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とりかえばや男の娘 二回

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とりかえばや男の娘 二回

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激闘 六角屋敷 2

 その頃、十兵衛達は、三つ目の部屋を攻略し、四つ目の部屋にさしかかろうとしていた。そこは、床も壁も板張りの部屋で、気のせいか生臭い匂いがするような気がする。

「なんか、生臭いですぅ」
 ルーシェリア・クレセント(るーしぇりあ・くれせんと)が鼻を抑えて言った。
「それに、シャーシャー音がするですぅ」
「何かの罠が仕掛けられているのでしょうが……」
 アルトリア・セイバー(あるとりあ・せいばー)が答える。
「食い破ってしまえば無いのと同じことです」
 アルトリアが言い終えると同時に、右の壁がバタンと開き、何かが襲いかかって来た。
 とっさに刃をふるう十兵衛。そこには、蛇の死体が落ちている。
「いやあん。気持ち悪いですぅ」
 こわごわと見るルーシェリア。しかし、怖がっている場合ではなかった。

 バタ、バタ、バタ……

 壁の板がひっくり返る音とともに、次々と蛇が飛んで来たからだ。
「いやーーん」
 ルーシェリアは叫びながら女王のバックラーで防御した。しかし、次から次へと蛇は襲いかかってくる。そして、一匹の蛇がルーシェリアの目の前にダイブしてきて、鎌口を開いた。
「きゃあああ!」
 ルーシェリアはサイコキネシスを唱えた。そのとたんに、全ての蛇達の動きが止まる。そして、アルトリアに向かって叫ぶ。
「アルトリアちゃん、後始末を頼むですぅ」
「分かりました」
 アルトリアは答えると、女王のソードブレイカーを構えてチェインスマイトで毒蛇を次々と斬っていく。
 その時、天井から忍び達が現れて、アルトリアに向かい手裏剣を投げつけた。
「アルトリアちゃん、危ない!」
 ルーシェリアは再びサイコキネシスを唱える。アルトリアの目の前で手裏剣が止まる。それをたたき落とすと、アルトリアは不敵な笑みを浮かべた。
「これは、手間が省けます」
 そして、再びチェインスマイを展開。忍び達を一網打尽にしていった。
「さあ、急ぎましょう」
 忍び達を倒してしまうと、アルトリアは叫んだ。
「敵地の中であまり時間をかけるとこちらが不利になるばかりですし、手早く突破してしまいましょう」
「その通りですすぅ」
 ルーシェリアはうなずき、アルトリアとともに部屋の中を駆け抜けていった。

 そして、ついに一同は六つ目の部屋の前にさしかかった。襖を開けると、なんの変哲もない和室だ。客間なのか部屋の脇には座布団が重ねられている。

「行くぞ」
 一同は、十兵衛を先頭に部屋の中に入っていく。そしてすぐに、十兵衛は立ち止まった。
「どうしたのじゃ?」
 ミア・マハが不思議そうに聞く。すると、十兵衛は足元をさして言う。
「ここの床には何か仕掛けがある」
 十兵衛はそっと後ずさり、部屋の脇にある座布団を手にとった。そして、無造作に投げていく。

 バアン!

 音がして落とし穴が出現。座布団が落ちていく。

 バアン!  バアン!

 部屋のあちこちで座布団が落ちていく。

「落とし穴か」

 ミアはそう言うと、穴の中を覗き込んだ。尖った竹槍の穂先がこちらに見えている。
「落ちたら串刺しという仕掛けか」
「おそらく、この部屋のあちこちに同じものがあるのであろう。これでは、安心して歩けないな」
 草薙 武尊(くさなぎ・たける)が同じく穴の中を覗き込んで言う。
「安心するがよい」
 ミアが言った。
「わらわがなんとかしよう。ちと寒いが我慢するのじゃぞ」
 そういうと、ミアは『ブリザード』を唱えた。氷の嵐が呼び出され、部屋の中が凍り付く。
「これで、仕掛けも凍って動かぬはずじゃ。さあ、氷が解けぬうちに突破してしまおう」
「よし」
 一同はうなずくと、先に進みはじめた。しかし、部屋の半ばにもさしかからぬうちに、天井から忍びが襲って来た。

「……!」
 武尊は碧血のカーマインを構えると、走りながら襲いかかる忍者に銃弾を浴びせていった。
 忍び達は巧みに狙いを躱しながらこちらに襲いかかってくる。
 武尊は柱の陰に身を隠した。忍び達は武尊の姿を見失ったようだ。武尊は武器を呪鍛サバイバルナイフに持ちかえ、目の前に来た忍びをブラインドナイブスで倒していった。

 手裏剣が飛んできた。
 セシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)は間一髪で手裏剣をたたき落とした。しかし、四方から忍び達が襲いかかってくるのが見える。忍び達はくないを構えた。
 次の瞬間セシルめがけて忍び達がくないを投げつける。セシルの全身にくないが突き立てられる。
 忍びは笑いながらセシルの死体に近づいて行った。しかし……
「うぬ……!」
「騙された!」
 そこに残されていたのは、大量にくないの刺さった座布団だった。
「【空蝉の術】ですわ」
 頭上から声がする。
 忍び達が頭を上げると、天井からセシルがこちらを見下ろしていた。
「甲賀流忍法とやらも大した事ありませんわね。動きが粗いですわ」
「なんだと?」
 怒って吠え立てる忍び達に向かっ、てセシルは【しびれ粉】を撒いた。
「うわ……!!」
 忍び達の体はしびれて動けなくなる。そこへ、セシルがスマッシュアンカーを持ち、飛び降りて来た。そして、忍び達を次々に殴打していく。
「うぎゃあ……」
 忍び達は悲鳴を上げて、次々に倒れて行った。
 こうして、一同は5番目の部屋を抜け、ついに6番目の部屋。道元が待つ部屋を目前にすることとなった。