空京

校長室

終焉の絆

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終焉の絆
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リアクション


イコン解析・鹵獲

「派手にやるわね。おかげで解析できるほどのパーツがないわよ」
「仕方ないでござるな」
 直接戦闘には参加せず、ロッツ・ランデスバラットでひっそりと行動する天貴 彩羽(あまむち・あやは)スベシア・エリシクス(すべしあ・えりしくす)
 地上に落ちていそうな敵イコンやその破片を探し、技術解析を行うため辺りを捜索しているのだが、どうにも解析できそうな破片すらない。
 これだけの戦闘が起こっていれば、一つや二つあってもいいものなのだが。
「まあいいわ。まだ戦闘は続いているんだもの、ゆっくりいきましょう」
 決して焦らず、自分の目的を遂行するために捜索を続ける彩羽。

 一方では敵イコンの鹵獲を考えるイーリャ・アカーシ(いーりゃ・あかーし)鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)が手を組み、単独の新型イコンがいないか探していた。
『すいませんね。手伝ってもらってしまって』
『まあ、私も鹵獲してみたかったから。前線に出るつもりはなかったけれどね』
 元々、イーリャやそのパートナーであるジヴァ・アカーシ(じう゛ぁ・あかーし)は、ガーディアンヴァルキリーを拠点とし後方から敵イコンの戦力を推し量る予定だった。
 しかし、相手の強さもあり各契約者たちも全力で戦わなければならず、敵イコンのほとんどが爆発し、情報収集は上手くいってなかった。
 そこへ貴仁から、敵イコンの鹵獲を手伝って欲しいと通信があったのだ。
 貴仁と常闇 夜月(とこやみ・よづき)は、本気で戦っている契約者に混じって敵の鹵獲を考えたが、上手く合わせることが出来ず鹵獲できない現状が続いていた。
 そこで鹵獲をメインに考える協力者が必要だと考え、後方で待機していたイーリャに声をかけた、というわけだった。
『……いた』
 貴仁が単独でいる敵イコンを捕捉する。イーリャもそれを確認し、作戦を実行に移す。
『それじゃ囮は引き受けるから』
『お願いします』
 貴仁たちの操る{ICN0004744#シュヴェルツェ イルズィオン}は後方で待機。
 それを見て十分隠れていることを確認したイーリャはヴォーランを駆り、敵イコンに奇襲を掛ける。
「っとに……また新型ってあんたらねぇ!! 天学のデータ、どっかからもってきてるんじゃないでしょうね!?」
 あまりにも早すぎる新型イコンの登場に不満を隠せないジヴァ。その思いをありったけ込めながらブレードビットを展開。
 奇襲を受けた敵イコンの判断は鈍く、動きも劣悪。
 それを見たジヴァはブレードビットによる攻撃を中断後、グラビティコントールを行い重力に干渉。
 攻撃を行いつつある程度相手の動きを阻害する。
「貴仁様、今でございます」
「はい、行きます!」
 相手の動きをよく観察していた夜月の声に即応した貴仁がノイズ・グレネード、
 続けざまにコロージョン・グレネードを投擲。敵の各機能を無効化した上で、超電磁ネットを放る。
 イーリャたちとの連携により、思った以上にあっさり相手の動きを止めることに成功する。
 だが、それだけではだめだった。

ドーン!!

 敵イコンが突如として爆発する。それはイーリャや貴仁たちの仕業でも、味方や敵イコンの仕業でもない。
「……自爆、ですか」
 機能障害を引き起こしていたにも関わらずの自爆。
 機能障害が自爆装置にまで障害を引き起こせなかった、あるいは操縦者自身が爆発物を起爆し、誘爆させたか。
 何にせよこれでは鹵獲は非常に困難だ。
「……姿形からもどの系列なのかまではわからない、その上躊躇なく自爆……これは情報収集が一番骨が折れるのかしら」
 イーリャが機体内でそう呟く。

「……なるほどね。通りで破片もないわけね。木っ端微塵になれたら、そりゃそうよね」
 その一部始終を見ていた彩羽も、技術解析は難しいと思い知ることとなる。
 その後も身を隠しつつ捜索を続けるが、目ぼしい敵イコンの破片は一つたりとも見つけられなかった。