空京

校長室

建国の絆 第4回(無料版)

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建国の絆 第4回(無料版)

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 第4章 「人が死んでゆく様。モノが燃えてゆく様って美しいと思わない!?」

 鏖殺寺院・一般メンバーである、メニエス・レイン(めにえす・れいん)が、繁華街を悠然と歩きつつ、
 建物に次々とファイアストームを放つ。
 悲鳴を上げて飛び出してきた一般人達も、かまわず一緒に餌食にする。
 メニエスの魔法の炎を浴びて、何があったかも理解できぬまま、空京の住人は絶命していった。
 「ねえ、ミストラル。綺麗ね?」
 パートナーの吸血鬼ミストラル・フォーセット(みすとらる・ふぉーせっと)は、
 一般人に吸血して、吸精幻夜をかける。
 陶然とした表情の青年は、そのまま地面に転がされ、メニエスの放った炎に巻き込まれる。
 「左様ですね、メニエス様。下等な人間どもに、自分達の無力さを思い知らせてさしあげましょう」
 ミストラルは、口の周りを赤く染めて、しかし優雅な物腰は崩さず、メニエスに同意した。
 「貴様、何をして……うわあああああ!?」
 「さあ、叫びなさい、喚きなさい! ナラカの底まで突き落としてあげるわ!」
 警官が、メニエスの火術で焼かれ、転げまわる。
 「すぐに終わらせてしまっては面白くないものね。楽しませてもらうわ!」
 残虐な笑みを浮かべ、メニエスは、苦痛にのたうちながら焼き殺される警官の様子を見るのだった。

 繁華街では火災が発生し、メニエスの周囲は大惨事となる。

 マイト・オーバーウェルム(まいと・おーばーうぇるむ)
 パートナーのヴァルキリーマナ・オーバーウェルム(まな・おーばーうぇるむ)
 椎堂 紗月(しどう・さつき)
 パートナーの守護天使有栖川 凪沙(ありすがわ・なぎさ)は、
 【武術部共同救助隊】として、パートナーを入れ替えて、大規模なチームを組み、
 繁華街の救助作業に当っていた。
 マイトと凪沙、マナと紗月が、それぞれ組になっている。
 「火事が発生してるぞ!
  うおおおおおおおおおおおおおおおおお、助けるぞヒャッハー!!」
 「あっ、待ってよマイトさん!」
 槍を振り回してマイトが突撃し、凪沙がパートナーの紗月に連絡する。
 「えっ、火事だって!? マナちゃん、急ごう!」
 「安心して! あたし達、武術部【姉妹】が助けてあげるから!」
 「マナちゃん、さっきから俺のこと女と思ってるだろ!?」
 マナと紗月も、近くの消火栓を使って消火に当る。
 かくして、【武術部共同救助隊】がお互いに連携を取れるようにし、繁華街に散っていたために、
 消火活動を迅速に行うことができ、被害拡大を防げたのであった。

 三浦 晴久(みうら・はるひさ)も、繁華街に取り残されている人を探し、救助を行う。
 応急処置をして少しでも早くその場から逃がす。
 「あとちょっとで安全な所だからな! あと少しがんばれ!」
 見つけた人たちを励ましながら、晴久は同様の活動をしている人に連絡をとる。
 晴久のパートナーのシャンバラ人パーシファル・ブレイロック(ぱーしふぁる・ぶれいろっく)は、
 力仕事担当の緋色の騎士として。瓦礫をどかしたり崩れそうな場所を支えたりする。
 騎士として一人でも多くの人命救助を目指すのがパーシファルの目標である。
 「私がいるかぎり、何人たりとも死なせはしない!」
 避難中に群れからはぐれたゾンビの追撃を受け、パーシファルが立ちはだかる。

 リリ・マクレラン(りり・まくれらん)も、
 逃げ遅れた人の救助に全力で取り組む。
 「クイーンヴァンガードを目指すものとしてここは引くわけにはいきません」
 パートナーの吸血鬼ルーク・ナイトメア(るーく・ないとめあ)もうなずく。
 「それがしも、リリがその気なら、つきあうだけのことです」
 「さあ、こっちへ! 大丈夫、必ず助かります」
 リリが、発見した住人の不安を吹き飛ばすように言う。
 (もう、こうやって人が死んでいくのを見るのは嫌なの!!)
 2018年に、両親を火事で亡くしたリリにとって、
 新たな自分の居場所と考えているパラミタで、同じことが繰り返されるのは耐えられなかった。

