空京

校長室

建国の絆 第4回(無料版)

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建国の絆 第4回(無料版)

リアクション

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 一方、家に押し入ろうとしているゴーレムの前で、
 走瀬・ラルカンジュ(らんせ・らるかんじゅ)とパートナーのシャンバラ人翼・ラルカンジュ(つばさ・らるかんじゅ)が、
 きゃーきゃー騒いで挑発する。
 「こらー! そこの……えーっと、でくのぼー! やる事がちっちゃいよー!」
 実の兄弟である翼の様子にハラハラしつつも、走瀬もハモるように言う。
 「やる事がちっちゃいって事は脳みそも、ちっちゃいんでしょー!」
 「走瀬、あいつら多分脳みそないよー」
 「そういえばそうかも。ぎゃー、こっち来たー!」
 「やーい、ここまでおいでー! ぎゃー!」
 ゴーレムは、悪口に反応しているわけではないが、襲いかかってくる。
 こうして、走瀬と翼がゴーレムを誘導していく。

 どりーむ・ほしの(どりーむ・ほしの)は、
 避難する人の逃げ道を作る。
 「まだ力のないあたしにできることなんてたかが知れてる……でも、でも! 
  だまって見てるなんてできないよっ! あたしにも何かできることがあるはずなんだからっ!」
 モンスターの破壊によって通れなくなった道を、どりーむがハウスキーパーで瓦礫掃除する。
 どりーむのパートナーの魔女ふぇいと・てすたろっさ(ふぇいと・てすたろっさ)は、
 どりーむと協力し、道を塞ぐ瓦礫を火術で破壊する。
 「もう大丈夫です! 安全なとこまで連れて行きますから」
 ゴーレムからの退路を確保したふぇいとが、住人達に優しく声をかける。

 高務 野々(たかつかさ・のの)とパートナーの守護天使エルシア・リュシュベル(えるしあ・りゅしゅべる)は、
 野々のナーシングとエルシアのヒールやキュアポイゾンでの衛生兵的な動きをしていた。
 軽傷者は野々のナーシング、重傷者にはヒールで、SPを温存する作戦である。
 「……そういえばゴーレムといえば眠らせるものですが、子守唄はきくのでしょうか。
  ……まあ、ダメ元で歌ってみましょう。きいたらきいたで儲けモノですしね」
 野々が子守唄を使うが、このゴーレムにはやはり有効でないのだった。
 「理不尽ですね」
 「真面目に考えたのですよ。ほんとーですよ?」

 「持てる「知識」、熱き「心」、闘う「勇気」……全てを今、一つに!」
 正義のロボット楽園探索機 フロンティーガー(らくえんたんさくき・ふろんてぃーがー)が、
 野々とエルシアが治療した者を、どりーむとふぇいとが作った道を通り、安全な場所に運んでいく。
 「あと、ゴーレムが寝ないのは別に理不尽ではありません!」
 「解説しよう。フロンにはツッコミ回路も搭載されているのだ」
 フロンティーガーのパートナーである吸血鬼ドロシー・プライムリー(どろしー・ぷらいむりー)が、
 張り詰めた空気を破壊する天然発言をする。
 保護した人々の防衛よりは、他の逃げ遅れた者の捜索の方に主眼を置いて行動するのが、
 フロンティーガーとドロシーの狙いであった。
 2人は襲い来る敵の中、冗談を言うなど、強気に振る舞い、人々の希望になる。

 津田 雪樹(つだ・かずき)
 パートナーの吸血鬼フォッケ ウルフ(ふぉっけ・うるふ)が、
 同じパラ実生であるフロンティーガーとドロシーをサポートする。
 「うう、壊すのは苦手だよ」
 雪樹は、ゴーレムを牽制しながら、戦線離脱の手伝いをする。
 「おらおら、でかい図体して道塞いでんじゃねえよ!」
 黙っていればかわいいが、言葉が荒いウルフがゴーレムに怒鳴り、火術で後方支援を行う。
 「さあ、早くこっちへ!」
 ウルフが注意を引いている間に、雪樹が住人を誘導する。
 学生達の協力で、近くのモンスターが掃討され、
 今井 卓也(いまい・たくや)達が守る病院が、新しい避難所になっているのだ。

