リアクション
18.サプライズホワイトデー
「御届け物でーす」
3月14日。一人で自宅にいた遠野 歌菜(とおの・かな)のもとに、突然宅配便が届いた。
「ん? 何も頼んでないはずなんだけどな」
不思議に思いながら歌菜は玄関に出て、配達員から小包を受け取った。
「差出人は……ええっ!?」
受取人は間違いなく自分だ。
そして差出人は――夫である月崎 羽純(つきざき・はすみ)だった。
「何も聞いてないよー……」
ますます不思議に思いながら、歌菜は小包をあけた。
中に入っていたのは、ワイン色のドレスだった。ラメが織り込まれており、きらきらと輝いている。
「あっ、メモ……?」
一緒に、羽純が書いたメモが留められていた。
『外で待ってる』
「!?」
メモを確認してすぐ、歌菜は準備を始める。
ドレスを纏って、アクセサリーをつけて。
髪を整えて、化粧をして……。
バタバタ急いで準備して。ハンドバックを手に玄関のドアを開けた。
その先に、夕焼けの光を浴びた、羽純の姿があった。
「は、羽純くん。お待たせ」
歌菜は少し照れ、羽純の姿に驚きながら彼の下へと歩き出す。
羽純もまた正装していて、夕日を浴びたその姿はため息をついてしまうほど、美しかった。
「良く似合ってる。想像通りだ」
羽純は笑顔を浮かべて、歌菜に近づいた。
「とびきりのホワイトデーにしよう」
羽純は歌菜に近づくと、手を差し出して。
愛する妻に、素敵な贈り物を贈る――。