空京

校長室

創世の絆第二部 第一回

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創世の絆第二部 第一回

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■世界樹を救え!・1

「落ち付けぇぇっ!」
風森 巽(かぜもり・たつみ)が、
修羅の闘気を放ちながら、震天駭地で世界樹や大蟲たちを一喝する。
混乱している世界樹が正気に戻ってくれれば、という意図もあっての行動だった。

震天駭地で世界樹や大蟲の動きが止まったところで、
「変んっ身っ!」
巽は、変身ポーズを取る。
「蒼い星からやってきて!
世界樹の森を護る者! 仮面ツァンダーソークー1!」
仮面ツァンダーソークー1が、
特技の青心蒼空拳の構えを取る。
「大蟲ども、人型の蟲って、正しく怪人って感じだな……。
相手にとって不足はないぜ!」

「タツミ! そっち任せたよ!」
ティア・ユースティ(てぃあ・ゆーすてぃ)は、
世界樹の回復に駆け回る。
リカバリをかけ、まだ震天駭地で混乱している世界樹を癒す。

「青心蒼空拳! 諸手打ち!」
雷霆の拳が、大蟲に叩きつけられる。
「キシャアアアッ!」
大蟲の外皮がへこみ、よろよろと後ずさる。
仮面ツァンダーソークー1が大立ち回りをしている間に、
ティアが子守歌を歌う。
「おちついて、みんな!
ボクたちは敵じゃない……。
お願い、話を聞いて!」

ティアの子守唄に、世界樹が枝を揺らす。
いまだ、混乱してはいるようだが、
少しずつ落ち着いてきているようだ。

「俺たちはおまえらを助けに来たんだ!」
【パラ実新生徒会会長】姫宮 和希(ひめみや・かずき)が、
世界樹たちの前に仁王立ちして叫ぶ。

「大蟲ども、格闘が得意ってんなら申し分ねぇ!
俺も喧嘩殺法で歓迎してやるぜ!」
和希は、パラ実生徒会長として、舎弟や他のパラ実生に呼びかける。
「相手は大蟲だけだ!
世界樹は傷つけずに守りきるんだ!」
パラ実生徒会長は、S級四天王に相当し、
それだけの舎弟もついてきている。

和希のパートナーのガイウス・バーンハート(がいうす・ばーんはーと)が、
根回しや防衛計画で世界樹救助部隊の陣形を整え、
仲間たちの連携が上手くいくように戦況を分析する。
(それにしても、ウゲンは何を企んでいるのだ?
悪事であればすぐ食い止めなければいけないが……)
ガイウスは、ちらりとそう思うが、
この戦場にウゲンの姿はない。
ガイウスは仲間の指揮に集中した。

和希の蹴りを主体とした技が繰り出されるたびに、
ミニスカートが翻る。
本人は気にしていないが、目のやり場に困る状況ではあった。
しかし、大蟲はそのようなことでひるんだりはしない。
「な、4本腕だと!?」
4本腕の変異体の大蟲が襲い掛かってきた。

「く……こいつ、速い!」
4本の腕から繰り出されるパンチをかわしながら、
和希が蹴りで応戦する。

「青心蒼空拳! ソークー! ツァンダー! 月面キィィィッックッッ!」
4本腕の大蟲に、
仮面ツァンダーソークー1の必殺技が決まる。
「シュギャアアアアアアアッ!」
4本腕の大蟲は悲鳴を上げて倒れた。
「サンキュ! 助かったぜ」
「どうってことないさ。
それより、まだ来るぞ!」
「おう!」
強敵をともに倒してくれた
仮面ツァンダーソークー1に和希は礼を言い、さらに向かってくる敵へと向き直った。

「世界樹よ、あたしたちはおまえたちの味方だぜ!
心配しないで任せてくれよ!」
泉 椿(いずみ・つばき)も、
【パラ実世界樹救助隊】の一員として、和希たちと一緒に蟲退治を買って出ていた。
羅刹の武術や軽身功で飛び回り、蟲を攻撃しつつ、
要人警護の特技で世界樹の護衛をする。

