空京

校長室

終焉の絆

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終焉の絆
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イコン防衛戦 1

 坑道を捜索メンバーたちが少女を捜索から発見するまでは敵イコンからの攻撃は大人しいものだったが、攻撃はここにきて激化する兆しを見せ始めていた。
「入り口は絶対死守です。敵の動向に気を払って下さい」
 押し寄せてくる敵の姿を確認したアルマ・ライラック(あるま・らいらっく)ウィスタリアの艦長として他の部下たちに気を払うよう警告。
 要塞砲による牽制射撃を行いつつ、荷電粒子砲を放つ隙を窺うが相手も固まらず、バラけてこちらへ向ってくるため、中々撃てないでいた。
 一方、柚木 桂輔(ゆずき・けいすけ)は味方イコンの補給を受け持っていた。
 整備班と共に迅速かつ的確に補給を行いつつ、損傷しているイコン機については修理、その判断の早さは見事なものだった。
「今の所は中破クラスのものも少ないが……これからってところかな」
 桂輔がそう言った側から、損傷の激しいイコンがやってくる。
 変なこと言わなきゃ良かった、そう後悔しつつ整備班と協力して補給と修理をこなしていく桂輔。

「敵接近、セラフィム級イコンも複数確認。各区域ごとに戦艦を配置、その周りに友軍機が展開してくれているわ」
「坑道内の契約者からの坑道内データのフィードバックは?」
「土佐と協力して九割方フィードバック完了、後は解析する前にフィードバックしたデータを整理し、坑道内にいる契約者たちへと転送する」
 HMS・テメレーア内、ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)が契約者から来る坑道内部の内部状況をまとめながら、
 グロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)に現状報告をする。
 元々レーダー波からの反応を解析し、坑道内の大まかな構造を表示するプログラムを導入するつもりだったが、
 プログラム作成が困難と判断し各契約者からの情報をフィードバックし、データを整理した上で補っていた。
「即席の代案としては上々の成果じゃな……」
 グロリアーナが一呼吸おいてから、【H部隊】へと通達する。
『各艦、此処が正念場ぞ。この戦いに勝利し異教徒どもをロンドン塔で審問するのだ! 異教徒の暴虐をこれ以上、許してはならぬ!』
 その一喝は各艦の乗組員への激励の言葉。
 これに応えようと、土佐に搭乗する湊川 亮一(みなとがわ・りょういち)高嶋 梓(たかしま・あずさ)もデータの整理を急ぐ。
「甲板科及び整備分隊はいつでも動けるように待機。敵の攻撃に備え即時動けるようにしておいてくれ。梓、あとどれくらいだ」
「データの整理はほぼほぼ完了していますわ。後はデータの無駄部分を削減し、各契約者へと転送します。
 ……ローザマリアさんの処理速度の早さには恐れいりますわ」
「なるほどな。僚機2機に伝達、両機は土佐の直掩に専念。
 決して突出せず、常に片方のバックアップに入れるようにしてくれ。補給、修理を行った時も同様に頼む」
 僚機2機に明確な指示を伝えつつ、テメレーアと協力して敵への牽制射撃を怠らない。
 と、テメレーアと土佐の攻撃の穴部分、攻撃が薄い部分へと敵がなだれ込む。
「……要塞砲、撃てぇっ!」
 土佐とテメレーアが同時に要塞砲を撃ちこみ、固まっていた敵を一掃する。

 テメレーア及び土佐と並ぶようにして浮遊するBB‐75 マサチューセッツ
 こちらに搭乗しているキャロライン・エルヴィラ・ハンター(きゃろらいん・えるう゛ぃらはんたー)、そしてトーマス・ジェファーソン(とーます・じぇふぁーそん)も支援砲撃をしつつ、データの整理に追われていた。
「カルさんから、坑道捜索メンバーは脱出準備中、そのため坑道内部の構造データを必要としている。
 以上のように本艦を含めた各艦へ連絡をよこしたわ」
「そりゃ欲しいわよねぇ。手探りだからどうしても時間かかっちゃうけど」
 カルからの要請に即答したきところではあるがもう少し時間がかかる。
 これを受けたキャロラインやトーマス、他の艦は総出でデータの削減を行う。
「……各艦からデータ削減が終了したとのこと。私たちのとこも、そこで最後よ」
「はいはいー! っと、これで終わりっ!」
 膨大な量に及ぶデータ整理が完璧に終了し、そのデータをアップロード後、キャロラインが全データを統合し坑道内にいるカル含む契約者たちへと解析データを転送する。
「これで私たちの最優先事項は終了ね」
「いやいや、私たちの最優先事項は、この世界を救うだよ? まだまだこれからだって!」
「……そうね。各員、世界を救うまでその命、私に預けて頂戴ね」
 その言葉に誰も反論するものはなく、一糸乱れぬ「イエッサー!」という言葉が返ってきた。