空京

校長室

建国の絆 第4回(無料版)

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建国の絆 第4回(無料版)

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 第3章 オフィス街

■□■1■□■

 一方、オフィス街に追い込まれてきたスケルトンと戦う者達だが。
 如月 正悟(きさらぎ・しょうご)は、
 スケルトンは物理攻撃に強い鎧を着ているだろうからと、光条兵器で対応していた。
 他の人のため囮になり持久戦の構えである。
 「彼女との約束……誓った思いがあるから……負けられないっ」
 光条兵器両端が刃になっている両剣「ディバインダンサー」を振るいつつ、如月がつぶやく。
 パートナーの剣の花嫁エミリア・パージカル(えみりあ・ぱーじかる)は、
 出来るだけ後方に位置取り、如月に対し支援を行えるようにバックアップを行っていた。
 「私は、私らしく生きるために、今出来ることは全力でやる!」
 一種の兵器としての「剣の花嫁」ではなく、「エミリア」として接してくれる如月のため、
 エミリアは全力をつくす。
 しかし、支援は他の人を優先するように言われているため、辛いがそれに従っていた。

 巫丞 伊月(ふじょう・いつき)は、鼻歌を歌い笑いながらスケルトンの前に出て行く。
 「はぁ〜い、それじゃぁ〜あっそびましょ〜」
 口だけは笑うような表情で、鬼眼で敵をひるませながら伊月は戦闘を続ける。
 「ふんふーん、たのしいわぁー。うっふふふー」
 伊月のパートナーの剣の花嫁エレノア・レイロード(えれのあ・れいろーど)は、
 毒を吐きつつ、ヒールで伊月や如月たち、周りで戦う者を支援する。
 「骨っコどもなんか相手になに怪我してるです、この真性ド間抜けどもです!
  下等生物! エレノアに骨っコを近づけさせるんじゃないのです!」
 「あらあらぁー、エレノアちゃんはいつもどおりツンクールで手厳しいわあー」
 いつも下等生物と呼ばれている伊月は、怪我をしても余裕を失わない。

 鈴倉 虚雲(すずくら・きょん)藍澤 黎(あいざわ・れい)が、
 先陣を切り、スケルトンの武器を叩き落していく。
 「……行くぞ。俺達の空京をこれ以上好き勝手にはさせない」
 鈴倉が、スケルトンをにらみつけ、突出する。
 「鈴倉!」
 黎が叫ぶが、スケルトンのサーベルが鈴倉の身体を切り裂き、
 クロスボウのボルトが何本も撃ちこまれる。
 鈴倉のパートナーの吸血鬼瀬戸鳥 海已(せとちょう・かいい)が、
 重傷になった鈴倉を恩人と重ねて頭に血を上らせる。
 「ウゼェッ消えろぉおお!」
 周りのことなど気にせず、瀬戸鳥が次々火術を打ち込んでいく。
 「やめろっ、そんなに熱くなるなんて、一体どうしたんだ」
 黎が、瀬戸鳥を制止する。
 「はなせぇ! 止めを刺すのはこの俺だ!」
 瀬戸鳥が絶叫する。
 黎のパートナーの守護天使、フィルラント・アッシュワース(ふぃるらんと・あっしゅ)が、
 鈴倉を後方に下がらせ、ヒールとナーシングで回復させる。
 「無茶したらあかんよ、キミの事大切に思っとるヤツ、いーーーっぱい居るんやで?」
 傷一つ残させへんで! と笑うフィルラントに、鈴倉が力なく言う。
 「そうだな。これじゃ俺かっこ悪いな」
 瀬戸鳥に視線を送り、鈴倉は立ち上がる。

 そのころ、スケルトンの群れを、教導団員の部隊【新星】が追う。
 皇甫 伽羅(こうほ・きゃら)と、
 パートナーの関聖帝君に見えないこともないゆる族うんちょう タン(うんちょう・たん)が、
 先行して斥候・隠密偵察を行う。
 「ひそやかにモンスターの数を削って、知性があれば動揺を誘うのですぅ!」
 伽羅の眼鏡が、街灯の明かりを反射して光る。
 すると、前方で、如月や鈴倉たちがスケルトンの群れ相手に苦戦しているのを発見した。
 「義姉者(あねじゃ)、一度本隊まで合流しましょうぞ!」
 うんちょう タンが言い、伽羅は後方の仲間に連絡をとる。

 相沢 洋(あいざわ・ひろし)
 パートナーの魔女乃木坂 みと(のぎさか・みと)
 アクィラ・グラッツィアーニ(あくぃら・ぐらっつぃあーに)
 パートナーのシャンバラ人クリスティーナ・カンパニーレ(くりすてぃーな・かんぱにーれ)が、血路を切り開く。
 「みと! 物理攻撃より魔法攻撃のほうが有効そうだ! 全魔術使用許可!
 最大火力を持って吹き飛ばせ! 民間人はもういない! 建物の1つや2つごとつぶしてしまえ!」
 「支援砲撃了解しました! みなさん、巻き込まれないように注意してくださいね!
  死んでもしりませんから! ……全力全開!」
 洋がスプレーショットで弾幕を張り、みとが全力で魔法攻撃する。
 「相沢先輩ペアが矛とすれば俺たちは盾の役割だ、クリス、慌てるなよ……って言ってるそばから」
 「はわわわわ、ディフェンスシフトぉ! ふぅ、まにあいましたぁ」
 アクィラとクリスティーナが、守りを固める。

 クレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)は、
 教導団所属【新星】の指揮官として、【新星】のメンバーと第一師団少尉として運用を任された兵士を指揮、
 モンスターの群れのオフィス街からの逃走を阻止しようとしていた。
 「どんな厳しい戦いでも、落ち着いて戦えば、必ず勝機は見えてくる筈だ」
 クレーメックは、物理攻撃に強い敵には、魔法の武器が効果的と判断し、
 部隊を魔法の術者や魔法武器の使い手と通常武器の使い手に分け、
 自分は、通常武器組に所属し、後衛に陣取り術者たちを守る作戦であった。
 クレーメックのパートナーの守護天使クリストバル ヴァルナ(くりすとばる・う゛ぁるな)は、
 回復魔法で傷ついた味方を救護する。
 「クレーメック様、後方から敵影です!」
 ヴァルナが叫ぶ。
 新たなスケルトンの群れが、部隊後方から現れたのである。
 「ならば、これでどうだ?」
 クレーメックが陣形を組み替える。
 しかし、数に押され、徐々に追い込まれて苦戦し、通信する余裕もなくなっていく。


 そのころ、離れた場所でゾンビの群れと戦う者達もいた。
 一七夜 桜月(かのう・さつき)は、
 アサルトカービンで、周りの人と協力して一定の距離を保って戦う。
 着実に一体ずつ仕留め、桜月はパートナーに声をかける。
 「さてと……次、行きましょうか、シルヴィア」
 機晶姫のシルヴィア・カンパネッラ(しるう゛ぃあ・かんぱねっら)がうなずく。
 「……了解です、桜月」
 無表情ながら、シルヴィアも空京の人々を心配しているのである。

 上澤 菊茶(かみざわ・きっさ)は、大技を派手に繰り出して戦っていた。
 「ゾンビなんてゲームのノリで案外簡単に倒せんじゃないかね?
  喰らいやがれッ!!」
 菊茶が、ツインスラッシュを放つ。
 菊茶のパートナーの吸血鬼アレス・リグシャーダ(あれす・りぐしゃーだ)は、
 ゾンビに怯えながらも、援護していた。
 (えーん、どいつもこいつも敵が恐ろしい!
  できればどれとも戦わないでいたいけど、
  戦う気満々の姉貴に逆らったらそれはそれで恐ろしい。
  とにかく怖いから援護援護援護!)

 シュネー・ベルシュタイン(しゅねー・べるしゅたいん)は、
 ゾンビに的を絞ってトミーガンで攻撃する。
 固まっている群れにはスプレーショットを使い、単体なら確実に当てていく。
 「教導団員としてこの事態は見過ごせない!」
 シュネーのパートナーの黄色い猫の着ぐるみのゆる族クラウツ・ベルシュタイン(くらうつ・べるしゅたいん)は、
 攻撃しつつ周りにも気を配る。
 「初陣がこんな戦いになるとはボクも予想してなかったニャー!
 シュネー! 新しくおでましニャー!」
 クラウツが新たなゾンビの群れに声をあげて知らせる。
 「くっ、きりがないわね!」
 シュネーが、トミーガンを構えなおす。

 エナトリス・ガルリオ(えなとりす・がるりお)も、
 被害を最小限に抑えるため、物理攻撃が一番効きそうなゾンビを狙い数を減らそうとしていた。
 「ボクの剣の錆になれっ!! なんてね♪」
 カルスノウトを繰り出し、一体一体確実に当てる。
 エナトリスのパートナーの剣の花嫁ソラ・アウルラ(そら・あうるら)は、
 怪我を負った警官達や学生達の傷を癒す事を優先していた。
 「ふぅ、疲れたぁ。でもでも、エナのためだもん。がんばらないとねっ」
 ソラは、パートナーのエナことエナトリスだけでなく、
 桜月、シルヴィア、菊茶、アレス、シュネー、クラウツにも、ヒールをかける。

 そんな中、オフィス街に取り残された一般人を助けようとする者達もいた。
 高村 朗(たかむら・あきら)
 パートナーの剣の花嫁ルーナ・ウォレス(るーな・うぉれす)は、
 明かりのついているビルに侵入する。
 自分達は力不足だから逃げたほうがいいと朗に忠告したルーナだったが、
 「自分たちに出来るだけの無理をすればいい」と説得されたのだ。
 休日出勤していた会社員を見つけ、朗はにっこり笑ってみせる。
 「大丈夫! 絶対助けるから!!」
 「怪我をしている人はいませんか?」
 ルーナも、本心では助けたいと思っていたので、全力をつくす。
 クラーク 波音(くらーく・はのん)
 パートナーの魔女アンナ・アシュボード(あんな・あしゅぼーど)も、
 朗達と協力して、救助にあたる。
 (誰も何も悪い事してないのに……鏖殺寺院は何で人が悲しむような事をするの!?
 オフィス街の人……魔物が追い込まれる前に助けてあげなきゃ!)
 (オフィス街に魔物が追い込まれれば、逃げ遅れた人は助からない可能性が高いでしょう。
 可能な限りの時間で波音ちゃんと救出を……!)
 波音とアンナはそう考えて、少しでも早く、オフィス街の人を避難させようとしていた。

 久世 沙幸(くぜ・さゆき)
 パートナーの魔女藍玉 美海(あいだま・みうみ)も、共に、
 ビルの中に残ってる人を探し誘導する。
 突如、ビルの電気がすべて消える。
 「美海ねーさま、停電だよ! でも、光精の指輪があるもん。
 これですぐ明るく……ね、ねーさま、何してるの?」
 「暖房も切れてしまいましたから、沙幸さんの身体で暖をとっていますの」
 一緒に行動しているがいる朗や波音達がいるにもかかわらず、
 沙幸とのスキンシップをかかさない美海だが、
 一般人への配慮は忘れず、怪我人を発見したらすぐにヒールをかけていた。