一方、椿のパートナーの
ミナ・エロマ(みな・えろま)は。
「樹液よりもっと美味しいものを用意すれば、
虫も苦労して樹液を吸おうとは思いませんわ」
調理の特技を生かして、様々な味の蜜を作り、
大蟲をおびき寄せようとしていた。

「これが究極のスペシャル樹ースですわ!
どうぞ召し上がってくださいませ♪」
蜜を差し出すミナの背後に後光が差した気がする。

しかし。

「お、おい、たくさん集まって来てねえか?」
「え、そんなに大好評でしたの!?」

甘い蜜の香りに、ギチギチと不気味な音を立てながら、
大蟲の群れが集まってきた。

「きゃあああああ、そんなにほしければ差し上げますわ!」
ドロドロの蜜を放り投げるミナだが、
その蜜の直撃を受けた大蟲が、
別の大蟲たちに襲われ、蜜を吸われる。

「やべえ、早く蜜を捨てるんだ!」
「そ、そんなこと言われましても!」
椿のいうとおり、蜜を手放そうとするミナだが、さらに大蟲が迫る。

そこに、
【シャンバラ教導団中尉】大岡 永谷(おおおか・とと)と、
教導団員の部下たち、そして、
ドッグズ・オブ・ウォーで率いた傭兵部隊が現れる。

「全軍、突撃!
彼女たちを守り、大蟲を排除せよ!」

「ウオオオオオオオオ!」

永谷の指示通り、一箇所に集められていた大蟲の群れは、
一気に倒されていく。

「ありがとうな!」
「ありがとう、助かりましたわ!」
「一対一では倒せない敵でも、一対多数ならば、何とかなるんじゃないかと思うよ。
孤立しないように、
協力して戦おうぜ!」
椿とミナの窮地を救った永谷が、そう、呼びかける。

「トト、向こうからも来るよ!」
ゆる族の熊猫 福(くまねこ・はっぴー)が、
光学迷彩で姿を消して偵察し、
パートナーに増援を伝える。
「了解。
全軍、陣形を整え、迎撃準備!」
部下や傭兵たちが大蟲にそなえて武器を構える。

(みんな、よくやってくれてるね)
福は、傭兵や部下の人達がどんなふうに活躍したかを報告できるよう、記録も行っていた。
永谷本人は、功績などはほしい人が得ればいいと考えているが、
部下や傭兵の功績は、なるべく多く報告してあげたいという意向があったからだ。
(トト自身も出世してくれると、
あたいの食費が安泰になりはするけど、
まずはトトの下についてくれた人達に報いたいというトトの気持ちを活かせるようにするよ)
福は、そう思いながら、記録を続ける。


「悪蟲は許しません!」
マスクをつけたロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)が、
サクロサンクトで、世界樹の防衛を行う。
地形なども加味して、大蟲の群れの排除に成功すると、
ロザリンドは、高いところに現れてポーズを取る。
「オーホッホッホッホ!」
皆の注意が向いたところで、
ロザリンドがテレサ・エーメンス(てれさ・えーめんす)に呼びかける。
「さ、テレサ、口上を頼みますよ」
「えーと」

キュイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
拡声器のノイズが世界樹の森に響き渡る。

「世界に仇なす者あれば
何処からともなく現れて
正義を貫き去っていく
契約者世界のスーパーヒロイン!
マスクドランサー(ロイヤルガードバージョン)!!」
全部棒読みで言ったテレサが、
マイペースにパートナーに向き直る。
「うん、ロザリーこれでいいのー?」
「……って本名まで拡声器で言っちゃだめですよー」