 神代 正義(かみしろ・まさよし)こと、「パラミタ刑事シャンバラン」は、
 空京警察に地図をもらい、ゴーレムの注意を引いてバイクで逃走、広場におびき出す作戦を行っていた。
 正義のパートナーの剣の花嫁大神 愛(おおかみ・あい)こと「太陽戦士ラブリー愛ちゃん」は、
 パワーブレスでシャンバランを支援、ゴーレムと渡り合えるように強化してから、
 自分は逃げ遅れた住民がいないか探し助ける。
 「もう大丈夫ですからね?」
 瓦礫に挟まれた人にヒールをかけて、愛が助け起こす。
 「ありがとうございます!」
 住人のお礼を背に、愛はシャンバランを援護するため追って行く。

 武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)こと、「ケンリュウガー」は、
 アインやクロセル、フロンティーガーと同じヒーローチーム、
 【レスキューフォース】として救助を行っていた。
 「ヒーローが来たからもう大丈夫だ!」
 ケンリュウガーが子ども達を励ます。
 子ども達の笑顔が戻る。
 「権力争いに校長達が目が行ってるならば、人々は俺が守ろう」
 ケンリュウガーはつぶやいた。
 「暗黒卿リリィ参上! ふはははは、この空京はあたしが支配する! ……あ、あれ?」
 ケンリュウガーのパートナーのヴァルキリーリリィ・シャーロック(りりぃ・しゃーろっく)は、
 グロロリ衣装の「暗黒卿リリィ」として、牙竜の後から現れた。
 いつものように、悪役としてマッチポンプ演出をする予定だったが、
 ヒーロー達を見て救助に参加することにした。
 「あのお姉ちゃん気持ち悪くて怖いようー」
 「う、うるさい! さっさとあっちに歩くのだー!」
 暗黒卿リリィは、避難誘導しつつ、怯える子どもを見て悪役として心で泣く。

 夜薙 綾香(やなぎ・あやか)は、トルメンタの周りのゴーレムを叩いていた。
 空京警察の警官にワイヤートラップを教え、誘導と行動の阻害を頼む。
 「メーガス、フォワードは任せた……!」
 パートナーの英霊メーガス・オブ・ナイトメア(めーがす・ないとめあ)が鷹揚に返事をする。
 「うむ、任された。代わりに支援はよろしくな」
 「……ああ、それは任せてくれ」
 メーガスは、ゴーレムの広い場所への誘導をしつつ、他へ行かないよう牽制しつつ攻撃する。
 光術を用い、街路樹などの障害物を利用し、脚を狙い動きを止める。
 「悪夢の王たる我の力を思い知るが良い」
 綾香とメーガスにより、トルメンタの周囲のゴーレムが誘導されていく。

 デゼル・レイナード(でぜる・れいなーど)は、空京警察のサポートを行う。
 口うるさくならない程度に教導団流に戦い方をアドバイスしていた。
 「メンドクセェが、しかたねえ。オレらの戦い方をよく見とけ!」
 デゼルのパートナーの機晶姫ルケト・ツーレ(るけと・つーれ)は、
 オフェンスを担当する。
 デゼルがディフェンス担当で、役割分担と連携を意識した戦い方をする。
 「おお、あの少年のように攻撃すればいいわけだな!」
 警官が、ルケトを指さして叫ぶ。
 「オレは……女だぁぁぁぁっっ!!」
 普段は丁寧だが、性別を間違われるとキレて暴れるルケトが、ゴーレムに突っ込んでいく。
 「あーあ、またメンドクセェことになったな。でも、結果オーライか」
 攻撃力が上がっているのを見て、デゼルが不敵に笑う。

