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創世の絆 第二回

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創世の絆 第二回

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ミッション2 スポーンを迎撃せよ! その2

「少数とはいえ、飛行型のスポーンもいる。僕は『新星』の一員として空からの攻撃から学校を守る!」
ゴットリープ・フリンガー(ごっとりーぷ・ふりんがー)が叫んだ。パートナーのヴァルキリー天津 幻舟(あまつ・げんしゅう)も呼応した。
「私もご一緒させていただきますぞ」
「ありがとう。頼みます」
ゴットリープは幻舟にうなずきかけ、配下の兵士たちに話しかけた。
「僕たちももちろん殲滅を目的に攻撃を行います。
 ですが、それだけでは攻撃力の不足は否めないでしょう。
 隙のできた飛行型のスポーンに対して、対空砲火でけん制や攻撃を行ってください」
「はっ!」
兵士たち全員が背筋を伸ばし、敬礼をした。そばで小型飛行艇の準備をしていた天城 一輝(あまぎ・いっき)が話しかけた。
「オレ達もフォローさせてくれ。
 俺は操縦が得意だからみんなより高く上がって上空から偵察を担当するよ。
 もちろんなにか指示があれば従う」
天城のパートナー、ユリウス プッロ(ゆりうす・ぷっろ)も畳み掛ける。
「地上からでないと空中の敵の様子が見づらい部分もあろう。
 我がそちらの地上部隊の方々と一緒にいれば、逐一戦況をお伝えできますぞ。
 一輝とは何度も連携していますからな」
ゴッドリープは微笑んだ。
「一人でも協力者は多い方が良いですね。
 ありがたくお受けしますよ」
「おう、よろしくな」
セルマ・アリス(せるま・ありす)ミリィ・アメアラ(みりぃ・あめあら)と、遠慮がちに声をかけてきた。
「俺にはレッサーフォトンドラゴンがいる。
 ミリィも小型飛空挺ヘリファルテがあるから、空を移動してくる個体を迎撃できる。
 協力させてくれないか?」
「もちろんですよ、一人でも多い方がいい」
ゴットリープがうなずく。一輝も歯を見せて笑った。
「よろしくなっ!」
ゴットリープは「空飛ぶ箒シュヴァルベ」に搭乗しナビゲーターを作動、舞い上がった。幻舟も翼を広げ、その後を追う。飛行してきたスポーンの5体がこちらに向かって飛んでくる。翼はコウモリのようなもの、昆虫のようなものと様々だ。ゴットリープはトリッキーな飛行で一体を幻惑し、タービュランスを放った。飛行能力を奪われたスポーンはきりきり舞いをしながら頭から落下し、激しく大地に激突した。首があらぬほうへ捻じ曲がり、ついでその姿は溶け崩れた。
「幻舟さん、4時の方角に10体くらいまとまってる!」
一輝の呼びかけに幻舟はふわりとその方向へ移動した。
「さてさて、こちらじゃよ」
幻舟がとぼけた声とは裏腹に、食いつこうとしたスポーンの攻撃を華麗に避ける。攻撃をあえてせず、ひょいひょいと逃げ回る。十体ほどのスポーンが与しやすいかと見て追ってくる。
「ほい、頃合じゃな」
すっと高度を下げると、釣られてスポーン達もいっせいに高度を下げた。
「撃てーっ!!」
ゴットリープの兵士たちが、対空兵器を一気に打ち込み、幻舟を追ってきていたスポーンたちは蜂の巣となり、一塊の黒煙と化した後消えうせた。
一輝のHCに、ユリウスからの通信が入る。
「一輝! 油断するな! スポーン3体が急速に接近中!」
「ほいよ!」
アルバトロスが名の通り、鳥のごとく優美なカーブを描いて確認し、セルマに伝える。
「セルマさん、8時の方からスポーン3体が接近中だ!」
「了解!
 ラクシュミさんの学校……まだ完成すらしてないのに、こんな早々に壊されてたまるか!!」
セルマは叫んで、3体のスポーンに向かい、舞い降りる死の翼を見舞った。1体が激しく地上に激突し、霧散した。もう2体はかろうじて致命傷を避けたが、地上戦の砲火に巻き込まれてあっという間に黒い霧に変わった。
すぐそばにいたミリィが、反対方向に対空砲を構えた兵士の方へ3体のスポーンが向かうのに気づき、陽動射撃を行った。気づいた地上部隊が、一斉にミリィの方に向き直ったスポーンを蜂の巣にした。セルマがミリィの上方から叫ぶ。
「ミリィ! 十分気をつけろ。決着がつくまで絶対に落とされんな!」
「お互いにね! 皆でカバーしあうように動きましょう!
 一人になってしまうと、撃墜される危険性が上るから!」
飛行部隊と対空部隊の連携で、空中のスポーンたちは目に見えて数が減っていった。

