空京

校長室

建国の絆 第4回(無料版)

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建国の絆 第4回(無料版)

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 第1章 繁華街

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 空京繁華街では、逃げ遅れた住人の避難活動に他の学生達が専念できるよう、
 レオンハルト・ルーヴェンドルフ(れおんはると・るーべんどるふ)が、
 パートナーの剣の花嫁ルイン・ティルナノーグ(るいん・てぃるなのーぐ)とともに囮を買って出ていた。
 「わーん、シルヴァ様が居ないようっ何でかなっ!?
  何でルインだけかなっ! レオ君のばかばかー!!」
 ぐすぐすしながらも、エレキギターをぎゃんぎゃんかき鳴らしてルインが雷電属性の魔法ダメージを放ち、
 ゾンビやスケルトンを痺れさせていく。
 「私の歌を聴けー! だよっ!!」
 ルインにモンスターが注目している間に、
 レオンハルトが単体で動いているゴーレムに短剣型の光条兵器で手傷を負わせては後退するのを繰り返し、
 一箇所に集めていく。
 できるかぎりモンスターを集めた後に、レオンハルトが等活地獄で全体攻撃する。
 「秩序の守護者たる教導団軍人として、卑劣なテロを看過する訳にはいかん。撲滅する!」
 モンスターを一網打尽にした後、さらに別の群れに向かって、レオンハルトとルインは進んでいく。
 
 峰谷 恵(みねたに・けい)とパートナーの剣の花嫁エーファ・フトゥヌシエル(えーふぁ・ふとぅぬしえる)も、
 空飛ぶ箒で繁華街に急行し、ゾンビの群れと戦っていた。
 「絶対許せない……屍が屍を作るのも……魔物が人を殺すのも!!」
 かつて、大切な兄を魔物によって失った恵が、憤りながらバニッシュを放つ。
 恵を守るため、エーファが前衛で高周波ブレードを振り回し、ゾンビをなぎ払う。 
 「私もしぶとく図々しい身です。そう易々と屍の仲間入りさせられると思わないで下さいませ」
 エーファが、パートナーに振り返りつぶやく。
 「ケイは私が、守ります」

 アリの改造人間「パラミアント」こと五条 武(ごじょう・たける)も、
 特にアンデッドを狙って、繁華街での討伐を担当し、避難は他の人に任せるつもりであった。
 「来いよ腐れゾンビ共。安らかな眠りをプレゼントしてやる」
 武は、鉄甲を用いた格闘戦で、ドラゴンアーツや光術での牽制後、派手に爆炎波で仕留めていく。
 「死人が動いてンじゃねぇ。塵になって寝てやがれ」
 爆風の中、武が不敵に笑みを浮かべる。
 「目標捕捉……撃破します」
 武のパートナーの機晶姫イビー・ニューロ(いびー・にゅーろ)は、
 六連ミサイルポッドにより、沈着冷静に空中のガーゴイルを撃ち落としていた。
 
 そんな中、グレン・ラングレン(ぐれん・らんぐれん)は、ゾンビとスケルトンの群れが繁華街に進軍するのを防ぐため、バリケードを築いていた。
 「まともに設営してたんじゃまにあわねえからな、いただいていくぜ!」
 グレンは、周囲の無人の店の看板や建物を破壊した瓦礫を繁華街入り口の道路に山積みにしていった。
 「荒っぽいが、ともかく人命優先だ。ぶっ壊れた建物はまた建て直しゃあいい。ま、オレが建てるわけじゃねえけどな! ガハハ!」
 パラ実らしい豪快な発想であった。
 「急ぎな! 来るよ、ヤツら!」
 グレンのパートナーの機晶姫カレン・ドレッドノート(かれん・どれっどのーと)が、
 スパイクバイクで偵察し繁華街方面に向かってくる敵の進軍経路を特定して、注意を促す。
 レオンハルト、ルイン、恵、エーファ、武、イビーが、
 グレンが作ったバリケードに阻まれたゾンビやスケルトンの群れを倒していく。

 その間に、天 黒龍(てぃえん・へいろん)土御門 雲雀(つちみかど・ひばり)の2人と、
 黒龍のパートナーの剣の花嫁紫煙 葛葉(しえん・くずは)
 雲雀のパートナーの守護天使エルザルド・マーマン(えるざるど・まーまん)の2人が、
 小型飛空挺2人乗りで繁華街を駆け抜ける。

 店をくまなく回るため、雲雀が鍵のかかった店の扉をぶっ壊して突入する。
 「天殿、いたであります! 自分達が来たからにはもう大丈夫なのでありますよ」
 雲雀が、腰を抜かしたコンビニのアルバイトらしき少女を指差して言う。
 「……店の入口を破壊してすまなかった」
 愛想はないが、いきなり自分の店に見知らぬ女が特攻してきたら
 普通は怖い事くらいはわかるので、黒龍が詫びを入れる。
 「……しかし、エルザルドだったか……お前も……難儀な相手と……契約したものだな。
  まるで鉄砲玉のような女だ」
 「雲雀の一生懸命な所は好きだけど、店に1軒1軒特攻するのはねえ」
 葛葉とエルザルドが後で会話する。
 「怖い思いをしたのかな? でももう大丈夫。これからは一緒だから、おいで」
 エルザルドがアルバイトの少女を優しく抱きしめる。
 「さあ、どんどん次の店に行くであります!」
 「待て、今度はもっと普通に……」
 黒龍が止めるのもむなしく、雲雀は隣の店も入り口を破壊して進んでいくのであった。
 
 若林 雪叢(わかばやし・ゆきむ)も、一軒一軒店を回り、声をかけつつ、逃げ遅れた人を捜索して救助していた。
 「逃げ遅れた人はいませんか?
  私たちで護衛、避難誘導しますから
  もし隠れているなら怖がらずに出てきてくれませんか?」
 パートナーのヴァルキリーイスティ・シェリローゼ(いすてぃ・しぇりろーぜ)も、声をかける。
 「誰か居ないのか?
  このままここにいると戦闘に巻き込まれて危険だぞ
  安全な場所まで誘導するからついてこい」
  雪叢とイスティは優しく声をかけ、逃げ遅れた人を避難誘導するのであった。
 なお、たまに、教導団員女性が店に突っ込んできたのが怖かったという人もいて、
 雪叢とイスティは首をかしげるのであった。