空京

校長室

建国の絆 第4回(無料版)

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建国の絆 第4回(無料版)

リアクション

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 ミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)
 パートナーの黒い猫又ゆる族カカオ・カフェイン(かかお・かふぇいん)と、
 霧島 玖朔(きりしま・くざく)と、
 パートナーの機晶姫ハヅキ・イェルネフェルト(はづき・いぇるねふぇると)は、
 オフィス街上空のガーゴイルを相手にしていた。
 「飛行モンスターは他の奴じゃ手に余るだろ。私に任しとけ!
  不意打ちだろうと、勝てば正義だぜ!」
 ミューレリアが、カカオの操縦する小型飛空挺に乗り、奈落の鉄鎖でガーゴイルを引き寄せ、
 妖刀村雨丸で攻撃して地面に墜落させる。
 「ミュー、油断するにゃよ」
 「言われるまでもないぜ」
 玖朔は、ミューレリアの奈落の鉄鎖で動きが鈍ったガーゴイルを、スナイパーライフルで狙撃する。
 「ミュー、後だ!」
 ミューレリアの背後から迫るガーゴイルの群れを、玖朔が弾幕援護で追いちらす。
 「サンキュー! 今日の天気は晴れ時々ガーゴイルだぜ!」
 ミューレリアが、空中でとまどっているガーゴイルを一体一体叩き落す。
 「教導団の勝利の女神様は、夜の空京で天変地異を起こすってね」
 玖朔が、その様子を見て笑う。
 「リンクス、来ます!」
 ハヅキが、「リンクス」……意味は連結・繋がると言う意味から山猫を示す言葉……と呼ぶ、
 パートナーの玖朔のいるビルの屋上に上がってきたゾンビを、綾刀で両断する。
 こうして、4人は、着実にガーゴイルを仕留めていくのだった。

 玖朔とハヅキのいる隣のビルで、連携をとりつつ、
 カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)は、
 パートナーの機晶姫ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)とともに、
 ガーゴイルを撃ち落としていた。
 「羽を溶かして飛べない様に出来れば戦いやすいし、
  そのまま地面に落として砕けちゃったりすればラッキーだしね」
 カレンは、アシッドミストの範囲攻撃で、ガーゴイルの群れを攻撃する。
 「わっ、こっち来たよ、ジュレ!」
 「心得た。空を飛ぶ標的なら、我に任せろ」
 ジュレールは、レールガンで接近するガーゴイルを落としていく。
 アシッドミストを連発して、SPを大量に消費するカレンにSPリチャージをかけるのも忘れない。
 カレンの目論見どおり、羽を溶かされたガーゴイルは、
 落下して地面に激突したり、動きが鈍くなってミューレリアや玖朔の攻撃の餌食となっていった。

 御堂 緋音(みどう・あかね)も、空飛ぶ箒に乗って、アシッドミストをガーゴイルの群れに放つ。
 「『空を制するものは戦争を制す』と言いませんでしたっけ?
  んー、違いましたかね……」
 緋音のパートナーの守護天使シルヴァーナ・イレイン(しるう゛ぁーな・いれいん)は、
 ヒールで緋音を優先的に回復する。
 「きゃー、こっち来ちゃいました!
  小さな鍵の書でもくらいなさい! えいえいっ!」
 「緋音!」
 ガーゴイルに接近され、本を振り回す緋音を、
 シルヴァーナが無理やり小型飛空挺に回収する。
 「確かに人の命がかかっているから無理したくなる気持ちは分かるけど、
  私にとって緋音の方が大切なのよ」
 シルヴァーナが小柄な緋音を抱きしめる。

 緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)が、見通しのいいビルの屋上からサンダーブラストを放ち、
 緋音とシルヴァーナの小型飛空挺を援護する。
 「大丈夫ですか? とはいえ、魔術の基本はまず殴ること……ですよね?」
 「ありがとうございます! 
  そうです! 魔道書はある意味鈍器ですよね。角とか痛そうですし」
 遙遠の言葉にお礼を言いつつ、緋音が笑顔で答え、シルヴァーナは頭を抱える。
 「真面目に考えてるから困るのよね……」
 遙遠のパートナーのヴァルキリー紫桜 遥遠(しざくら・ようえん)が、
 遙遠の護衛をしつつ、近づく敵を近接攻撃で対応する。
 「こう数が多くてはどう立ち回ればよいか悩むところですが……
  とにかく遙遠の身は遥遠が守りますよ。
  遥遠達は遥遠達の出来ることをこなしていきましょう」
 遥遠はつぶやき、ライトブレードで、
 たまにビルに上がってくるゾンビやスケルトンを切り裂いた。


 空の敵が確実にしとめられていく中、
 警察に協力する、ヤジロ アイリ(やじろ・あいり)と、
 パートナーの機晶姫ユピーナ・エフランナ(ゆぴーな・えふらんな)は奮戦していた。
 「一般人だろうが契約者だろうが、ここはやるしかねーよな」
 アイリが、空京警察と学生達の溝を埋めたいと、発破をかける。
 アシッドミストでゴーレムの装甲やスケルトンの鎧を溶かすことで、
 警官の攻撃を通りやすくしようというのが、アイリの作戦であった。
 警官達は、始めて見るモンスターを前に、
 腰が引けたり、恐慌状態におちいったりする者もいたが、
 アイリがSPリチャージで気合を入れる。
 「生きて帰んなきゃな、市民達が待ってるぜ」
 空京の市民達のために。
 一つの大きな目的の元、警官達の士気が上がる。
 「モンスターめ。民の生活を脅かすとは許せんな。
 我は貴様らを「悪」と認定した、空京の警察と力を合わせ退治する!
 SP切れや弾切れでも我にはまだこの身体がある!」
 加速ブースターをふかして、ユピーナが突撃する。
 「例えジャンクになろうとも戦い続けるぞ!!」
 「おお! 俺達もジャンクになるまで戦うぞ!」
 「いやジャンクは駄目だろ」
 ユピーナの言葉に、若い警官達が興奮し、アイリがツッコミを入れる。

 崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)は、
 警察には後方支援や怪我人の護送を頼んでいた。
 今はまだよいが、大規模な群れに接敵したら、激しい戦闘が予想される。
 「貴方がたにも貴方がたの出来る事があるはずよ、気を引き締めて」
 亜璃珠は、弾切れを怖れて、機関銃ではなく、
 ヘキサハンマーでゴーレムの脚を狙い、転倒させて、
 他のモンスターを巻き込むように戦う。
 亜璃珠のパートナーの剣の花嫁崩城 理紗(くずしろ・りさ)は、
 後方で警官隊のサポートを行う。
 「ちびちゃんに代わっておねーさまのお手伝いをするのね。
  うん、わかった! けーかんの人たちはまかせて!」
 SPルージュやヒールで警官達を回復しつつ、
 危険な場合は煙幕ファンデーションで退却の援護をする。

 そのころ、【イルミン魔法実験部】のメンバーも、警察と共闘していた。

 七尾 蒼也(ななお・そうや)は、
 大事な後輩が空京警察に撃たれたために、警察は信用していないが、
 敵に回しても不利なので目をつけられないように自重している。
 (みんなのために、一緒に戦いたい。もう誰かを守れずにつらい思いをするのは嫌だ)
 しかし、この重要な場においては、右往左往したり、パニックになってわめいたりする者もいて、
 警察は後を任せるにはたよりなさすぎる。
 「自分達が有利な状況なら高圧的になるが、
  現場では役に立たないじゃないか」
 警官の全員がそうではないが、その様子に、蒼也は憤って言う。
 そんな蒼也の様子を見て、
 パートナーの機晶姫ペルディータ・マイナ(ぺるでぃーた・まいな)がフォローする。
 「ジーナさんのためにも今は我慢して。笑顔、笑顔」 
 蒼也が平静を取り戻す。
 「ああ、今できることを精一杯やるさ」

