空京

校長室

【蒼空のフロンティア最終回】創空の絆

リアクション公開中!

【蒼空のフロンティア最終回】創空の絆
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リアクション


世界を変える橋 4


「やああぁぁぁぁ!」
 少女の声が、響き渡る。
 高円寺 海(こうえんじ・かい)高円寺 柚(こうえんじ・ゆず)杜守 三月(ともり・みつき)の三人は、協力して戦いを繰り広げていた。相手はこの光条世界で創造主を守る、光り輝く人型達である。
 その戦いは苛酷を極め、複数の人型を相手にしなければならなかった。
「きゃあっ!?」
 相手の攻撃が肩をかすめ、柚が叫ぶ。
「柚っ!」
 とっさに、海が振り返った。
「大丈夫か!?」
「う、うん、平気……大丈夫……」
 とは言うものの、柚の肩は大きくえぐれ、血が溢れていた。
 その事が、海の怒りに火をつけた。何人たりとも、彼女を傷つける者は許せなかった。
「あの野郎……!! よくも柚を!」
「お、おい、海っ!?」
 三月の制止の声も聞かず、海は人型へと飛びこんでいった。
「おい、柚、どうする!? 海がっ……」
「三月ちゃんは海のところに行ってください……。私も治療したら、すぐに行きますから……!」
「…………」
「早く!」
「あ、ああ、分かったよ!」
 三月は最後まで渋っていたが、柚の激情の声に押されて海のもとに急いで向かった。
(よかった……これで……)
 何とか、二人の足手まといにはならなくて済む。
 二人は柚を守るため戦ってる。その間に、彼女は自分の治癒を終えるつもりだった。歴戦の戦いで得た回復術が、彼女の身体を淡く白く包みこむ。自然の癒やしのうねりを感じて、柚の肩の傷は少しずつ癒えていった。
 その時、彼女の瞼の裏に浮かんできたのは、海との思い出だった。
(たくさん、覚えてる……。色んな事があありましたね……。好きになって……告白して……結婚して……)
 そして自分は、高円寺柚になった。
(この思い出を壊したくない……。私はこの世界が好きですから……。そして貴方にも、好きになってほしい……)
 柚は願う。
 彼女は祈る。
(創造主さん――)
 柚の目に、光条世界の奥で待っている光の中心の者が、一瞬だけ輝いて見えた。
 その時、彼女の治癒は終わった。それは自然の加護による治癒が、一瞬だけ光条世界とつながって見せた、何かの幻だったのだろう。しかし、それだけで彼女には十分だった。
 柚の心に、再び決意が戻っていた。
 と、その間、
「うおおおぉぉぉぉ!」
 海と三月が連携し、人型へと攻撃を繰り出していた。
 剣に纏った真空波の力が人型を吹き飛ばし、海がさらにそれを斬り裂く。
「はあぁぁぁッ!!」
 人型が消滅し、はぁっ、はぁっ、と荒い息をついたところで、
「ん、これは……?」
「柚っ!」
 二人を、柚の唱える回復術の光が包みこんでいた。
「治ったのか!?」
 海が顔に喜びを広げて、柚に近づいてきた。
「はい、何とか……」
「よーし! これで百人力だ!」
 三月は現金に喜んでいる。まったく、脳天気なものだ。
 しかしそんな三月を見てると、柚も海も、自然とそんな彼と同じ気持ちが湧いてきた。
 やれる。そう、三人なら、きっと。
 柚の回復術によって身体の傷が癒えた海と三月は、柚と目を合わせ、頷き合った。
「さーて、やるか」
「僕の分も残しておいてね。一人で活躍するのはなしだよ」
「三月ちゃん、そういう事じゃないと思うんですけど…………ま、いっか……」
 三人は戦う。
 この世界の思い出を届けるように、戦い続ける。