 焔 那珂音(ほむら・なかね)も、
 モンスターを蹴散らしつつ、非戦闘員や怪我人の救助を優先して動く。
 パートナーの機晶姫ライラ・ライラ(らいら・らいら)は、
 基本的には那珂音の背後を守るが、強行突破も辞さないつもりである。
 「っと! よし、8体目!
  ……救助者も8人目、か。見捨てる訳にもいかないしね。
 ちょっと、大丈夫? 安全な所まで連れてくわよ」
 「……ご無事なようで何よりです。では、安全圏まで低速で突貫します。着いて来れますか?」
 「ちょっと無理そうだね。ライラ、この人抱きかかえてくれる?」
 「了解しました、マスター」

 レイナ・ミルトリア(れいな・みるとりあ)
 安全なルートを探し、逃げ遅れた人たちを誘導する。
 急に火災が発生したものの、冷静さを失わず対応する。
 「落ち着いてください。
  この道をまっすぐ進めば、ミスドに到着します」
 レイナのパートナーの魔女アルフォニア・ディーゼ(あるふぉにあ・でぃーぜ)が、
 安全なルートをあらかじめ確認してレイナに知らせているおかげで、
 モンスターにも出会わずに、避難ができているのである。
 「焦らず、のーんびりいこうよぉー」
 アルフォニアが、持ち前のマイペースさで人々に安心するよう言い聞かせる。

 秋 透矢(あき・とうや)は、繁華街の店を一軒一軒声をかけて人を探し、
 安全な場所まで護衛していた。
 「誰かいないか!」
 秋が、店内をくまなく見渡し、逃げ遅れがいないか確認する。
 パートナーのヴァルキリー高瀬 恋(たかせ・れん)は、
 路地などを重点的に探索するが、
 探索範囲は、すぐに秋の元まで駆けつけることの出来る距離までである。
 子どもを抱き上げようとした秋の背後から襲いかかろうとしていたはぐれスケルトンを、
 カルスノウトで恋が叩き壊す。
 「私の全力を持って、鎮めてやる!」

 白上 蓮(しらかみ・れん)も、
 やけになってさけびながらも、救助を行う。
 「ああ、やってやるよちくしょう!!
  俺が見つけた奴は一人残らず安全な場所に連れてってやるからな!!」
 蓮のパートナーの吸血鬼レイン・シルベストリ(れいん・しるべすとり)も、
 共に行動し、取り残された人々の救出活動に専念する。
 「落ち着きなさい、蓮。
  そんな風にみっともなく騒いでも始まらないわよ」
 そう言いつつも、レインも、救助する人達、
 一人一人に気を配り、効率的に誘導することを考えていた。
 「わかってるよ!」
 蓮が、レインの冷静な毒舌に、元気を取り戻す。

 毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)は、小柄な体格を生かして、他の人が入れない場所にいる人達を救助する。
 また、光条兵器で瓦礫等の除去も行っていた。
 戦闘は最小限で救助を優先するつもりである。
 大佐のパートナーの剣の花嫁プリムローズ・アレックス(ぷりむろーず・あれっくす)は、
 大佐や他の学生が救助した人にヒールする。
 「なっ、こんな場所にまだ単体でゴーレムがいただと?
  さて、面白くなってきたな。
  プリムローズ! 早く、一般人を連れて行くのだ!」
 「そんなこと、できるわけないでしょ!」
 「何かあったら自分を見捨てて逃げろ」とあらかじめ言われていたが、
 プリムローズは従わない。
 晴宮 由紀(はるみや・ゆき)が、
 パートナーのシャンバラ人ルイーゼ・ノルンヴァイド(るいーぜ・のるんう゛ぁいど)とともに現れ、叫ぶ。
 「私が、この人たちを連れて行きます!
  大丈夫、生きていればきっと逢えるから。
  ルイ、信じています!」
 「さあ、私がおまえの相手になってやる!
  騎士の誇りを見せてやろう!
  助力願います!」
 「了解した!」
 由紀が避難誘導をする間に、ルイーゼと大佐、プリムローズが協力して、
 3メートルのゴーレムを倒す。

