義と平等の名の下に!
革命的魔法少女レッドスター☆えりりん! アルティメットモード!」
そう宣言するのは藤林 エリス(ふじばやし・えりす)。
手に持つマジカルアイテム、天破の弓と魔法を駆使して怪物たちを攻撃する。
人々の夢と希望を守るために戦う、それが魔法少女の使命として、
怪物たちを殲滅せんとする。
「ここで負けたら、未来がなくなる。
そしたら、未来人のアイリに合わせる顔が、ないじゃない!」
空から降る星のようなものはエリスの思いそのものか、それとも流星か。
敵へと落ちて敵に致命傷を与える。
「は〜い★ みんなの魔女っ子アイドル、アスカちゃん参上っ♪
よーし! 私は歌を歌うよ!」
アスカ・ランチェスター(あすか・らんちぇすたー)がスタイリッシュなインカムを使い、自ら作った歌を歌い始める。
『終わる世界に 響く神様の声
永遠の時に疲れた魔女には 甘いささやき
もうお休みにしようかな 閉じかけた瞼に映る
貴女の笑顔 人の生は脆く短く――エリスちゃん! 上だよー!』
歌の最中、エリスの頭上から襲い来る怪物を発見したアスカが叫ぶ。
それを確認したエリスは弦をギリギリまで引き絞り、矢を射り撃墜する。
「ほら、続きを歌いなさい」
『すぐお別れになっちゃうけど
もう少しだけ そばに居たいから
滅びを望むあなたのことを 甘いケーキでお祝いするよ
だって 今日はあなたの
ハッピーバースデー☆』
「“ほんと人間って勝手よね。絶望する気持ちも分かるわ。
でもそれは、気持ちが裏返ることもあるってことの証でもあるわ。
今は絶望に満ちていても、生きていることが幸せって感じられる瞬間があんたにもきっと訪れるわ。
だから…あんたも一緒に、生きるのよ!”」
アスカの歌の終わりにエリスがそう付け足した。
その歌に反応してか、怪物たちがアスカへと殺到する。
『あ、あれ〜? 伝わらなかったのかなー!?』
ではなく、大音量で歌っていたアスカを標的にしただけだった。
革命的アイドル 魔女っ子あすにゃんの絶体絶命。
「とても素敵な歌だった」
「ああ、心に響く歌だったぞ」
アスカの両サイドに影。それは硯 爽麻(すずり・そうま)と鑑 鏨(かがみ・たがね)の二人。
鏨が敵の攻撃をいなしつつ体の一部を掴み、投げ飛ばす。
まとめて体勢を崩した怪物たちに爽麻が追いつき、特技の柄を手に取り居合いを放つ。
攻撃を受けた敵の複数は強烈な斬撃に耐えられるはずもなく撃破される。
『二人とも、ありがとうっ』
アスカは二人に感謝するが既に二人の姿はなかった。