◆   ◆   ◆


「陽菜都ちゃん! 一緒に歌えないかな!?」
「ええっ!? わ、私とですか!?」
 遠山 陽菜都(とおやま・ひなつ)が突然びっくりしたのは、赤城 花音(あかぎ・かのん)に話しかけられたからだった。
 それもそのはずである。花音と言えば陽菜都にとっては憧れの存在でもあるし(後輩だが)、実はずっと一緒に歌ってみたいと思っていたアイドルでもあるのだ。その花音がユニットを組もうとは……。
(じ〜ん……! か、感動です……!)
 陽菜都は喜びに打ち震え、目をぎゅっとつぶった。
「えーっと……、あの〜、それで、どうかな……?」
「え、あ、は、はいっ! もちろん、OKです! 断るなんてことあるわけないじゃないですか!」
 そんなわけで、二人はユニットを組むことになった。
 ユニット名は『Sun Flower』である。
 実はかねてから花音が陽菜都に話していたもので、機会があればこんなユニットを組みたいね〜と言っていたものなのだ。
 ということで二人は曲も用意し、衣装も用意した。曲は花音が書いてきたもので、陽菜都はその歌詞を読んで感動した。
(なんて素晴らしい曲を作るんだろう……! う〜ん……私ももっと頑張らないとね……)
 これ以上頑張らなくても、彼女は十分頑張っている。
 と、周りの人はきっと評するだろうが、それでも頑張り屋なのが彼女の良いところである。
 だからこそ、花音も陽菜都が大好きで、彼女と組もうと考えたのだった。
「それじゃ、行くよー! リュート、いいー!?」
「ええ、大丈夫ですよ」
 花音に呼びかけられ、赤城 リュート(あかぎ・りゅーと)はそう答えた。
 リュートの役目は二人を守ることである。
 戦いの場で二人に出来ることは、まさに歌で皆を助けることだ。しかしそれは、同時に相手に無防備な自分を晒してしまうことでもある。その為、誰か二人を守る者が必要だ。今回はリュートがその役目を買って出てくれたのだった。
 リュートにとって二人は守るべき存在である。
 愛すべき最愛の花音も、その友であり、かけがえのない人物である陽菜都も。
(二人とも、頑張ってください――)
 リュートのその思いを胸に、二人はさっそく準備する。
 コンコン、マイクは入ってる。
「ア、アー、準備おっけー」
「では……こほんっ……」
 すっと口元に動くマイク。聞こえる息を吸う音。
 二人の歌が、始まった。

遥かな空に終わらない旅立ち 幻想の約束の場所を描いて
僕らの夢…幾重に重なる祈り 生まれる温もりの言葉
沈黙は怖くないよ 優しい嘘? 微笑みの真実
愛しい命に出会えた喜び 指先に灯す輝き未来を示して

涙の雨…… 天翔ける虹の煌めき
何時か忘れた笑顔を 咲かせよう

曇りのない瞳で君を見つめたい 全てを受け止めて信じるよ
絶望も暗闇も諦めない この願いが伝わるまで
迷える迷子の旅人も 新世界へ想いを馳せよう
巡る巡る魂の言霊 安らぎの時代へ贈る歌

心の音色に残された鍵 運命の扉を開いて


 歌は音に乗り、風に乗り、光に乗り、光条世界を駆けめぐる。
 そうして届いた歌声は、仲間の契約者達に活力と勇気を与えてくれる。
 二人の声を聞くと、誰もがその心に勇気を奮い立たせるのだ。
「この声は……」
「花音ちゃんだわ……。花音ちゃんが歌ってるんだ……」
「ううん、花音だけじゃない。陽菜都ちゃんもよ」
「綺麗な歌声……。まるで天使みたい……」
 まだまだ、自分達は出来る。戦える。生きられる。
 二人は歌声に乗せてその思いを届け、仲間にエネルギーを与えた。
「陽菜都ちゃん……」
「やったね! 花音ちゃん……!」
 陽菜都と花音は手を取り合う。
 歌でしか出来ないこと。歌でしか表現できないこと。
 二人の伝えるその思いは、あらゆる人の心へと広がっていった。