 レベッカ・ウォレス(れべっか・うぉれす)は、住宅地で戦っているパラ実生【魅名剛狼士】の皆に協力し、
 バイクの機動力を活用して敵を戦いやすい場所に誘導して叩く作戦を取っていた。
 「曲乗り空京一の実力、見せてあげるヨ!」
 レベッカのパートナーの剣の花嫁アリシア・スウィーニー(ありしあ・すうぃーにー)は、
 レベッカのスパイクバイクの後部座席に横座りで2ケツし、レベッカ及び仲間の回復及び支援を行なう。
 E級四天王であるアリシアの仲間はスパイクバイクに曲乗りで搭乗し、
 敵の挑発、誘導、及び動きの止まったゴーレムの解体を頼んでいた。
 「ゴーレムをバラしてパーツ売ってぼろ儲けですわ。
 弁償請求されるから周囲に被害を出さないように気をつけてくださいね」
 「イナゴの群れのごとく襲いかかるパラ実生の実力、空京のミンナの目に焼き付けるネ!」
 「「「ヒャッハー!!」」」
 アリシアとレベッカの言葉に、パラ実生の仲間が歓喜の声をあげる。

 パラ実生と空京警察が、協力し合い、公園にゴーレムを集めたところで、
 シャンバランとケンリュウガーがばったり出会う。
 「ケンリュウガー、おまえもここで戦っていたとはな」
 「奇遇だな、シャンバラン。空京の人々のため、子ども達の未来のため、俺の背中、おまえに預けるぜ!」
 「おお! 正義を愛する気持ちは同じだ!」
 シャンバランとケンリュウガーの熱い台詞に、愛がパワーブレスで協力する。
 「がんばってください、シャンバランさん、ケンリュウガーさん、皆さん!」
 こうして、他の者たちとも協力して、心置きなく戦える広い公園でゴーレムを倒すことになった。

 蒼空学園体育教師の澤本 幻夜(さわもと・げんや)と、
 パートナーの魔女パルミナ・ブレイクハート(ぱるみな・ぶれいくはーと)は、
 重度の方向音痴のため、道に迷いやすいパルミナがはぐれないよう、手を繋いで歩く。
 公園にたどり着き、ゴーレムの群れに相対すると、
 幻夜がアサルトカービンを構える。
 「パルミナ、Wアタックで行く!」
 「うん、私の魔法でゴーレムを黒焦げにしてあげる」
 2人同時に、ゴーレムの脚を集中的に狙う攻撃で、
 3メートルの巨体とはいえ、人型をしているゴーレムが転倒する。

 虎鶫 涼(とらつぐみ・りょう)と、
 パートナーのヴァルキリーリリィ・ブレイブ(りりぃ・ぶれいぶ)も、ゴーレムを狙う。
 (ボスは誰かが相手するだろう。
  俺だけじゃなく、沢山の人が戦っているんだからな)
 そう考えた涼は、ブロードソードを構えてゴーレムの前に進み出る。
 「悪いがお前の相手は俺だ。手荒い歓迎だが付き合ってくれ」
 幻夜とパルミナが転倒させたゴーレムは、
 上半身だけで這い進んできていたが、頭部に涼の爆炎波を受け、一瞬動きを止める。
 「あたしの一撃は重いわよ!」
 さらに、リリィのツインスラッシュによって、ゴーレムは止めを刺される。
 「よし、協力して戦えば効率よく倒せるんだ」
 「しょうがないわね。今回ばっかりはつきあってあげるわ」
 涼がいつもどおりサポートしてくれたリリィに笑みを向ける。

 大熊 丈二(おおぐま・じょうじ)
 パートナーのヴァルキリーヒルダ・ノーライフ(ひるだ・のーらいふ)も、
 公園に集まっているゴーレムに攻撃する。
 (自分は新兵なので実力はまだまだであります。
  ならば、大きいマトを狙った方がよいであります!)
 「倒れるであります!」
 丈二がアサルトカービンを連射する。
 「動きは鈍いみたいだけど、つかまれたら面倒なことになるわ。
  丈二! 気をつけて!」
 ヒルダは、上空から一撃離脱を繰り返す。

