校長室
終焉の絆
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イコン防衛戦 4 「味方部隊が後退してくるわ。手厚く支援してあげないとね」 「そうですねぇ。あの人たちの後退を手助けしつつ、補給に精を出すとしましょうか」 黒い塗装が印象的なガーディアンヴァルキリー内にいるリネン・エルフト(りねん・えるふと)と艦長であるミュート・エルゥ(みゅーと・えるぅ)が各艦の手助けに入る。 「ふんふーん」 「……上機嫌ね?」 「そりゃそうです。極上の大仕事……それも最高の危機ですよぉ? こんな窮地、疼いちゃいますよぉ」 「その気持ちはよくわからないけれど、まあ空賊団として国に借りを作れるのは悪くはないわね。 ……何より、追われる力なき人を放ってはおけないしね」 最高の危機に高揚するミュートに少女を放っておけないリネン。 艦の防衛には傭兵団と数機からなるイコン部隊を展開させ、自衛力を強化。 疲弊した味方イコンへの補給を全力で行いつつ、戦線を維持し続けていく。 敵イコン部隊の接近、その中にセラフィム級イコンが多数出現。 それを見た桐ヶ谷 煉(きりがや・れん)とエヴァ・ヴォルテール(えう゛ぁ・う゛ぉるてーる)が戦場へと出る。 「来たか……一部の奴の戦い方は把握したが百聞は一見にしかず」 「おう! ちゃちゃっと接敵してやろうぜ!」 「ああ。行かせてもらうとしようっ」 神武刀・布都御霊を携えたセラフィート・セカンドが発進、その狙いはセラフィム級のイコンのみ。他のイコンには目もくれない。 その動きを捉えた敵イコンも合わせるように進撃。二機のセラフィム機が風を裂いて近づいていく。 間合いに入る。先に攻撃するのはセラフィム機。近接専用の武器を使い、セラフィート・セカンドを真っ二つにする勢いで振りかざす。 「甘いな」 しかし煉の卓越したイコン操縦技術の前にその攻撃は成功することはなく、逆にレーザーマシンガンでの反撃を受けるセラフィム機。 すると、セラフィムではない別の敵イコンが煉を囲むようにして接近。数で押し切る算段だ。 「残念ながら、下がって頂きますよ、と」 「その通りですわ」 セラフィート・セカンドの後方から近づく敵イコンの左腕部が吹き飛ぶ。 その光景はまるで、黒きドラゴンがイコンの左腕を食いちぎったように見えた。 それはE.L.A.E.N.A.I.、非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)とユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)の支援によるものだった。 セラフィート・セカンドを倒すことだけに集中していた敵イコンは、一機、また一機と撃墜されていく。 「ボクたちはこのままあの方を支援していきますよ」 近遠の指示にユーリカたちが頷き、通信・火気管制・出力調整を入念に行っていく。 『すまん、助かる』 支援した相手である煉から通信が入る。 『わたしたちはこのまま周りのイコンを相手取りますわ。存分に暴れなさってくださいまし』 『よろしく頼む』 煉からの通信が切れると、近遠たちは宣言どおりセラフィム以外のイコン機の相手への牽制を行い、煉をサポートする。 「……操縦はそこそこ、機体も申し分ない。把握した」 「出力調整は任せときな。いけるか?」 「無論だ」 ヴィサルガ・プラナヴァハを発動し、覚醒以上の能力を身に着けた煉がセラフィート・セカンドで空を飛ぶ。 早く、速く、疾く。 瞬く間にセラフィムイコンの背後へと回り込むと、超高出力ビームサーベル、デュランダルを胴体部へと深々と突き立てる。 その後方から複数のセラフィムイコンが接近してくる。 が、それをブレードピットで足止め、更にE.L.A.E.N.A.I.の支援も手伝い数秒一定地点に留めることに成功。 「出力全開! 十分間に合う!」 「これが俺たちとお前たちの違い……未来を切り開くための、限界を超える力だ!」 煉が、セラフィート・セカンドが全速力で敵に向かいつつ神武刀・布都御霊を抜き放つ。 大空さえ斬ってしまうかのように思えた、凄まじい一撃。 その一太刀を受けた複数のセラフィム機は綺麗に両断され、地面へと落ちて爆発した。 『お見事です』 『そちらも、素晴らしい支援だ。感謝する』 近遠と煉はこれだけに止まらず押し寄せてくる次なる敵へと向っていった。