空京

校長室

終焉の絆

リアクション公開中!

終焉の絆
終焉の絆 終焉の絆

リアクション


脱出大作戦 Aルート

「い、急がないと……」
 グランツ教徒たちやクルセイダーたちに追いつかれないよう祈りながら坑道を急ぐ静香たち。
 だが、後方からはクルセイダーたちが追ってくる。どうやら姿は消えていないようだが、闇に紛れながら向かってくるため、視認し辛い。
「うぅぅ……こんな閉所を急がなければいけないなんて……」
「まあいいじゃないですの。カケラにあれだけ抱きついたりしたのですから」
 閉所恐怖症の風森 望(かぜもり・のぞみ)と、何とか気を紛らわそうと会話をするノート・シュヴェルトライテ(のーと・しゅう゛るとらいて)
 ノートの言葉通り、望はカケラを見つけるなり他契約者の警護をかわしていきなりハグしたのだ。
 その時の様子というと。

〜〜〜〜〜脱出作戦結構ちょっと前〜〜〜〜〜

「やっと会えたー! (思ってた、より少し大きいけど十分可愛い! 肌すべすべ!)」
『あ、あのう……』
 カケラが戸惑っているのを見て、望も一旦離れる。
「失礼。頑張ってこちらまで来た甲斐があったと思ったら、少し暴走してしまって。安心して下さい、私は貴方の味方ですから」
『はぁ……』

〜〜〜〜〜そして現在へと時間は戻り〜〜〜〜〜

「全く、折角の美少女との逢瀬だというのに、とことんグランツ教というのは無粋ですね。それに、カケラにあんな顔をさせるなんて」
「カケラのあの顔はあなたに向けられたものだと思いますわ……」
 光術を使い光源を確保する望の言葉を聞いたノートがそう突っ込む。
 だが突っ込んでくるのはクルセイダーも一緒だった。
「来ましたわね。さぁ、剣の戦乙女シュヴェルトライテを抜いて行くと言うのであれば、相応の覚悟を持って掛かってきなさい!」
「援護はお任せですよ」
 望が龍銃ヴィシャスで援護射撃を開始すると同時にノートがレーヴァティンとアイオーンの二振りを持って突貫。
 狭い坑道内でより有効的な戦い方を模索し、他契約者と協力し一度ここに止まり蹴散らしてから後ろから追っていくのが有効だと判断。
「そちらにいる方、手伝ってくださるかしら!」
「任せろ!」
「了解ですぅ!」
 ノートの要請に神条 和麻(しんじょう・かずま)エリス・スカーレット(えりす・すかーれっと)が返事をする。また桜葉 忍(さくらば・しのぶ)織田 信長(おだ・のぶなが)も援護に入る。
「私たちはこの一番狭くなっている箇所で敵の進撃を阻みつつ、相手を倒しますわ」
「……なるほど。このルートは一本道だから、それが効果的ということか。了解した」
 ノートの考えを察した和麻も同じく敵へと斬りこむ。幸いこのクルセイダーたちは姿が見えている。注意深く観察すれば見逃すことは少ないだろう。
 ノート、和麻、エリス、忍、信長が前線を構築し、その穴を望が埋めるといった戦法を用いてクルセイダーたちを足止めする六人。
「お前たちは早急すぎる。何も答えを捜そうともしないでただただ従い、誰かの命を奪うなど到底許されることじゃない!」
 和麻が咆える。その思いを愛刀に乗せて、敵を討ち果たしていく。
 それと肩を並べるようにして、一騎当千が如く強さでクルセイダーのみならず、追いついてきたグランツ教徒たちもまとめてなぎ払っていくノート。
 クルセイダーはその俊敏さで辛くも避けるが、跳躍からの着地後の一瞬の隙を望に射抜かれ負傷。
 鈍った動きに前線メンバーがとどめを刺すという攻撃の前に苦戦を強いられる。
「……後退する。これだけの坑道だ、ここも一本道ではないかもしれん。探すぞ」
 クルセイダーたちは突破には時間がかかるとと判断し、後退をして別の道を探すことに。
 こうして迫り来る敵を撃退した六人はすぐさま踵を返して静香たちを追う。

『大丈夫ですか?』
「へ、平気……先を急ごう」
 カケラの気遣いの言葉に問題ないと返す静香。
 現在の同行者は神月 摩耶(こうづき・まや)クリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)の二名だけと少ない。
 別ルートがあり、そこから来たクルセイダーと鉢合わせればかなり危険だ。
「……静香校長! ちょっと失礼するわよ!」
「カケラちゃんはボクに捕まってね!」
 と、クリームヒルトが静香を、摩耶がカケラを抱きかかえて坑道を走る。
 しばらく走り見えてきたのは出口から覗く光。だがそう簡単にはいかない。
「いたぞ、追え!」
 別のルートを発見して進行してきていた敵が四人の姿を確認、全速力で追いかけてくる。
「へへーん! 今更遅いってね!」
「そうよ! この二人はあたしたちがお持ち帰るんだから!」

「『……えっ?』」

 静香とカケラの声が綺麗に重なる。どうやら摩耶とクリームヒルトの目的はこの二人を持ち帰ってしまおうということらしい。
「……わ、僕もなの!? これでも、その、校長先生なんですけどぉ」
「安心して。そんなの忘れちゃうくらい、あたしが、良いところにイかせてあげる!」
「どういうことなの〜!?」
 慌てる静香だが時既に遅し、四人は出口へと辿りつき外に待機していたミム・キューブ(みむ・きゅーぶ)アンネリース・オッフェンバッハ(あんねりーす・おっふぇんばっは)を見つける。
「あ、きたきた!」
「摩耶様、クリム様、こちらへお急ぎください」
 煙幕ファンデーションを敵に投げつけつつ、トラクタービーム発射装置を使用するアンネリース。その対象はカケラ。
 これにより摩耶は更に速く走ることできる、と判断したから使用したのだ。
 敵は目標を失っている、と思われたがそうではなかった。煙幕が独りでに揺れ動いている箇所があった。
「やばっ、そこから何か来てるよ! 何か連絡があった見えない敵ってやつじゃ!」
「カケラ様が……!」
 ミムの言う通りだった。そして、もう遅い。
 クルセイダーが、カケラを間合いに捕らえ、その命を絶つための一撃を腹部へと……。

ドスッ。

……………………
………………
…………
……