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リアクション
ボウリング会場の喧騒:page02
レギオン・ヴァルザード(れぎおん・う゛ぁるざーど)はカノン・エルフィリア(かのん・えるふぃりあ)を心配していた。カノンは人付き合いに強い不安を持っており、その不安をつっけんどんさで隠そうとするので、誤解されやすいのだ。
「上手くやれるかな……」
カノンがボソッと呟く。
「……少しは肩の力を抜け。」
レギオンが言葉少なに言う。突き放したような言い方だが、その瞳には暖かな光がある。
「……分かってるわよ」
ボウリング場の入り口に向き直ろうとして神代 羽夜乃(かみしろ・はやの)に衝突しそうになる。カノンはしまったと思い、反射的に思わず悪態をつきかけて飲み込んだ。
「あ……」
羽夜乃が緊張のあまりこわばった表情で口をパクパクさせるが言葉が出てこない。
「あ……あ」
ユミ・セラフィム(ゆみ・せらふぃむ)がすぐに言った。
「羽夜乃は人見知りなものですから……すみません」
「……同じだ」
カノンが言って、顔を赤らめた。レギオンがあとを引き取る。
「カノンも人見知りでね。すぐ乱暴な物言いをしてしまう。スマン」
セラフィムが優しく言った。
「そうでしたの……お二人とも大丈夫ですよ。いつもどおりに接すればいいのでございますよ」
岬 蓮(みさき・れん)がそこへ声をかけてきた。アイン・ディアフレッド(あいん・でぃあふれっど)がその背後に物静かに佇んでいる。
「新入生さんだね? どうしたの? そんなところで?」
顔を赤らめながらも、羽夜乃は言った。
「あ、いえあの……葦原明倫館から参りました、神代羽夜乃と申します。以後お見知りおきを」
蓮が明るく応える。
「初めまして! 私は蒼空学園の岬蓮だよ! 好物はカレーうどんだよ!」
アインが静かに笑みを浮かべて言った。
「自分はアイン・ディアフレッド。好きに呼んでくれ」
「レギオン・ヴァルザードだ、よろしく」
「あ……あたしは、カノン・エルフィリア。よろしく……な」
羽夜乃が言った。
「同じ新入生同士これからよろしくお願い致します。
いろいろとお話を聞かせていただけると嬉しいです」
アインが言う。
「……地球の事はよく知らないんだ。よければ色々教えてくれな」
「よろしくね、新入生さん! お互いパラミタを楽しもうね。
アインは見た目より面白い人だから、仲良しくしてね」
蓮がニコニコする。ヴィサニシア・アルバイン(びさにしあ・あるばいん)とマリッジ・オースロン(まりっじ・おーすろん)もそこへやってきた。アルバインが言う。
「どうかしたの?」
セラフィムがすぐに、皆を促す。
「あ、通路では邪魔ですわね、参りましょう」
マリッジが言う。
「わたくしたち、一緒にボウリングをする人がいないかなって、来てみたのですけど」
「良かったら一緒に良いですか?」
あとを引き取ってアルバインが言った。
「ああ」
そっけなくレギオンが言い、カノンがうなずく。アインが言った。
「こちらのお嬢さんお二人は人見知りなのだそうや
あ、そや、蓮とは、その……恋人ちゃうからな?」
「そうですかぁ。あたいはヴィサニシア・アルバインって言います。一緒に遊んでね」
「わたくしはマリッジ・オースロン。よろしくね」
セラフィムが言った。
「人との出会いはそれだけで価値がありますもの。この出会いを大切にしたいものですね」
マリッジがニコニコといった。
「成績は関係なしに、みんなで楽しもうね〜」
カノンがうなずいて、ボソッと言った。
「ああ……楽しもう、な」
レギオンがそんなカノンに暖かいまなざしを向けた。
8人は連れ立って、レーンへと向かったのだった。