◆   ◆   ◆


 金元 シャウラ(かねもと・しゃうら)小暮 秀幸(こぐれ・ひでゆき)レオン・ダンドリオン(れおん・たんどりおん)らと共に、教導団員である董 蓮華(ただす・れんげ)大尉の指示の下、創造主のもとへ向かう契約者達の援護活動に当たっていた。
 それは具体的には、大尉とシャウラ達の部下が揃って防御陣形を作り、創造主らの攻撃から仲間達を守るというものだった。
 その為シャウラは部下達に指示を飛ばし、出来るだけ迅速に防御網を作る。
 が、その隣には妻である金元 ななな(かねもと・ななな)がいて、彼らはなななとシャウラのイチャイチャ劇場を見せつけられる結果となった。
「ななな、お前のお腹には子どもがいるんだから、無理するなよ?」
「えー、心配してくれるの? やっぱり、ゼーさんは優しい旦那さまだね」
「え、そうか? ナハハハハ!」
 シャウラは笑い、なななは微笑む。
 その姿を見ながら、部下達は怨念に満ちた目をしていた。
(死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのにっ……!!)
 もはや既婚者をねたむモテない男どもの恨み以外の何者でもない。
 彼らは嫉妬の炎で人を燃やせればいいのにと願いながら、とはいえ、防御網はてきぱきと作った。
 一方、秀幸とレオンは、ななながシャウラを「ゼーさん」と呼ぶことに疑問を感じている様子だった。
「どういうこった?」
 レオンが尋ねる。
 シャウラのパートナーであるナオキ・シュケディ(なおき・しゅけでぃ)がそれに答えた。
「シャウラの旧姓はエピセジーだからな。そっから一文字取って、『ゼーさん』ってわけ」
「ああ……なるほど……」
 聞いたはいいが、それはそれでまたのろけの一種でしかない。
 秀幸もレオンもやれやれと辟易し、しばらく二人には近づかないでおくことにした。
 しばらくして、『宇宙刑事ポムクルさん』達もシャウラのもとにやって来た。
「「応援にきたのだー」」
「「一緒に遊ぶのだー」」
「おお、お前らー! よく来たなー!」
 シャウラにとってはもはや旧知の仲である。
 宇宙刑事ポムクルさん達はなななとも仲がよく、二匹がなななの肩の上、一匹がシャウラの頭の上に乗った。
「「宇宙刑事も一緒に戦うのだー」」
 ちょうどその頃になると、防御網が出来上がってくる。
 それは同時に敵の攻撃を許す事にもなり、光り輝く人型の一体が、シャウラ達のほうへと襲いかかってきた。
「まずいっ……!」
 一足早く気づいたのはナオキだった。
 だが、それより素早く、シャウラが動いた。なぜなら敵が狙っていたのは、赤ん坊を身籠もっていて自由に身動きが取れないなななだったからである。
「俺のなななに手を出すなぁっ!!」
 シャウラは叫び、すさまじいパワーで敵を吹き飛ばした。
 さらに連続して技を炸裂させる。一体相手にそこまでやるか? というほどの、炎や雷撃、飛連脚のコンボで、光り輝く人型を消滅させた。
「ななな! 大丈夫か!?」
 慌ててなななのもとに駆け寄るシャウラ。
「ゼーさん……怖かったよぉ……」
「大丈夫……お前は、俺が何があっても守るから……!」
 涙目になってるなななを、シャウラはひしっと抱きしめる。
 二人の空間は淡いピンク色になって輝いた。
 心配していた部下達も、さすがにそれを見て、
「けっ、やってらんねーぜ」
 とばかりにぞろぞろとどっかに立ち去る。
 二人のイチャつきっぷりに呆れ返る小暮とレオンに、なぜかナオキが「すまん……」と謝る結果になっていた。
 しかし、よくよく考えてみれば、
(シャウラはなななが……でもって、秀幸とレオンの二人にも恋人がいるし……シングルは俺だけじゃないのかっ!?)
 ということに気づくナオキである。
 その肩をぽんぽんっと叩く音に気づき、振り返ると、そこには同情した顔をしたポムクルさんがいた。
「ううっ……お前達だけだなぁ……俺のことを分かってくれてるのは……」
 なぜかポムクルさんに慰められ、一人涙するナオキだった。