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リアクション
ケイティ・プロトワン
シャンバラ大荒野。街道沿いのオアシスの市場は、人々でごった返していた。
誘拐された(?)教導団技術科兵士ケイティ・プロトワンはお嬢様ゆる族キャンティ・シャノワール(きゃんてぃ・しゃのわーる)と並んで、市場の通りを歩いていた。
「これは、迷子の子猫ちゃん……と言った所でございますかね」
彼女達の後ろを歩く聖・レッドヘリング(ひじり・れっどへりんぐ)が、ほほえましそうに二人を見る。これは社会見学といったところか。
キャンティの頭には自前の猫耳、そしてケイティの頭にも、かわいらしい猫耳が装着されていた。表情豊かなキャンティに比べ、ケイティは無表情無感動な様子だ。
変装のため、ケイティは市場で購入した、キャンティほど派手ではないが、可愛らしいワンピースを着ている。
髪もボブの長さなので、聖はふんわり緩めウェービーにセットし、両サイドに小さな三つ編みとリボンをあしらっていた。
またケイティは、革紐に獣の黒い牙を結びつけたアクセサリーは大事に服の中にしまってさげ、外側にはキャンティちゃんマスコットをかけていた。
これより、少し前。
「うぅ〜ん……キャンティの妹分としては、ちょっぴりアクセサリーが淋しいですわ〜」
キャンティはケイティの頭を見て、首をかしげていた。
ケイティは薄茶色の髪をボブカットにしている。これだけではキャンティ的に、何かが足りない。
キャンティは旅の途中で食料にするため狩った獣の皮の中から、ケイティの髪色に合いそうな皮を選ぶ。それで猫耳を作り、クシに付けて頭へ装着できるように細工した。
そしてケイティに猫耳を装着させると、さっそく町に繰り出したのだ。
聖は追手が非道な手段を使わないよう、あえて人の多い場所を選んで移動しており、この日も市場は賑わっていた。
キャンティがケイティの猫耳を見上げ、満足げだ。
「意外とお似合いですわよ〜。やっぱりオンナは猫耳ですぅ☆
猫耳さえあれば、殿方もメロメロですし、玉の輿にも乗り放題ですわ〜」
「タマのコシ……オンナはネコミミ……」
ケイティは妙な言葉を覚えこんだ。
キャンティ達が宿に戻ると、そこには教導団員が待ち構えていた。
第一師団憲兵科大尉灰 玄豺(フゥイ・シュエンチャイ)と、彼に同行した朝霧 垂(あさぎり・しづり)とライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)だ。
いかめしい顔の玄豺を見て、ケイティが背後からキャンティをぎゅむーと押さえこんだ。
「なにするんですのーっ!」
じたばたじたばた。キャンティはもがくが、どうやらケイティなりに彼女を守ろうとしているようだ。
玄豺は何も持っていない両手を見せる。
「そう緊張するな。そちらが妙な気を出さなければ、我々もシャンバラ大荒野で無駄な騒ぎを起こす気は無い」
憲兵大尉の言葉に、ケイティは腕の力を抜く。キャンティはようやくハグから抜け出した。
「んもう! 髪型が乱れてしまいましたわ! 野蛮ですわね」
キャンティに怒られ、ケイティは心なしか、うつむいた。
玄豺が言う。
「技術化兵士ケイティ・プロトワン、早急に帰還して訓練に復帰せねば、レゾネイターの任も危ういぞ」
「レゾネイターは、私」
「おや? イェルナ教授の話では、別に候補がいるような話だったがな」
「……!」
ケイティの目がつりあがる。
「認めない」
「なら教導団に戻るべきだろう? このままでは別の者がレゾネイタターの任につくだろうな」
「なら戻る。私が、レゾネイター」
ケイティは教導団に戻る気になったようだ。
彼女と話はしたいが、捕まえたくはないと思っていた朝霧垂(あさぎり・しづり)は困惑する。
玄豺はあらかじめケイティの性格を下調べして、彼女が教導団に自発的に戻りたいと思う説得法を考えてきたようだ。
聖が興味を引かれて聞く。
「先程から出ているレゾネイターとは、何かの職業でしょうか?」
「貴様に、その情報に触れる権限は無い」
玄豺はにべも無い。
それでも垂は、気になっていた事をケイティに聞いた。
以前、関羽やケイティがドージェと戦った際、垂もすぐ近くにいたのだ。それ以来、気になっていた事だ。
「なぜドージェを狙ったんだ?」
「ドージェを倒すのが、命令」
その戦いの前にケイティは、こう言っていた。
「行くよ、魔槍グングニル・ガーティ。ママのために……敵を殺す!」
垂はその事を挙げ、聞いた。
「あれはどういう意味なんだ?」
「敵を殺せば、ママが喜ぶ。教導団も喜ぶ」
なお教導団には、命令に従ってドージェと戦った者も、親に仕送りをしたり満足させる為に戦果をあげようとする者も大勢いる。
ケイティは玄豺達につれられて、ヒラニプラに戻る事になった。
不思議な事に玄豺は、聖とキャンティを「ケイティの安定用サポート要員」として同行を認めた。誘拐犯として投獄する気は、今のところ無いようだ。
ライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)がケイティが首からさげたご当地キャンティちゃん・パラミタトウモロコシ着ぐるみVer試作品に目を止める。
「かわいい! 頭なでなでしてもいい?」
ケイティはうなずいた。ライゼは喜び、マスコット人形の頭をなでる。
「キャンティがかわいいのは当然の事ですわ」
キャンティは自分が褒められたものと解釈し、自慢げだ。
「お嬢様方もぜひ猫耳をどうぞ」
聖が手作りの猫耳を持ってきて、垂とライゼにも配る。
ライゼは大喜びで猫耳をつける。
「俺は自前でも耳が出るんだけどな……」
垂はそう言いつつも、勧められたので猫耳を装着する。猫耳祭り状態だ。
ヒラニプラへの道のりは、案外と華やかなものになった。
ヒラニプラの教導団本校にケイティが戻る。
第一師団技術科少佐カリーナ・イェルネ教授は冷ややかに彼女を見た。
「あなたには訓練を積みなおし、命令を遵守できるようになってもらいます。
今後、重要な作戦にも加わらないといけないのだから」
ケイティの冬休みは終わった。