 丹羽 遼太郎(にわ・りょうたろう)も、
 パートナーのヴァルキリーアルブレヒト・フェルディナンド(あるぶれひと・ふぇるでぃなんど)と、
 ヒットアンドアウェイで、ゴーレムの脚を狙う。
 「この俺の技を受けてみろ!」
 遼太郎が、ホーリーメイスで思いっきり殴りつける。
 「君にはイエニチェリになってもらわねばならないからな」
 アルブレヒトが、遼太郎を見守りつつも、カルスノウトでの攻撃を繰り返す。

 そこに、身長10メートルのゴーレムが、学生達に襲い掛かってくる。
 それを、さらに巨大な黒い影か抱きとめる。
 黒い影は巨大なゆる族、光学迷彩を解いた熊であった。
 「ふん! 俺様が愚か者だと?」
 熊の肩の部分に仁王立ちした、薔薇マントと仮面だけ着用した全裸の男が、
 トルメンタのいる方向を一瞥して、言う。
 「あ、あれは何だ? 変態か!?」
 「ち、違う! 我らが薔薇学一の変人、変熊 仮面(へんくま・かめん)だッ!」
 遼太郎の言葉に、アルブレヒトが叫ぶ。
 「行け、イオマンテ! どちらが愚かか思い知らせてやれ!」
 「グォォォ!」
 変熊のパートナーの巨熊 イオマンテ(きょぐま・いおまんて)の咆哮が大気を震わせる。
 イオマンテは砂塵を巻き上げ、ゴーレムにつかみかかる。
 「【ゴーレムライダー】の称号は伊達じゃないのだよ!」
 変熊がゴーレムの肩に飛び移り、鉄甲で首を殴りまくる。
 しかし、変熊の攻撃もごく表面のみ。
 イオマンテも、4930キロの体重で、なんとかゴーレムを支えている状態である。
 「誰かこの傷口から内部に魔法攻撃を!」
 イオマンテの叫びに、佐伯 梓(さえき・あずさ)が進み出る。
 「世界が望む正義のために……とかいってみちゃったりしてー」
 梓は、人型ゴーレムは一番大きいやつが倒れれば、小さいゴーレムや他のモンスターも、
 巻き込まれて下敷きになってくれるかも、と狙っていたのである。
 ギャザリングヘクスで魔力を高め、梓が力の限り魔法攻撃する。
 梓のパートナーの守護天使カデシュ・ラダトス(かでしゅ・らだとす)も、
 轟雷閃をゴーレムの脚めがけて繰り返す。
 「アズサ、無茶は禁物ですよ」
 パートナーを気にかけつつも、カデシュが全力で攻撃する。

 「自分もこの機に攻撃するであります!」
 「了解よ、丈二!」
 丈二とヒルダが、巨大ゴーレムの攻撃に参加する。
 「はっはっは、目立つのは俺だぜ! 
  これはあいつの分! これはそいつの分! そしてこれが俺の分だーー」 
 遼太郎が、さらに攻撃を加え、その場にいた他の者たちの攻撃も集中し、
 10メートルのゴーレムは倒れ、
 足元に集められていた3メートルのゴーレムの群れも巻き込まれていく。
 「わー、やったー、計画どおりだー」
 「やりましたね、アズサ!」
 梓とカデシュが喜んでいる中、
 遼太郎は、転倒した一番大きなゴーレムによじ登り、決めポーズを取る。

 泉 椿(いずみ・つばき)が、パートナーの魔女緋月・西園(ひづき・にしぞの)と協力して、
 残ったゴーレムの脚を狙い転倒させた。
 「おらおら、あたしらパラ実の【魅名剛狼士】をなめんじゃねーぞ!
 久々にみんなと暴れるぜ! 【撃墜女王】の称号は伊達じゃねえとこ見せてやる!」
 緋月は、ギャザリングヘクスで魔力を上げ、馬で移動しつつ火術を浴びせ、
 ゴーレムの倒れる方向を調節し、敵を押し潰す。
 「なかなか戦う機会がなかったので、たまにはこういうのもいいわね。
  戦闘は数値で測れる能力だけじゃ語れないって、教えてあげるわ!」
 椿は、仲間の姫宮 和希(ひめみや・かずき)に、情報交換をかねて、携帯で自分の撃墜数を報告したのだった。