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リアクション
リカインの入手した小さなビニールを“発現者”のジョージや蟹崎に示すと、
「それは確かに“ザラメ”と“アズキ”だ」
という答えが返って来た。
「では、まず“ザラメ”から参ります」
狐樹廊が、机の上に広げた“ザラメ”に対し、「サイコメトリ」を試みた。
──(もうだめだもうだめだもうだめだもうだめだもうだめだもうだめだ)
──交わされる会話
「こんなんで本当にビッグになれるのか、俺達?」
「利用されてるだけだよな」
「……悪趣味だよな、マジで。子供ひたすら悪夢でイビり続けるなんてよ」
「このシナリオ考えたのって、やっぱヨスケなのか?」
「俺調べてみたんだけど、コザヨスケってヤツの経歴どんなに調べても、そんなこと思いつきそうな人間には思えなかったぜ」
「じゃあ、その上にいる誰かかよ?」
「あるいはその下にいるヤツとかな」
──ドラッグ、ビニールのパックで小分けされてバッグの中に入れられる。
(俺達、何でこんな事やってんだろうな)
(今さら遅いよ、もう)
──暗転。
──明転。バッグ開かれて、見下ろしてくるガラの悪そうな男達の顔
「よし。きっちり捌くぞ」
「──ふぅ」
汗みずくになりながら、狐樹廊は息を吐いた。
自分の携帯電話に向けて「ソートグラフィー」をかけ、頭に浮かんだイメージを片っ端から記録。また、記憶から揮発してしまわないうちに、会話の内容をレポート用紙に書き付ける。
「では、次は“アズキ”を」
──薄暗い小屋の中。ブリキのバケツに液体がしたたる音。
──液体、逆さに吊された成体グリフォンの死体から垂れている血。
(死ぬ)(死ぬ)(死ぬ)(死ぬ)(死ぬ)(死ぬ)
──溜まった血の中に入れられる粉(凝固剤)
「これでオレ達は生活が楽になる。あの人のおかげだ」
「なぁ……カネは溜まるけど、俺達これでいいのかな?」
「世の中は変わり始めた。もう止まらん」
──固まった血、細かく砕かれてビニール袋に入れられ、バッグの中に。暗転
──明転。バッグ開かれて、見下ろしてくる男達の顔
「次から次に、忙しいこったぜ……」
「こいつで何人地獄に落ちるのかね?」
「地獄に落ちる方がバカなのさ。バカは死ななきゃ治らない」
(じゃあ俺達ももうすぐ死ぬんだろうな)
──固まった血液、加熱や薬品との調合等様々な過程を経て、赤い粉末に。
(俺達、こんな事する為にパラミタ入りしたのか?)
(俺達、こんな事する為に「契約者」になったのか?)
──赤い粉末、ビニールのパックで小分けされてバッグの中に入れられる。暗転。
──明転。バッグ開かれて、見下ろしてくるガラの悪そうな男達の顔
「納品の遅れはないな。俺達の“事業”も軌道に乗ってきたようだぜ」
浮かんだイメージに対して同じような処置をした後、「あとは頼みます」と言って狐樹廊は昏倒した。
リカインは、狐樹廊の携帯電話を手に取り、操作を始めた。
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