そんな漫才をしつつも、
ルーンの槍を構えてロザリンドが突撃する。
「このハイパーランサーの槍に倒れなさい!」

「さっき、マスクドランサーって言ってたんじゃ……」
仮面ツァンダーソークー1がツッコミを入れるが。
「細かいことはいいじゃないですか」
「ちがーう! ヒーローならもっとヒーローの美学を追及してだな!」
そんなことを言っている間にも、
突撃したロザリンドとテレサは大蟲を殴ったり殴られたりしていく。
「キシャアアアアアアアア!」
威嚇する大蟲をロザリンドも威嚇し返す。
「キシャー! キシャー! キシャー!」

「なるほど、これがマスクドランサーの奥義、キシャー返しやね」
「意味がわからないんだぞ!?」
テレサの発言に、
飛鳥 桜(あすか・さくら)もツッコミを入れつつ、
自分もヒーローとして登場する。

「イッツ・ヒーロー・タイム!」
メタモルブローチで、
桜はチェリーブロッサムに変身する。
「正義の光でlock−on、君の悪事をjudgement!」

ポーズを決めている
チェリーブロッサムに、大蟲が襲い掛かる。
「そんな攻撃はお見通しさ!」
ワイヤークローで世界樹の枝にぶらさがり、
チェリーブロッサムは、攻撃してきた大蟲の背後を取る。

「くらえ!」
チェリーブロッサムはフルムーンシールドを思い切りたたきつけ、
大蟲は昏倒する。

「……てめえら、そんなに火事が好きか」
アルフ・グラディオス(あるふ・ぐらでぃおす)は、
その身を蝕む妄執で、大蟲たちに炎の幻覚を見せて混乱させたところを、
等活地獄で畳み掛ける。
世界樹を実際に炎で傷つけるわけには行かないが、
森が火事になった幻影は、大蟲相手でも十分効果的だった。

大蟲を行動不能にさせつつも、
チェリーブロッサムはアルフを気遣う。
「アルフ、君は大丈夫かい? ほら、熾天使の力って奴」
ヴァルキリーであるパートナーを気遣う言葉に、アルフはうなずく。
「大丈夫だ。まだ覚醒したりはしねえよ」
(……確かに、俺の中で強くて爆発しそうな力を感じる。
でも、まだ使いたくない。目覚めたばかりの力なんて、どうなるかわからねえから)
「……もしものときには、ちゃんと、言ってよ? 隠したりしたら怒るからな!」
「わーってる。これ以上、心配かけさせねえよ」
アルフはぶっきらぼうに、
しかし、パートナーの気遣いをかみしめながら言った。

「【魔法少女アイドル マジカル☆カナ】!
大世界樹の子どもたちを守るため、
悪を倒します!」
遠野 歌菜(とおの・かな)も、世界樹を守るためにかけつける。

「イルミンスールは世界樹の中にあり、私達は世界樹と共に生活しています
イルミンスールと同じ世界樹を、私は守りたい!」
イルミンスール魔法学校の生徒である歌菜は、
そう、強く決意していた。

しかし、世界樹の枝がしなって歌菜へとのびる。
「くっ!」
とっさに龍鱗化で防御力を上げて受け流し、
歌菜はけして反撃をしない。
「大丈夫です、あとで傷を癒してあげますからね……」

「歌菜、こっちへ!
連携して大蟲を倒すんだ」
月崎 羽純(つきざき・はすみ)に導かれ、
歌菜は大蟲に向き直る。
「うん、羽純くん。
大蟲を倒せば、世界樹たちもきっとわかってくれるよ!」
「行くぞ!」
羽純が、光条兵器の、細身の片手槍で、世界樹が傷つかないよう配慮しながら、
大蟲だけを狙って串刺しにする。
「魔法少女の格闘術を舐めてもらっちゃ困りますっ」
二槍流の歴戦の武術で、羽純と連携して、
歌菜は大蟲をなぎ倒す。

「ヒーロー、ヒロインの協力パワーを舐めてもらったら困るんだぞ!」
「私たちも連携します!」
「ありがとう、チェリーブロッサムさん、マスクドランサーさん!」
歌菜は、うなずき、
槍をさらに繰り出した。
「これが、劇場版・ヒーローヒロインの力です!」