空京

校長室

終焉の絆

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終焉の絆
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脱出大作戦 Cルート

「……これは一体どういうことだ!?」
 グランツ教徒たちが驚き慌てふためいている。それもそのはず。
 目の前には、複数人のカケラがいたからだ。
「慌てるな。本物は一人、他はフェイクだ」
 クルセイダーの一人がそう言う。その言葉に幾分か平静を取り戻した教徒たち。
「いきますよー! 邪悪の根源共! ファイヤー!!」
 次百 姫星(つぐもも・きらら)が叫びながら火術を使い、口から火を吹いたかのようにして敵を燃やさんとする。
 その隣ではバシリス・ガノレーダ(ばしりす・がのれーだ)が滅びの角笛をスタンバイ。
「正義とか平和とか、そっちの勝手ないい分は聞き飽きたし…なにより煩いヨ!」
 教徒たちの行いを一喝した後、バシリスが滅びの角笛へと息を送り込む。
 途端に恐ろしい轟音が鳴り響き、坑道内部を震撼させていく。
 狭い坑道内ということもあり、轟音より敵の鼓膜を震わせた。
 ひるんだ敵を見た姫星とバシリスが同時に高速移動で敵陣へと駆け込む。
「我が槍の冴えを受けろぉ! うおぉ、チェストォーーーー!!」
 姫星は幻槍モノケロスを構えると、聖なる光を放ち敵を討つ。
「バシリスの足技は結構強力ヨ。これでノックアウトしてやるネ! シュートッ!!」
 その隣ではバシリスが空を舞い、武器の切っ先から鋭き風を巻き起こし敵を斬り刻む。
 二人が攻撃を行っている間、ルドルフたちは坑道出入り口へと急ぐ。
「……いくらか護るべき者が増えたが、問題はない!」
「その通りですね。このまま逃げ切れば問題はないでしょう」
 無限 大吾(むげん・だいご)セイル・ウィルテンバーグ(せいる・うぃるてんばーぐ)が複数人いる少女の側で護衛に専念している。
 と、大吾は背後からいきなり攻撃される。クルセイダーだ。
 だが大吾は倒れない。フォーティテュードにインビンシブル併用し、その身に鋼鉄と見まごう程の防御力を手に入れていた。
「こ、の程度では!」
「……焦ったか」
「……女一人殺して、正義の英雄気取りかくそ忍者モドキ? だとしたら最低の虫ケラ以下だぜぇ!」
 先ほどまでの態度から急変、攻撃的になったセイルがクルセイダーへと各種ブースターを駆使して飛び込む。
 見た目にも凶暴な金剛嘴烏・殺戮乃宴を振るうが、クルセイダーを捕らえることはなかった。
「まあいい、狙いは貴様ではないからな」
 大吾から離れたクルセイダーは複数人のカケラの一人に攻撃をする。しかしそれはスカ。
「分身か……」
「下がれ!」
 大吾が弾幕援護で弾幕を張り、クルセイダーを後退させる。
「不動の盾は伊達じゃない……俺が、俺たちが最終防衛ラインだ!」
「はっはっは、ずいぶんと活きがいいじゃないか」
 ゆらりと現れたノア・レイユェイ(のあ・れいゆぇい)。その後方では伊礼 權兵衛(いらい・ひょうのえ)もゆるやかな微笑を浮かべていた。
「若いのぅ。ノアにもあれくらいの時期があったものじゃて」
「冗談を。そんな過去は持ち合わせていないさね」
「そうじゃったかのう? ふぉっふぉっふぉ」
 軽いやりとりしながら、ノアと權兵衛はそれぞれの徳利に入れておいたギャザリングヘクスを呷り、臨戦態勢に入る。
「要は広範囲で焼いてやればいい。そうすりゃ焼けた阿呆がはいずる、ってねぇ!」
 ノアの目が限界まで開かれる。同時に、その身に封じている魔力を覚醒させ、炎の嵐を巻き起こすノア。
「派手にやるのぅ。どれ、我も混ぜてみぃ」
 更に權兵衛もファイアストームを発動して、坑道内には二重の炎の嵐がうずまく。
 広範囲にわたる炎での攻撃は、グランツ教徒だけでなくクルセイダーの身も焦がす。
 すると、炎の嵐から大きな火の粉が複数飛び出してくる。
「大きな火の粉、いいや……火達磨と言ったほうが正しいかい?」
「くそっ……!」
 クルセイダーたちがカケラへと襲い掛かるが、それは不動の盾と破壊の剣である大吾とセイルや、森崎 駿真(もりさき・しゅんま)セイニー・フォーガレット(せいにー・ふぉーがれっと)が迎撃される。
 しかしその迎撃を一人だけ逃れたクルセイダーがカケラへと捨て身の攻撃を仕掛け、その魔の手がカケラに及ぼうとする直前。
「わっわっわ!」
 カケラが奉神の盾を取り出して敵の攻撃を受け止めた。
「貴様、何者……!」
「今から倒れ行く者に教えても意味もないじゃろう?」
 カケラ?の横から現れたサティナ・ウインドリィ(さてぃな・ういんどりぃ)がクルセイダーに向けて、雷を降り注がせる。
 その攻撃をモロに喰らってもまだクルセイダーは倒れない。
「ぐっ……!」
「ふむ、何やら強化スーツでも着込んでいるようじゃな」
「と、とりあえず離れてくださいですぅ!」
 魔銃杖を振り回すカケラ?。その正体は、土方 伊織(ひじかた・いおり)
 秘密裏にカケラと衣装を交換しておいたのだ。これは伊織やサティナ、校長たちや一部の契約者しか知らなかったこと。
 このまま攻めるのは危険だと判断したクルセイダーは後ろに飛び退く。
「その行動、命取りだったね」
「がぁ!?」
 その行動を予見していたルドルフが敵の回避地点へと回りこんでおき、クルセイダーを後ろから斬りつけ沈黙させる。
「見事だよ、お二人とも」
「そ、そうですかぁ? えへへぇ」
「……しかし、悠長なこともいってられんようじゃな」
 安堵も束の間、サティナの呟きと視線に気付き、ルドルフと伊織が振り返る。
 そこには大挙して押し寄せる教徒たちの群れが強引に駆け込んできていた。
「カケラが複数人いるここに必ず奴がいる! 数で押せ! 死など恐れず、進めぇ!」
 死を恐れない教徒たちが迫ってくる。
 カケラが、捕まってしまう。