First Previous |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
Next Last
リアクション
歓迎会場立食パーティ:page09
シェス・リグレッタ(しぇす・りぐれった)は御魂 紗姫(みたま・さき)に向かって力説していた。
「いいことサキちゃん? トモミンなどにお色気担当は渡さないんだからねっ!」
「ちょ、シェス!バニーガールなんて聞いてないわよ!?
〜〜〜ッ! ……あとで覚えてなさいよ!!」
日下部 社(くさかべ・やしろ)がそこへ通りかかった。
「俺は『846プロダクション』っちゅうとこでプロデューサーしとるもんなんやけど。
キミ達アイドルに興味あらへん?」
「きょ、教導団に配属になりました、御魂紗姫です。
この格好は、その……相方にムリに着せれたもので、決して、私の趣味とかでは…!」
「にひ、同じく教導団のシェス・リグレッタですよん。よろしくぅ〜
見ての通り、ウサギの獣人ですねぃ」
日下部のパートナー、望月 寺美(もちづき・てらみ)がふむふむとうなずく。
「お、いい感じですね〜」
セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)がそこにやってきた。
「あらぁ、面白そうねぇ」
セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は嫌な予感がした。
(珍しく国軍の制服なんか着て……でも絶対ウラがあるとは思ったんだけど)
セレンフィリティがにいっと笑った。
「今日は歓迎会なんだから無礼講よねっ!」
そしておもむろに制服をぱぁっと脱ぎ捨てた。露出度の高いビキニ姿に、周囲の男性の目が釘付けになる。声にならないどよめきが走った。調子に乗って、踊ったり、男子学生のところへ行き、サービスと称して頬をつんつんしたりするセレンフィリティ。
(……やっぱり。恥ずかしいたらありゃしない)
セレアナは嘆息した。
シェスがそれをみて俄然対抗意識を燃やしだした。
「ほらほらサキちん、折角お色気系なんだし!! がんばらないとっ!
……ほれほれ、胸とか寄せて上げてサービスサービス」
「シェス! いい加減に……ひゃう!? や、やめてよっ!」
「おおおー」
周囲からどよめきが上がる。
「よかったら連絡してや」
それを見て日下部はさっと名刺を差し出した。
朱野 芹香(あけの・せりか)が日下部に声をかける。
「あの、よかったら芹香のデモも見てもらえませんか?」
「ええで〜。何かやってみてくれ?」
言われて芹香は、小型の音楽プレイヤーからセレクトした曲を流し、それにあわせて華麗なジャンプスタイルのダンスを披露した。
「うわあ、すごいです! かっこいい!」
「そこのキミ! 合格や! ウチに来てや〜!」
寺美が歓声を上げた。紗姫とシェスもそれに見とれている。
逢坂 楓(おうさか・かえで)のパートナー、エリオット・クーガー(えりおっと・くーがー)がその一角に気づいた。
(こ、これはデビューのチャーンス!!)
急いで日下部に声をかける。
「あの、あたしのパートナーも参加させていただいても?」
「ああ、もちろん!」
急ぎ楓の元に戻ると、
「ね、ね、かえちゃん。今そこで何人か新入生歓迎のパフォーマンスしてるんだって。
かえちゃんにも参加して欲しいんだって」
「そ、そうなの? でもボクも新入生だよ?」
「だからいいんじゃない〜!」
何がいいのかわからないまま、気づくと楓は日下部の前に立たされていた。
「ほんじゃま、よろしゅう」
「えと…天御柱学院、新入生。逢坂 楓……男です……
みんな、仲良くしてくださいね。歌は『小さな翼』宜しくお願いします」
「キャー!かえちゃんかわいぃー!!
エリちゃんも一緒に歌いたいなー」
「……男の子……なんだ」
寺美がつぶやく。それを見ていた弓槻 美津留(ゆづき・みつる)がパートナーの東雲 遼太(しののめ・りょうた)に言う。
「あの子なかなか良さそうな感じだよ」
「女の子だろ?」
「どう見ても女の子だけど、男って言ってた」
「ほう」
東雲が、歌い終わった楓にすっと近寄った。
「今は大人数アイドルと言えば女性ばかりだが、大人数男性アイドルの時代が来ると思う。
キミは磨けば光る! 教育は惜しまないよ。将来性もあると思うんだが、どうだ?」
「あ……の……え?」
そこへ日下部が割って入る。
「ちょっと待ちや。あんさんもスカウトか?
悪いが良い子がいたらウチが貰うで〜!」
「そういうのを決めるのは、本人だと思うのよ」
弓槻が言った。
芹香のパートナー、鼎・ホワイト(かなえ・ほわいと)はことの成り行きに目を白黒していた。
「パラミタ新入生の歓迎会だと思ってたんだけど、ここってアイドル養成学校だったの?」
それを聞いた寺美が我に帰って叫ぶ。
「そ……そうですよ! 社長ぉ〜。ここで自分の事務所にスカウトする行為はルール違反ですぅ〜!
ほらほら、新入生の皆さんも戸惑ってるじゃないですかぁ〜!行きましょう!」
「えー、そんなカタイこと言わんでも、なぁ〜」
東雲は抜け目なく楓に名刺を渡し、次なる有望そうな人材を探しに彷徨っていった。
First Previous |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
Next Last