空京

校長室

【蒼空のフロンティア最終回】創空の絆

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【蒼空のフロンティア最終回】創空の絆
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この大地とともに 5

『ロノウェさん、これから私達は世界を救う為に創造主を説得しにいきます。優が望んだ未来の為に、ロノウェさんと共に歩んでいく未来の為に。
 ですからロノウェさんも祈りを捧げてください。共に未来を切り開く為に』


 ザナドゥに設置された儀式場、そしてそこを狙う怪物の群れに雷撃を落としながら、魔神 ロノウェ(まじん・ろのうぇ)はここに来る前に神崎 零(かんざき・れい)から届けられたメッセージを思い返していた。
(地上のことなんて、と数年前の私なら思っていたでしょうね。……でも、今は違う。地上に多くの魔族が出ていき、そして私も神崎 優(かんざき・ゆう)や零、友人と呼べる者たちと知り合えた。
 創造主が何を考えてこんな真似をしたのか分からないけれど、勝手に地上を壊させるわけにはいかないわ)
 今また、ロノウェの落とした雷撃に貫かれた怪物が姿を消す。しかし数は多く、とてもロノウェ一人では捌き切れない。
(流石に一人は、キツイわね。弱音を言ってられる状況ではないけど――)

 ――突然、向かってきていた怪物が悲鳴をあげ、倒れ伏した。
 怪物の背後から高月 玄秀(たかつき・げんしゅう)ティアン・メイ(てぃあん・めい)が姿を見せる――。


 この少し前、玄秀とティアンはロンウェルに滞在しており、地上の異変もロンウェルで知った。
「ねえ、シュウ! こんな時にこんな所で時間を潰してていいの!?」
 ティアンの強い口調にも、玄秀は効いた素振りも見せずに「世界の滅びか……いっそ滅んでしまえばせいせいするな、こんな世界……」などと呟いていた。
「シュウ、あなた――」
 殴りかからんばかりに迫ったティアンは、しかし直後、玄秀が口ではあのような事を言いながら自分に向けた目に力が篭っているのに気が付いた。
「……だが、この世界にはティアの家族が居る」
「え? シュウ、今なんて――」
 ティアンには聞き取れなかった声が響いた後、玄秀が立ち上がる。そこでティアンは玄秀が、既に出発する準備を整えていた事を知った。
「……行くぞ。どうした、ティア? 世界を滅びから救う手伝いをするんだろう?」
「あ、う、うん。行きましょ、シュウ」
 態度の豹変ぶりに、ティアンは終わりまでその理由に行き当たらぬまま、歩き出す玄秀の後に付いて行った――。


 怪物を退けた玄秀は、意外そうな顔をしているロノウェへ歩み寄ると、一礼して言葉を紡いだ。
「お会いするのも久し振りですが、この日ここに居合わせたのもご縁というもの。力をお貸ししましょう」
「……ありがとう。意外ね、あなたはこういう場に出てくるような人ではないと思っていたわ」
 ロノウェのストレートな言葉に、玄秀がフッ、と笑った。確かに自分一人なら、わざわざこんな所に出てこなかっただろう。
「……僕にとって世界などどうでもいい事ですが、守りたい人が一人居る。それだけです」
 それだけを言うと、もう一度頭を下げた玄秀は怪物と相対するのだろう、背を向け駆け出していった。ティアンがその背中を追って、ロノウェに形ばかりの礼をして駆け去っていく。
「…………」
 2人を無言で見送りながら、ともかくこれで一人で戦うことは無くなったと安堵の息を吐き、ロノウェも怪物の撃退へ向かった。


 戦場を駆ける、4つの影。その姿はあまりの速さに、怪物はおろか契約者ですら捉えることが出来なかった。

「あた〜〜っく!!」
 間延びしたサクラ――魔神 ナベリウス(まじん・なべりうす)の一人――の声とは裏腹に鋭い一撃が、怪物の喉笛を裂く。既に致命とも言える傷を負った怪物に、次のモモナナの攻撃を受けるだけの余力は残されていなかった。
「ナナちゃんとモモちゃん、サクラちゃんが頼りになりすぎて、ボクの出番がないよー」
 一番遅れてやって来た西表 アリカ(いりおもて・ありか)が苦笑を浮かべて答えた。アリカも十分なスピードを発揮していたが、ナナとモモ、サクラは武器や術の補助なしにアリカを上回るスピードを発揮していた。
「じゃあ、つぎはアリカのばんっ!」
 サクラの言葉にモモとナナもうんうん、と頷く。先程からナベリウスたちはファーストアタッカーを順に入れ替え攻撃をしていた。そして今、その役割をアリカに譲ると言ったのだ。
「よ、よーし! ナナちゃんとモモちゃん、サクラちゃんの期待に応えないとね!」
 決意を表し、アリカが駆け出す。しっかりとナベリウスたちが後に続き、そして向かって来た怪物を視界に収めた。
「受けてみろぉ!」
 怪物が迎撃態勢を整える前に、アリカはすれ違いざま両手に握った短刀で切りつけ、同時に生じた雷が怪物の身体を麻痺させた。
「「「とりぷる、あた〜〜っく!!」」」
 そしてナナ、モモ、サクラの同時攻撃が怪物にトドメを刺し、怪物は塵となって消えていった。

「怪物め、ここから先へは行かせないからな!」
 盾を構えた 無限 大吾(むげん・だいご)がどっしりとした姿勢で、怪物の前進を妨げる位置に立つ。一方怪物は数の力で――大吾の前には十を超える怪物が立ちはだかっていた――プレッシャーをかけてきた。
(数が多いな……俺一人なら守ることすら難しかっただろう。……だが!)
 必ず切り抜けられる、確固たる思いを胸に大吾は一体目の怪物の攻撃を受け止める。怪物が二撃目を繰り出す前に、頭部から胸にかけて魔法の矢が撃ち込まれ、動きを止めさせた。

「ナベたんズが頑張ってるんだ、ボクもやらせてもらうよ」
 矢を放った当人、魔神 アムドゥスキアス(まじん・あむどぅすきあす)が次に大吾を襲おうとする怪物に狙いを定め、クロスボウの弦を引く。飛び荒ぶ矢は無数の矢に分かれ怪物の急所を穿ち、活動を停止させた。

(アムも手伝ってくれている、この防衛ライン、そう簡単に抜けられると思うな!
 俺が……俺達が、絶対に守り抜いてみせる!)
 鋼の意志でもって大吾は、この場を一歩も引かない闘志を露わにした――。