 沢渡 真言(さわたり・まこと)が、繁華街の路地を走り回る。
 「このままここにいるのは危険です、早く避難してください!」
 怪我をしている人は抱え上げて、真言が連れて行く。
 「マーリン、ヒールをお願いします!」
 真言のパートナーの英霊マーリン・アンブロジウス(まーりん・あんぶろじうす)が、
 怪我人にヒールをかけつつ、空飛ぶ箒での避難民の運搬も行う。
 しかし、気持ちが先走り、無茶をしがちな真言をフォローするのも忘れない。
 「真言、少し落ち着け。
 いくら契約者でも、体力には限りがあるんだ。
 長く活動するためにも、無理はするな」
 「わかりました。……私は、私のできることを」
 執事として、空京の住人をご主人様と思ってがんばる真言は、冷静さを取り戻して、決意を新たにする。

 ファタ・オルガナ(ふぁた・おるがな)は、
 ビーストマスターとして、捜索のため狼4匹を放った。
 そして、自分はパラミタ虎に乗って急いで繁華街を回る。
 「少女の危機は見過ごせんが、よもやわしが人助けとはの」
 柄にもないとは思いながらも、いたいけな少女も逃げ遅れているかもしれないとつぶやき、
 ファタは繁華街をかける。
 「うわあ、ジャングル少女!?」
 「ジャ、ジャングル少女だ!!」
 「ビビビビ! マスター! 要救助者を発見したであります!」
 ファタのパートナーの機晶姫ジェーン・ドゥ(じぇーん・どぅ)が、
 加速ブースターを使用して狼が発見した避難者のもとへファタより先に到着し、
 瓦礫を取り除いて、アホ毛を立ててファタを呼ぶ。
 「よし、動けない人はパラミタ虎に乗せるのじゃ」
 「ありがとう、ジャングル少女!」
 「ありがとう、アホ毛ロボ!」
 「なんだか、変なあだ名で呼ばれておるが……気にしないでおくか」

 そのころ、避難所では、
 エルシュ・ラグランツ(えるしゅ・らぐらんつ)
 パートナーの機晶姫ディオロス・アルカウス(でぃおろす・あるかうす)
 クエスティーナ・アリア(くえすてぃーな・ありあ)
 パートナーの剣の花嫁サイアス・アマルナート(さいあす・あまるなーと)が、
 要看護者に、名刺サイズの赤青黄の色紙を胸に安全ピンで着けることで「トリアージ」し、
 色分けして並べていた。
 「ヒールを使える方は、ご協力をお願いします」
 サイアスが呼びかけ、組織的に治療を行う。
 サイアスは、倒壊した医院から器具や薬品を持ち出し、
 ビニールを張り作った簡易手術室で、トリアージ黄の者を集中的に治療する。
 トリアージ青は、軽症なので応急措置とヒールのみで平気だが、
 トリアージ赤は、助からないので治療しない。
 「これが、命の選択の重さよ」
 効率的に助けるため、苦渋の決断をするクエスティーナが、沈痛な面持ちで言う。
 「女性ながら気丈なことだ」
 クエスティーナの様子を見て、怪我人を運びながら、エルシュがつぶやく。
 エルシュは、自分はヒールができないからと、トリアージタッグをどんどん付けて回る。
 命の選択をするというシビアな行動だが、一人でも多くの人を救うため、心を鬼にしているのである。
 「奪うのは簡単、救うのは難しい。けれど私も手伝います」
 サイアスにSPリチャージをかけ、ディオロスが言う。

 そんな中、空にトナカイのソリが飛ぶ。

 ジーナ・ユキノシタ(じーな・ゆきのした)がサンタのトナカイに乗り、
 パートナーのドラゴニュートガイアス・ミスファーン(がいあす・みすふぁーん)が、
 空飛ぶ箒で横を飛びながら、サポートする。
 ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)も、
 騎士として、建物の奥に隠れている人を捜索して、
 パートナーの剣の花嫁テレサ・エーメンス(てれさ・えーめんす)が、
 トナカイとソリを着地させて待機して、
 ロザリンドが来たら人々を乗せて安全な場所まで退避していた。
 ガーゴイルに狙われないよう低空飛行するよう気をつける。
 「場違いかもしれないけど、せっかくの空飛ぶトナカイとソリ。
  皆さんを乗せて安全な場所に送り届けましょう」
 「ジーナ達を見て、少しでも人々が希望を取り戻してくれれば。
  あきらめねば、必ずや道は開けようぞ」
 ジーナとガイアスが言う。
 「人を守るのが騎士の仕事。
  私、ロザリンド・セリナの名にかけて絶対護りますから」
 「襲われたらロザリー頼んだよー」
 ロザリンドが後方を警戒し、
 テレサが、陽気に言ってソリを操縦する。

 繁華街の人達は、空を飛ぶサンタの少女達を見て、勇気を取り戻していた。