リアクション
生まれし世界を待つばかり
やがて、拡散していたエネルギーも収まる。
そこには、何もいない。
無数に出現していた小型の光も、大型の怪物も、巨大な人型も。
あったのは、どこまでも広がる蒼き空。
それが、彼等の“勝利”を意味していたのだった。
全部隊が歓喜の声を上げる。
イコンも、歩兵も分け隔てなく、自分たちの勝利を祝った。
後は待つだけ。すべてが終わり、新しい世界が生まれてくることを――。
巨大人型が倒されたという。
その報を聞いて、ネフェルティティたちは心から安堵していた。
司令室のセレス少尉からの報である。
この朗報は、エルサーラによって儀式場の皆に明かされたのである。
「もう大丈夫。滅びの意思はもうここに届くことはないわ!」
「ということは……!」
ペシェ・アルカウスが嬉しそうに、尻尾と耳をぱたぱたとやって声を上げた。
「あとは儀式を成功させるだけですね」
ネフェルティティがそう言う。
ここまでの戦いで皆泥のように疲弊していたものの、その言葉を聞いてすでに疲れはどこか遠いところに飛んで行っている。
ネフェルティティは小さくうなずいた。
ネフェルティティの口元の微笑、これをまぶしそうに眺めてエルサーラは思う。
――本当にお疲れ様、そう言ってあげたい。でもそれは、儀式が成功してからね。
だからエルサーラは口をしっかりと閉じて、はやる感情を抑える。
それはエルサーラだけではなく、誰もが同じ気持ちで、その想いを抑えていた。
新たな世界が生まれてくるまでは――。