校長室
終焉の絆
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イコン防衛戦 3 セラフィム級イコンが次々と姿を表して、イコン部隊へと襲い掛かる。 その火の粉を払いのけるため、【新星】ローテンブルクも奮戦できるよう、H部隊の各艦よりも前線に機動要塞を配備。 ゴットリープ・フリンガー(ごっとりーぷ・ふりんがー)及び松井 麗夢(まつい・れむ)が搭乗するユーゲント。 ハインリヒ・ヴェーゼル(はいんりひ・う゛ぇーぜる)及び鶴 陽子(つる・ようこ)が搭乗するホーエンシュタウフェン。 サオリ・ナガオ(さおり・ながお)及び藤原 時平(ふじわらの・ときひら)が搭乗するワロニエン。 三つの艦で敵に威圧感を与えつつ、自分たちが手にしている制空権を維持しようとしていた。 『こちらユーゲント、敵のセラフィム級イコンと思われる機体の接近を確認』 ゴットリープがそう言うと、ハインリヒが返答をする。 『こちらホーエンシュタウフェン、こちらでも同敵機の接近を確認。これからユーゲントと連携し攻撃を開始、同時に作戦を実行する』 ユーゲントとホーエンシュタウフェンは攻撃を行うようだ。 『こちらワロニエン、わたくしたちは各艦の防衛を行います』 『了解した。味方イコン部隊と連携しながら、追い込むぞ』 『了解だ』 『了解です』 通信が切れると同時にユーゲントとホーエンシュタウフェンが攻撃を開始する。 高初速滑腔砲やソニックブラスターを駆使して敵イコン機へ弾の嵐を見舞う。 だが敵のイコンの機動力の前に浮遊要塞での攻撃は当たらない。 そうこうしているうちに距離を詰められ、あっという間に撃墜の危機に瀕する。だが、 「オレたちの目的は敵の撃墜じゃない、あくまで味方の援護だ。それに心強いバックアップもいるしね」 ハインリヒは慌てることはなかった。 それは共に乗艦している陽子のダメージコントロールを信じているからであり、 後ろに控えているサオリを信頼しているからだった。 「敵接近を確認! 各艦の直掩機と連携しこれを退けます! 撃墜までは望みません!」 サオリが敵の接近を受け、各艦の防衛にあたる。 「対空射撃を行う箇所をまとめたのでな、情報をまわすぞえ」 時平がまとめたデータが各イコンへと転送される。これで同士討ちを防止するのだ。 またワロニエンは換装しているあらゆる射撃兵装を切り替え使い分けて濃度の高い弾幕を形成する。 弾幕が薄くなってしまう箇所については各艦の直掩機や味方イコンの支援を受けて、敵を寄せ付けない。 「敵の後退を確認、誘い込むぞ」 後退を余儀なくされた敵イコン。それを見たゴットリープが即座にユーゲントによる攻撃を再開する。それに合わせてホーエンシュタウフェンも弾幕を張る。 先ほど同様攻撃は当たらない。しかし、徐々に徐々に作戦は成功へと近づいている。 「……そこだ」 ユーゲントとホーエンシュタウフェンが要塞砲を放つ、が敵イコンには当たらない。焦ったのか。 そうではない。繰り返すが彼等の攻撃は敵機撃墜のためのものではない。 「……出るぞっ!」 「了解だぜ!」 様子を窺っていたギュンター・ビュッヘル(ぎゅんたー・びゅっへる)とサミュエル・ユンク(さみゅえる・ゆんく)が動きす。 二人が操るニーベルンゲンが敵イコンへと向かう。 まるで、その地点に敵イコンがやってくると予測していたかのような動きで。 それもそのはず。ギュンターたちはゴットリープたちと予めやりとりをし、 どのタイミングでどの箇所に砲撃をするのかを詳細に決め、そこから割り出される予測回避位置を見極めていたのだ。 予想だにしない急襲に敵イコンの反応が大幅に遅れる。 「セラフィム級なら、容赦しない!」 覚醒を果たし、新式ビームサーベルでセラフィム機を横一閃する。 胴体部を真っ二つに斬り裂いた後、左右にいたイコンも続けざまに斬り倒す。敵はなす術無く爆散した。 ほぼ同時に相沢 洋(あいざわ・ひろし)と相沢 洋孝(あいざわ・ひろたか)が駆るストーク拠点強襲攻撃改修型も敵イコンをターゲットとして捕捉。 「もうすぐ割り出した回避地点にくるよー! 武装については全部セーフティー解除済み!」 「セラフィム機もいる。ここはビッグバンブラストを使うぞ」 禁忌兵器の設計図を基に造られた戦術ミサイルの発射を決断する洋。 それを聞いた洋孝が最終座標の修正を行う。 「座標もオッケー! 敵さん、くるよ!」 「3、2、1……撃てぇー!」 洋の掛け声と共にビッグバンブラストが射出される。 ドーン! 予測はドンピシャ。ビッグバンブラストはセラフィム機を巻き込み、爆裂する。 控えていた僚機の援護射撃の必要もなく、敵イコンたちは地面へと落ちていった。 中にはバラバラになって空中を舞う敵イコンの残骸もあった。 「ふむ、さすがというべきか、やはりというべきか。ともかく第三世代機の性能は上々」 「ニーベルンゲンから連絡がきてるよ〜」 『こちらニーベルンゲン、敵イコンの増援を確認した。どうする?』 『ローテンブルク隊はこのまま後退、一旦味方部隊に防衛と攻撃を任せ補給と修理を行う』 『了解した。防衛網内に戻るとするぜ』 ニーベルンゲンからの通信が終わった後、洋たちも後退した。