 戦えるものは迎撃準備に、という話を聞いたゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)
「がはは、腹が減ったらニルヴァーナ校とやらでアンパンとお弁当をもらったぜ!
 なに、お弁当をねらってスポーンとかいう雑魚がくるだってーっ!?
 がはは、俺様ーにまかせるがいい!」
なにか情報が大きく食い違っている気もするが、閑話休題。
防衛側最前線、スポーンの群れの前に、ショッキングピンクのモヒカンを振りたて、ゲブーが踊り出てきた。パートナーでゲブーをピンクモヒカン兄貴と慕う{SFL0039683#バーバーモヒカン シャンバラ大荒野店}も背後に控えている。
「俺様参上! 登場! 推参! 降臨! ヒュー、俺様カッコイイっ!」
自画自賛するゲブーに、バーバーモヒカンが素直に賞賛する。
「ピンクモヒカン兄貴!! メッチャかっこいいっす!
 戦い……。バーバーモヒカンはモヒカン刈りしか出来ないから隠れてるっ!
 ……スポーン髪の毛ないから必殺技のモヒカン刈りも出来ないしなぁ〜。
 バーバーモヒカンの分も思う存分暴れちゃってくださいっ!」
「おうっ!!! スポーンと叩いて叩いて叩いて壊すっ!」
ゲブーは調子よく叫びながらスポーンを七曜拳、黒縄地獄を駆使して言葉通り叩いてゆく。その横でリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)も叫ぶ。
「新設されるニルヴァーナ校を壊されてたまるものですか!
 ……これを……この技を使うときが来たわ。ふふふ」
 武器がなくとも、いやないからこそ発揮されるイコンにも相対できる力!
 そのすべてを使い盾で鉄拳制裁していきましょう!」
それを覗き込む広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)
「お姉ちゃん、盾が何か言ってるよ?」
リカインが構える盾には、頑丈そうな石製の魔導書、禁書写本 河馬吸虎(きんしょしゃほん・かうますうとら)が張り付けられている。先日いたいけな新入生たちを脅かした罰として、制裁と称してリカインにびっりと留めつけられてしまったのだ。
「盾に何かついてる? これは殴ったスポーンの破片を見せないためのモザイクですっ!
 それよりなにより、攻撃を食い止めないとね!」
「そ、そうですねっ! 
 せっかく順調に学校が出来てきていますですのに、壊されちゃうのはとってもイヤなのですーっ!
 ファイもがんばって食い止めますですっ!!」
「そう、その意気よっ!」
脇からゲブーがわめく。
「ニルヴァーナ校の制服は漢はモヒカン! おんなは見せおっぱい、これっきゃねぇだろ?」
「……女については激しく同意するけどよ……。 俺様は……俺様の立場はぁあああ……」
リカインの盾から河馬が情けない声を上げる。ゲブーはもう一体突っ込んできたスポーンを叩きのめしながら叫んだ。
「おう、いい趣味してんな!」
リカインは盾の抗議もものともせず、まっすぐにスポーンの群れに、盾を構えて突っ込んで行く。レゾナント・アームズと咆哮を駆使し、最前線でスポーンを蹴散らしてゆく。盾に張り付けられた河馬が、噴出された炎にはアシッドミストで、繰り出される触手や食いつき攻撃をサイコキネシスや奈落の鉄鎖で必死で逸らしている。時折直接盾でスポーンを殴りつけると、河馬の情けない悲鳴が風に乗って流れてくる。結果リカインのスキルの効果範囲には、大きく道が開けた。
「あの盾の人……ナーシングしなくてだいじょぶなのかなぁ……」
はらはらしながらその様子を見ているファイリアにウィノナ・ライプニッツ(うぃのな・らいぷにっつ)が言った。
「ボクたちは直接ダメージを与える事よりも、相手の攻撃を出来るだけ防いで援護する方が助けになりそうだよ」
「そ、そっか! ファイ、頑張るよっ!」
「サポートに頑張るファイ。
 そのファイをこの怪物たちから守ることが、ボクには重要だからね、気を引き締めてかかるよ」
猪川 勇平(いがわ・ゆうへい)が機工剣、ソードオブオーダーを構えてスポーンを睨み付ける。
「俺も皆の努力の結晶である学校、絶対に守りきってみせる!!
 こいつらぶっ倒して祝勝会と行こうぜ〜!」
ウイシア・レイニア(ういしあ・れいにあ)がその背後につと立った。
「勇平君の突撃を援護しなければ……
 皆、無事に戻ってきてくださいね!」
ウイシアがイナンナの加護を届く範囲のメンバーすべてに使用する。勇平が剣を構えて突撃する。
「行くぜ!! 限界まで…力を出し切るっ!!」
バーバーモヒカンがゲブーに襲い掛かるスポーンに、メンタルアサルトやサイコキネシスを駆使して隙を作る。食いつこうとする、あるいは炎を吐きかけようとするスポーンの口に、ファイリアは氷術を見舞い凍りつかせたり、謎料理を突っ込んだりしている。
横手から襲い掛かるものには、ウィノナがすかさずファイアストーム、アシッドミストで怯ませ、そこにウイシアが我は射す光の閃刃を畳み掛ける。勇平がアナイアレーションで範囲攻撃を行うと、スポーンたちは鎌で刈り取られた雑草のようにばたばたと倒れ、黒い霧となって消えうせる。
だが、その開かれた道はまた、新たなスポーンの群れが埋めてゆくのだ。勇平が一体を仕留めた隙に、もう一体のスポーンが食いつこうとしたとき、『旅人の書』シルスール(たびびとのしょ・しるすーる)のパワーブレスで強化されたウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)の剣戟でその首が胴体を離れた。
「助かったぜ。ありがとな」
「……どういたしまして。
 こんなに沢山いると飽きてきますね。
 一気に殲滅してしまいましょう
 私の通り名「閃光の風」の意味を教えてあげますよ」
身に着けた虹のタリスマン、神獣鏡がスポーンの毒や石化からウィングの身を守っている。飛翔術をも駆使し、敵の間をすり抜けつつ、抜き放たれた二振りの聖剣から繰り出される攻撃が、スポーンたちに襲い掛かる。ゲブーの打撃に弱ったものを勇平の剣戟やウィングの真空波の餌食となり霧散する。団体で襲い来たものに、ウィングのファイナルレジェンドが炸裂する。
「吹き飛べ! 飛燕皇閃剣!」
単体のやや大柄なスポーンに、シルスールの凍てつく炎と勇平の紅の烈閃撃が同時に炸裂すると、砕かれた体は輪郭を失い溶けうせた。