 志方 綾乃(しかた・あやの)は、
 部隊の中衛最前線で、負傷者をナーシングで回復させる。
 また、範囲魔法で群れを攻撃する味方のSPが切れないよう、
 SPリチャージやSPルージュを頻繁に使用していた。
 綾乃のパートナーの英霊袁紹 本初(えんしょう・ほんしょ)は、
 綾乃の目の前でエンデュアを使用して、ディフェンスシフトを行い、
 魔法使いや中衛・後衛の盾になる。
 「わらわこそが四代三公の名門、三国時代の覇者袁本初であるぞ!」
 そして、派手に口上を行い、可能な限り、自分の前に敵を誘導する。

 ウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)が、
 A班中衛で連絡役とA班班長を務めている。
 【イルミン魔法実験部】はA班B班で挟み撃ちにする形で敵を殲滅する作戦であり、
 B班班長城定 英希(じょうじょう・えいき)と随時携帯連絡して、
 警察包囲網の位置と敵の位置を把握しながらの敵陣挟み込みを試みているのだ。
 ウィルネストのパートナーの吸血鬼シルヴィット・ソレスター(しるう゛ぃっと・それすたー)が、
 サンダーブラストを放つ。
 「ちゃっちゃと終わらせて家に帰るですよ! いっきまーす!」
 「ウィルネストさん、シルヴィトさん、受け取ってください!」
 綾乃は、ウィルネストとシルヴィットに重点的にSPリチャージを行っている。
 「遠慮なく溶かしちゃうですよー!」
 シルヴィットが、ゾンビの群れに、さらにアシッドミストを放つ。
 そこへ、B班班長の城定 英希(じょうじょう・えいき)からウィルネストに電話がかかってくる。
 英希の声は、おどけているように明るい。
 「やあ、ウィル君。
 いいニュースと悪いニュースがあるんだ。どっちから聞く?」
 「なんだよそれ。
  こういうときゃ悪いほうからだろ、やっぱ」
 「B班なんだけど、予想外に敵の数が多くてね。
  ゾンビに囲まれちゃって、壊滅的状況なんだよねー」
 「オイ、大ピンチじゃねーかっ!!
  じゃあ、いいニュースっていうのはなんなんだよ!?」
 「俺たちは、全員、まだ生き」
 英希の声が言葉の途中で聞こえなくなり、何かが派手に叩きつけられる音がした。
 「英希!! 英希!! しっかりしろ!!」
 英希のパートナーのドラゴニュートジゼル・フォスター(じぜる・ふぉすたー)の絶叫がウィルネストに聞こえる。
 「おいっ城定!! 城定!!」
 ウィルネストが携帯に向かって叫ぶが、そこで通話は途絶える。
 「ウィルー……」
 後から、シルヴィットが声をかける。
 「嘘だろ……」
 振り返ったウィルネストは、それだけつぶやいて硬直する。
 A班メンバーと、一緒に行動する警官隊も、ゾンビの群れに囲まれている。
 「畜生! 紅蓮の魔術師様がテメーら全員丸焦げにしてやる!!」
 ウィルネストが、ゾンビの群れにファイアストームを放った。


 一方そのころ、
 和原 樹(なぎはら・いつき)
 パートナーの吸血鬼フォルクス・カーネリア(ふぉるくす・かーねりあ)は、
 空京の外周部に位置する空京駅で、逃げ遅れた人の避難をさせようとしていた
 「予想外に人数が多いな。これでは、我らだけで避難させるのは難しいだろう」
 「空京の外に出たら、契約者じゃない人は簡易結界がないと、
  大変なことになってしまうからね……。
 このまま駅に留まった方が安全かもしれないな」
 空京駅には帰れなくなった観光客が集まっており、騒然としていた。
 フォルクスと樹は顔を見合わせる。
 「ともかく、俺達だけでも、一般の人たちの護衛をしよう」
 「ああ、オフィス街の作戦区域に魔物を追い返すとしよう」
 警察も、オフィス街での掃討作戦に人員を多く配置しており、手が回らない状況である。
 樹とフォルクスは、駅の人たちを守る決意をする。

 そのとき、樹は、繁華街の方向で爆炎が上がるのを目撃する。
 「あれは!?」
 繁華街は、一番、魔物の数が少なかったはずである。
 樹とフォルクスは、呆然と繁華街に広がる炎を見つめた。