空京

校長室

浪の下の宝剣

リアクション公開中!

浪の下の宝剣

リアクション


海京神社の地下を探索する:page05


 さあ探索開始だ。と、威勢良く地下迷宮を突き進んでいたダリオ・ギボンズ(だりお・ぎぼんず)は、窮地に陥っていた。
「ったく……学園から海京地下の探索を依頼されて来てみたのは良いけどよ……さすがに、敵が多すぎるんじゃねぇのか?」
 右も左も敵だらけ、巨大ネズミや吸血コウモリ、その他雑多な危険生物にダリオは包囲されていた。
 その上、パートナーであるエルティ・オリ(えるてぃ・おり)は――
『なに、臆することはない! この闇の書がついているのだからな。ポシェットに私を入れておいてさえくれれば後は怖い物無しさ! ハハハ!』
 と、豪語していた割には……完全に寝たフリをきめこんでいた。
「神社だの宝剣だの海鎮の儀だの……そんで、おまけにモンスターたちか。妙に胡散臭い話だぜ」
 モンスターたちが、じわじわと迫ってくる。
「ここは逃げるべきか、それとも……」
 ダリオの額を汗が流れた。
 ――と、その時。
「逃げる必要はない」
 と力強い声が響いた。
「自分達が来たからには、もう大丈夫だ!」
「ハルナ。敵は、私が接近戦で足止めするから、援護射撃をお願い!」
 救援に駆けつけたのは、新人である霧島 ハルナ(きりしま・はるな)赤城 ユラ(あかぎ・ゆら)だった。
「火力は正義、射程は神なのだよ!」
 ハルナは、この探検で自分の実力を試してみたかったのだ。
 ユラが接近戦で巨大ネズミの動きを止めた瞬間、ピンポイント射撃でそれらを仕留めていった。
 ――そして、ハルナたちだけが救援に駆けつけたわけではなかった。
「孤鳥、蹴散らしなさい」
「わかりました」
 國峪 柚騎(こくよく・ゆずき)の命令で、パートナーの佐々鎖 孤鳥(さささ・ことり)がモンスターたちに肉迫していく。
 その間、柚騎はというと――
「何? もしかして、怪我したの? しょうがないから……魔法で治してあげるわ」
 自分が痛いのは嫌なの。という理由で戦闘には参加しなかったが、傷ついた生徒たちをしっかりと治療していく。
 もちろん、そうすることで孤鳥の援護にもなるのだった。一見すれば、主従関係にも見える二人だったが、それとはまた違った絆があるようだ。
 ――パートナーとの関係というのなら、レイ・アルベル(れい・あるべる)ルビアナ・ゼルファー(るびあな・ぜるふぁー)の関係も面白いところだ。
「本当だったら、新入生歓迎会に行くつもりだったのに……」
「歓迎会で先輩にたかるより良いじゃない。それに、一度やると決めたらやるしかないじゃない♪」
 レイは新入生歓迎パーティに行くつもりだったのだが、ルビアナに拉致されて地下迷宮を進むはめになったのだった。
「まったく……こんなことなら、歓迎パーティーの方が断然ましだよ」
「うん? 何か言った? 特攻がしたいなら、全然構わないわよ? よし♪ 行け!」
 人助けには消極的なレイだったが、ルビアナに言われればどんな無茶でも渋々了承しなければならない。
 しかし、不承不承戦っているように見えて、レイは目覚ましい活躍を見せたのだった。
「お前ら……ありがとうな」
 集まった、大勢のフレッシュな顔ぶれたちに向け、照れくさそうに礼を述べるダリオン。
 そして――彼らは共闘して、このピンチを乗り越えるのだった。