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リアクション
地球の戦い 8
日本での支援活動を行っている、
白輝精に追いついた、
クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)は、
手伝いを申し出た。
「今でも【選帝神白輝精様の召使】だからね、俺は」
「あら、殊勝な心がけね」
クリストファーに白輝精が目を細める。
「ところでさ。
白輝精様の召使として……隠れ鏖殺寺院だったものとして……どっちの質問がいいんだろ?
古王国時代にネフェルティティ派の神官だったお方としては
現女王陛下から密命でも帯びているの?
それとも現女王との過去の関係を勘ぐられると面倒なので、逃げたのかな?」
支援活動の休憩のタイミングを見計らい、
クリストファーは問う。
「さあ、どうかしらね」
白輝精は、いつもどおりの、
考えの読みづらい笑みを浮かべ、言った。
「私はネフェルティティ様のご決断が、
滞りなく進むようにしているだけよ。
ネフェルティティ様は、
ご自身の意思で『世界産み』をご決断された。
今度は、ネフェルティティ様に誰かに振り回されず、
自分のご決断を全うしてほしいの。
そのために、古王国時代に関係していた、
私が近くにいない方が都合がいいわ。
ネフェルティティ様は、
新しい世代の代表としてご決断されているんだから」
白輝精は、しばらくの間、
エリュシオンを離れて、
地球医学の勉強とパラミタ医学の普及のために、
地球側の国々を転々としていたのだった。
「それが、大地母神に仕えていた者の、
身の引き方ってことなわけ?」
クリストファーに、
白輝精は笑みを浮かべた。
「だったとしたら?」
「だったとしたら、その考えを尊重するよ。
でも、俺は、白輝精様の召使として、
今、幸せになってほしいと思っているんだけどね。
俺は、今でも白輝精様とつながりがあるんだし」
「ありがとう。
そんなふうに言ってくれるんなら……」
白輝精はクリストファーの肩に手をかける。
「じゃあ、遠慮なく、献血してちょうだい」
「うん、もちろん、かまわないよ」
■
「あ……!」
クリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)は、
まさに、その瞬間、居合わせてしまったのであった。
「オオサンショウウオは赤ちゃんの声に似た声で泣くとか、
半分に引き裂かれても生きていると言われて、
ハンザキという名もあるとか……。
いろいろ聞きたいことがあったんだけど」
抱いてきた
カエルの幼虫(オオサンショウウオ?)と顔を見合わせて、
クリスティーはつぶやく。
「なんだか、このシーンって、
他の人に見られたらまずいような……。
でも、救護活動には『充電』してもらう必要がありそうだし。
ひとまず、救護活動に戻ろうか」
「ケロ」
「あれ、赤ちゃんの声じゃない?
ってことは、本当に、カエルの……?」
一方、クリスティーは、本人の自覚よりもかなり目立っていた。
クリスティーの連れている
カエルの幼虫(オオサンショウウオ?)は
体長150センチほどあり、
それをお姫様抱っこしているクリスティーは、周囲の視線を集めていた。
「なんだろう、あれ……」
「ああいう外見のゆる族なのかな?」
そのため、
白輝精のクリストファーへの
吸血シーンは皆、気にしないでくれたのであった。